概要
小柄な女性であったが、朝から晩までよく働き、ろくでなしの夫・恭梧が人の恨みを買って刺されて死んだ後、実弥や玄弥ら7人の子供と力を合わせて生活していた。
しかしある夜、彼女は何者かによって鬼にされ、我が子五人を殺害してしまう。
暗くて視界が不十分だったことと、その動きのあまりの素早さに、実弥は狼か何か獣の類だと思い込んだまま懸命に飛び掛かる。そして倒した後にようやくそれが母だと気付いて愕然となった。
そうとも知らず玄弥は、志津の亡骸の前に血まみれで立ち尽くす実弥を「人殺し」と罵ってしまい、不死川兄弟の間には長年に渡って亀裂が入ってしまう。
そして彼女は、無限城決戦で鬼舞辻無惨に勝利するも、生死の境を彷徨う実弥の前に現れる。
彼岸の向こうで、楽しそうに遊ぶ玄弥と弟妹達を眺める実弥。
彼は傍らの暗闇の中にいる志津に対し、「お袋?何で向こうに行かねぇんだ」と問い掛けるが、彼女は
「私はねぇ、そっちには行けんのよ。我が子を手にかけて天国へは…」
と顔を覆いながら答えるのみ。彼女は、いくら鬼と化したからと言っても、我が子を殺すという大罪を犯した自分は地獄に墜ちるしかないと覚悟していた。
実弥は「それなら俺はお袋を背負って地獄を歩くよ」と母の手を取るが、恭梧がその手を引き離し、実弥を突き飛ばす。
「放せ。志津は俺と来るんだ。お前はまだあっちにもこっちにも来れねぇよ」
この期に及んで女房を地獄の道連れにしようとする極道者の身勝手か、それとも息子へのせめてもの罪滅ぼしか。
いずれにせよ実弥は現世へと、生の世界へと戻って行く。志津は遠ざかる息子の姿を涙ながらに見送るのみであった。
余談
彼女を鬼にしたのは誰なのかは明確になっていない。
鬼舞辻無惨か上弦の鬼の誰かなのか実際の所は不明。