重力とは
重力とは、物体どうしが引き寄せあう力のことである。
一般に「引力」とも呼ばれるが、厳密に言えば、「引力」には磁石の引きつける力や電気による吸着力なども含まれうる。
似た概念に「万有引力」があるが、重力は遠心力などの慣性力による影響を含めたものと説明される事もあり、一般相対性理論によればこれらは等価であるという。
ここでは専ら、万有引力的な意味合いで記述する。
日常で意識しやすいのは、物体と地球との間に働く重力である。両者がともに自由に動ける状態にある場合、地球は物体を引きつけて移動させ、物体も地球を引きつけて移動させる。しかしなにぶん、ほとんどの場合、地球のほうが物体よりも比べ物にならないほど大きく重いので、物体のほうから地球に向かって移動してしまう。なおこのときの物体の運動のことを「落下」「落ちる」などという。
ニュートンの古典物理学では、二つの物体の間にはたらく重力(万有引力)は次の公式で表される。
F = G・Mm/r^2
(F :万有引力(N)
G :万有引力定数(約6.67×10^-11)
M :一つ目の物体の質量(kg)
m :二つ目の物体の質量(kg)
r :物体の重心間の距離(m)
この式から、重力の強さは物体の質量に比例し、距離の二乗に反比例することが分かる。
つまり重力は、天体に限らず質量のある物体ならば全て発しているものなのである。
「ちょっと待て、その辺の石ころ同士は引き合ってないじゃないか」と思われるかもしれない。
しかし、地球程の超巨大な物体でも、地面に足が付けば逆らえる程度の重力しか発揮できてない事を思えば、その辺の石ころ同士の間に働く重力がいかに凄まじく微小か想像は容易いだろう。
重力は電磁力に比べて途方もなく弱く、電子と陽子の間に働く力で比較すると、それは10^39(千澗)倍程という違いがある。
そのため、素粒子スケールの世界ではあまり姿を現さないが、電磁力のように相殺される事がないため、どこまでも重ね合わせられて合成されて行き、天体スケールの世界では主要な力となる。
重力子によって媒介されると考えられているが、重力子は未発見。
重力の発生源は質量となっているわけだが、質量は同時に「加速し難くなる」という性質(慣性)も持っている(重力質量と慣性質量)。
慣性力との等価性に基けばこれは当然の事であり、この辺が電磁力と比べてもまた特殊である。