シノ(魔法使いの約束)
しの
「一人で十分だ。オレがやる。」
「オレが誰の役に立つかは、オレ自身が決める。」
人物
小柄でかわいらしく見えるが、自信家で男前な性格。ぶっきらぼうで不遜な物言いが目立つものの、褒められることが好きという年相応な一面もある。若い賢者の魔法使いたちの中では、アーサーに次いで魔力が高く優秀で、若い戦力として期待されている。
賢者の魔法使いとなる前は、ブランシェット家の小間使いとして、領内にあるシャーウッドの森の森番(案内人)をしていた。
シャーウッドの森は広大かつ狼や熊などの猛獣が現れることがあり、お尋ね者や伏兵が潜んでいることがあるため、森番に管理が任されている。案内人無しで通り抜けるのは困難で「シャーウッドの森ではぐれて再会することが出来た二人組は仲が深まる」という言い伝えがあるほど。
「シャーウッドの森はオレの庭だ。」
ブランシェットの城に使用人用の部屋を用意されていたらしいが、森にある掘っ建て小屋で寝泊まりをしていた。
「雨風さえ凌げれば住居にこだわりはない。」
同じ東の魔法使いのヒースクリフとは幼馴染だが、主従関係を自称しており、自分が英雄になれば誰も「魔法使いのヒースクリフ」に文句を言わなくなり、身分の差も関係なく二人で堂々と笑い合える日が来ると信じている。
※以下ネタバレ注意
シノは孤児の生まれで、魔法が使える分食うには困らなかったものの、物心ついたときから孤独の中で生きてきた。
その後、運よく東の国の大貴族・ブランシェット家に雇われる。シノ曰く「ブランシェット家は天国だった。家族全員仲が良くて、理想の家族だった。」とのこと。この時点で直接話したことはなくとも、間接的にブランシェット家の役に立てることが嬉しかったらしく、シノの忠誠心の高さがうかがえる。
それから暫くして、シノが魔法使いであることを知ったヒースクリフの母親が、幼い二人を引き合わせた。
「シノ、魔法使いなんですって?ヒースクリフもそうなの。だから、これからヒースと仲良くしてあげてね。」
魔法使いだったから、奥様が話しかけてくれて、ヒースクリフとも仲良くなれた。このことがきっかけで、シノは自分が魔法使いであることを誇りに思うようになる。
約束を破ると魔力を失うと知らなかった頃に、シノはヒースクリフと約束を結んでいる。
これは師匠に結ばされたもので、いつか正体がばれた時に弟子から反抗する手段を奪いやすくする――誰か一人を石にして、残りの弟子の魔力を奪う――ための、強い魔法使いを騙って詐欺行為を繰り返していた師匠の常套手段だった。
「俺たち、師匠に言われて、約束したんです。必ずお互いを守りますって。」
この約束のせいで、友人として純粋な思いだったはずの「お互いを守りたい」という感情は歪なものになってしまう。