白髪鬼時代の教え子谷沢から送られてきた、試合のビデオを見た際のモノローグ。
詳細
安西は教え子である谷沢龍二の才能に期待していた。しかし白髪鬼と呼ばれていた頃の彼は非常に厳格で、教え子達に基礎練習を重点的にした地道で過酷な練習法を課していた。谷沢に期待していた分あえて彼には特に厳しく接していた。
安西をよく知るメンバーからは「期待の表れ」だと理解されていたが、谷沢はそんな安西の心情が理解できなかった。同時に安西も、谷沢に対する練習の意味を伝えずヤクザの様に恫喝して基礎の反復ばかりのために信頼関係は築けず、期待の伝え方を誤っていた。
そのため師弟間にすれ違いが起き、反感を抱いた谷沢は安西は勿論他のメンバーにすら何も告げる事なく未熟なままアメリカへ逃げるように留学してしまった。メンバー曰くその後の安西は元気をなくしていたという。
それから数年後、送られてきた試合のビデオに映っていたのは基礎を疎かにしたために大学時代から全く成長していない谷沢の姿であった。後に安西の手に渡る谷沢の手紙には、皮肉にも海外留学に失敗してようやく安西の心情を理解した谷沢の苦悶が綴られていた。
このビデオを見た後安西は必死に谷沢を探したが、その結果は苦悩の果てに自暴自棄になった谷沢が、半ば自殺同然に引き起こした自動車事故により帰らぬ人になるという非常に後味の悪いものとなってしまった。それを境に白髪鬼と呼ばれた安西の厳しい姿は鳴りを潜めていくことになる。
才能がある生徒をうまく育てられず、つぶしてしまったとさえ見れる安西のその時の衝撃はいかほどの物だったであろうか。
重要な点として谷沢は決して楽に上手くなろうとか怠惰な選手ではなく、むしろ強い向上心を持ち、上手くなるために必死にもがいていたことである。そのため、単に安西先生に従わなかった自業自得ではなく、谷沢も安西先生も互いに未熟で互いに悪かったが故の悲劇である。
このエピソードは、流川が海外へのバスケット留学への挑戦を切望し、安西の下へ相談した時に流川に断固として留学を反対した本当の理由を安西夫人から語られたものである。
ネット上の使われ方
漫画内での彼のイメージを一新するようなインパクトが強い展開であったこともあり、漫画自体の知名度も高い為、その浸透度は高い。
使われ方としては、相手への煽りや、何年も同じ主張をしている相手などに使われることが多い。
