概要
1960年代にアメリカの生化学者ヴァージニア・プリンスが提唱した概念。
その時の定義は「性器レベルで性別を超えたい訳ではなく、出生時に振り分けられた性別と反対の性別 / 性役割で暮らしたい者の呼称」であった。
現在では、単純に「出生時に振り分けられた性別と反対の性別 / 性役割で暮らしたい者」として性同一性障害の者も含んだり、「男 / 女という性別を越えて自己実現を行う者」も含めて、より広義に解釈されて使われている。
日本の性同一性障害当事者の間では、後述するガイドラインの第2段階までを希望する者として使われることが多い。
性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン
性同一性障害の治療は、日本精神神経学会の性同一性障害に関する委員会による「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」の3ステップに沿って行うことが推奨される。
第1ステップ
第1は、精神科医による外科的治療へ進むことへの鑑別と治療の確認である。
ホルモン療法は一度始めたら生涯続けなければいけない治療であり、身体に大きな負担となる。
また、生殖機能を除去することは、不可逆の手術であり、治療に進む意思確認は非常に重要であるため、
生活史や実生活の状況の聞き取りなどから鑑別することは重要であり、
その後も治療の確認など精神科医やカウンセラーとのやり取りは継続して行われる。
第2ステップ
第2に、ホルモン投与療法とFtMへの乳房切除手術がある。 個人差はあるが、ホルモン療法によって、FtMの場合、筋肉量が増加し、体毛が濃くなり、声が低くなり、月経が停止する。
MtFの場合は、体毛が減少し、脂肪がつきやすくなり、皮膚のきめが細やかになり、乳房が発達する。
また副作用として、FtMには頭髪の減少、挫創(にきび)の増加、肝機能障害、MtFでは血栓症の危険性が増大することが認められている。
さらにこの段階ではFtMへの乳房切除手術も含まれる。
第3ステップ
第3に、生殖器に関する手術療法(性別適合手術)である。
FtMの場合、子宮摘出、膣閉鎖、尿道延長および陰茎形成がある。
MtFの場合、豊胸手術、陰茎および精巣の切除、膣および外陰部の形成がある。
これらのうち、本人が望む手術が行われる。
備考
日本においてはまだトランスジェンダーに対して正確な理解が得られている状況とは言い難い。単なる同性愛者と誤解されることも多い。
教育の場では比較的対応が進みつつあり、性自認によって男子校や女子校への入学が認められるケースが出てきている。
しかしラディカル・フェミニストの中にはトランスジェンダーの者に対して存在を認めない、あるいは排他的・差別的な言葉を容赦なく投げかける者も目立つようになった。特に身体が男性で性自認が女性である場合、フェミニストからは女と認められず、「女の領域に入ってくる邪魔な男」として攻撃の対象にされることがある。こうしたフェミニストはTERFとも呼ばれ、近年問題視され始めている。
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