概要
不死川実弥・不死川玄弥の父親。本編では名前は不明のままで、公式ファンブック「鬼殺隊見聞録・弐」で明らかになった。
幼い実弥達が「化け物みたい」と評する程の非常に大柄で粗暴な男であり、妻子に暴力を振るうのが日常茶飯事のろくでなしであった。最期は人の恨みを買って刺されて死んだが、実弥や玄弥は自業自得だと思い、残った家族で力を合わせて生きていこうと誓っていた。
しかし、鬼と化して弟妹五人を殺した母親の志津を、実弥は手にかける事になり、兄弟は引き裂かれ、2人はそれぞれの目的から鬼殺隊に入る事となった。
上記にあるように不死川兄弟からは嫌われており、2人にとっては不本意であろうが父譲りの粗暴さと気の荒さは実弥と玄弥共に引き継いでいる。しかし、それでも父の姿が反面教師として機能したおかげで、父程の見境の無く、粗暴さも余程のことがない限り言動のみに留まっている。他にもこれまた父親譲りの恵まれた体格と、頑丈な身体も2人共しっかり引き継いでいる(兄弟揃って大正時代としては、非常に上背にも体格にも恵まれている)。
その後は、玄弥も無限城での決戦において壮絶に散った。そして一家の運命を狂わせた鬼舞辻無惨を討ち果たしたものの、実弥の命も尽きようとしていた。
彼岸の向こうで、玄弥と弟妹達が楽しそうに遊んでいるにも関わらず、暗闇の中にいる志津の魂を見つけた実弥は、志津に何故向こうに行かないのかと問うが、彼女は悲しげに「我が子を殺した自分は天国には行けない」と答える。実弥は「それなら俺はお袋を背負って地獄を歩くよ」と母の手を取った。
その手を無理矢理引き剥がす者があった。恭梧である。
「放せ。志津は俺と来るんだ」
そう言って突き飛ばすと、実弥の体は宙に浮き上がり、父と母の姿はみるみる遠ざかって行く。
「テメェッ…!!糞親父!!糞野郎、お袋を放せ!!」と叫ぶ息子に、恭梧は仏頂面で言い放った。
「お前はまだあっちにもこっちにも来れねぇよ。
俺の息子だってことに感謝しろ。特別頑丈な体だ」
気が付くと実弥は包帯だらけで手当てされていた。取り囲む鬼殺隊員達が、彼の意識が戻った事を喜んでいる。天国にも地獄にも行く事なく、彼は現世へと戻って来れたのだ。
実弥が生き残れたのは恭梧の言う通り、彼譲りの頑丈な身体のおかげである。
それは実弥の見た幻か、それとも妻とただ一人生き残った息子への、父の最後の愛情だったのか…
実弥は万感の思いと共に「くそが…」と呟くのだった。