概要
ウルミクムミとは、ヒッタイトの神話であるクマルビ神話の後半とされる、ウルミクムミの歌に登場する岩の巨人の名であり、「ウルミヤ(天候神テシュプの町)の破壊者」という意味である。
ウルミクムミの歌あらすじ
神話の前半において、クマルビは神々の王の座をアヌから奪ったものの、アヌの計略により、自らを倒す存在である天候神テシュプを生み出す羽目に陥ってしまう。
(クマルビとテシュプの戦いの部分は欠損していて不明だが、クマルビの敗北に終わる。)
一敗地にまみれたクマルビは、自らに代わって子供に復讐させることを思いつき、泉のほとりにある岩との間に子をもうけた。
ウルミクムミと名付けられたその子供は、その母同様に全身が岩でできていた。
クマルビは成長するまでの間、ウルミクムミを神々から守るため、侍女たる女神達イルシラを呼ぶと隠すように命じた。
イルシラによって海底に隠されたウルミクムミは、1日に1アムマトゥ(約40cm)、月に1イクー(約8400平方メートル)成長し、ついに海上に姿をあらわす、それを見た太陽神は、天候神テシュプにそれを相談、ともに偵察に向かうも、ウルミクムミを見たテシュプは絶望にとらわれ泣き出してしまう。
そんな兄、テシュプの悲嘆を見たイシュタルは、自らの魅力でウルミクムミを篭絡すべく、海岸で彼に向かって歌い踊って誘惑するも、まだ目も耳もきかず、話すこともできないウルミクムミには通じずに失敗してしまう。
しかしそのとき巻き起こった大波よりその事実を聞いたイシュタルは、それを兄に報告、ウルミクムミが未だ不完全であると聞いたテシュプは好機と見て戦いを決意、タシュミシュに命じて先頭の準備を整える。
(戦いの部分は欠損しており不明だが、テシュプの敗北に終わる。)
ウルミクムミはさらに成長を続け、ついにクムミヤに侵入、テシュプが再び立ち向かうも戦況は芳しくなく、ついに窮地に追い込まれてしまう。
進退きわまったテシュプはエアに相談、エアは太古に天地を切り分けた刃物(鋸やナイフと訳される場合が多い)をもってウルミクムミの足を大地より切り離すようにと告げる。
それにより足を切り離されたウルミクムミは弱体化、それを見た神々は奮いたち、雄叫びをあげてウルミクムミ目指して進軍する、しかし弱ってなおウルミクムミは戦うことをやめず、テシュプに向けて、いつかクマルビがテシュプを下し、王権を握るであろうことを語った。
(以下欠損、ウルミクムミの敗北に終わったものとされる)
参考文献
筑摩世界文学体系1 古代オリエント集