宿泊施設の種類の一つ。
一般的には客室が和室であり、設備全体も主に和式でまとめられている施設が「旅館」と呼ばれる。が、洋式のスイートルームなどを設けている旅館もあり、「ホテル」を名乗っていてもサービススタイルは旅館だったりする宿泊施設も多く、ホテルやペンションとの境界は曖昧である。
歴史
江戸時代以前は、食糧、寝具を持参して旅をすることが当たり前であった。従って宿は寝る場所を提供するためのものであり、旅人は薪炭を買って自ら食物を煮炊きしていた。しかし、伊勢神宮への「お伊勢さん参り」、信仰の対象としての「富士登山」などの旅が流行する中で、「寝具・食事つき」の宿が現れた。
これが現在の旅館の原型となる旅籠(はたご)である。宿泊客が食材を持ち込んで自炊する昔ながらのスタイルの宿は「木賃宿」などと呼ばれ、宿泊客が込み合う場合、見知らぬ他人が同室で寝泊まりすることも珍しくはなかった。
旅館のもう一つのルーツが温泉地の湯治宿である。これも元々は自炊で寝具を持ち込むスタイルだったが、明治以降、新たに温泉が開発され元々外湯を利用していたのが、内湯を設置するようになり、食事も出すようになって現代の温泉宿に発展していった。
明治になると鉄道網が発達し、人の移動は鉄道が主になってくると旧街道筋の旅籠が衰え、かわりに鉄道の駅前に旅館が増えてきた。
日本国内には奈良時代(8世紀)から存続していると伝わる旅館が少なくとも3軒現存している。