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殺虫剤の編集履歴2013/04/08 22:19:22 版
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殺虫剤

さっちゅうざい

殺虫剤とは、人間や農作物にとって有害な害虫(昆虫を含む動物)を殺す(駆除する)ために使用される薬剤である。

剤型

殺虫剤は原体(有効成分)のまま使用されることはほとんど無く、補助剤・希釈剤と混合され効力を調整されて使用される。

液状

油剤

原体を白灯油に溶解したもの。変質・分解が少ない。引火性がある。原液のまま、又は白灯油で希釈して使用。水溶性容器に封入された、水田投げ込み用製剤(なげこみ剤)もある。

乳剤

原体を有機溶媒に高濃度で溶かし乳化剤を加えたもの。水で希釈して使用する。対象などにより濃度を調整して使用することが可能。原液は引火性がある。樹脂や顔料を含むものもある。防疫用に限り粉末又は顆粒状で、水に溶かすと乳液状になるものも含まれる。

懸濁剤

水に不溶性の原体を湿式微粉砕し湿潤剤・分散剤・凍結防止剤などの補助剤を加え、水に分散させたもの。有機溶媒による害がない。長期保存で沈殿や結晶の成長が起こる場合がある。フロアブル剤、ゾル剤ともいう。溶媒が有機溶媒のものもある。良く振ってから使用する。農薬登録上は水和剤に分類される。

エマルジョン剤

原体に乳化剤・凍結防止剤・増粘剤など補助剤を加えて、水中にエマルジョンとして分散させたもの。有機溶媒による害や引火性がない。農薬登録上は乳剤に分類され、多くは商品名がEWで終わる。防疫用などでは水性乳剤とも呼ばれる。より粒子の細かい、マイクロエマルジョン(ME)剤(農薬登録上は液剤)もある。

マイクロカプセル剤

マイクロカプセル(高分子薄膜で覆った粒径数~数百マイクロメートルの微粒子)に原体を封入し水に懸濁させたもの。高分子薄膜の厚さの調整で有効成分の放出速度の調整が可能。水に懸濁させていない固体状のものもある。

液剤

水溶性の原体を水又は水溶性の有機溶媒に溶解したもの。原液のまま、又は水で希釈して使用。

エアロゾル剤

原体を有機溶媒に溶かし高圧ガスと共に耐圧缶に充填したもので、缶より噴出させて使用される。主に家庭用。溶媒が水のもの、一度に全量を噴射するもの、時限式や遠隔操作式の噴射装置に装着し使用するもの、粉末を噴出するもの、二重構造容器を使用し冷害を軽減したものもある。

塗布剤

液状のもので、専ら塗布により使用されるもの。

ペースト剤

半固体状のもの。

ジェル剤

ジェル状のもの。多くは専用ガンに装着しノズル先端より吐出させて使用されるカートリッジ形状で、PCO業者専売である。

固体状

粉剤

原体を鉱物性粉末と混合したもので、粉のまま使用する。飛散の少ない製剤(粉剤DL)、施設栽培で施設内に粉散させるもの(フローダスト(FD)剤)もある。

顆粒剤

原体を鉱物性粉末と混合し造粒したもの、または顆粒状の芯材に有効成分を吸着・含浸させたもので顆粒のまま使用されるもの。微粉の飛散が少ない。水溶性フィルムで包装された、水田投げ込み用製剤(パック剤)もある。

水和剤

原体を4~5マイクロメートルに微粉砕し、界面活性剤と増量剤などの補助剤と混合したもの。水に希釈・懸濁して使用する。水溶性フィルムで包装された製剤(WSB剤)もある。

顆粒水和剤

水和剤を粒状にしたもの。微粉の飛散が少なく安全性が高い。ドライフロアブル剤、WDG剤ともいう。

食毒剤(ベイト剤)

食料に原体を混合して生物に食べさせるもの 。毒餌。液状、ジェル状、ペースト状のもの、現場で食料と混合して毒餌や毒団子とするもの、容器入りのものもある。

水溶剤

水溶性の原体を水溶性の増量剤と混合した粉末。水和剤に比べ散布箇所が汚れにくい。

顆粒水溶剤

水溶剤を粒状にしたもの。微粉の飛散が少なく安全性が高い。

粉末

粉状のもので、他の何れの剤型にも当てはまらないもの。

錠剤

原体を分散剤・発泡剤などの補助剤と混合し打錠したもの。防疫用に多い。

複合肥料

原体を肥料と混合したもの。施肥と害虫防除が同時にできる。液状のものもある。

他の何れの剤型にも当てはまらないもの。動物用医薬品の首輪型や耳標型の殺虫剤など。

気体を蒸散

蒸散剤

蒸気圧の高い原体を固体に吸着させたり練り込んだもの、または蒸気圧の高い原体の固体や液体を高分子フィルムで覆って拡散速度を調整したもの。電動式や電熱式の蒸散器を使用するものや蒸気圧の高い製剤の液体を吸収体で吸い上げ、その先端を電熱器で加熱したり送風機等の風力で、または自然に蒸散させるものもある。

燻煙剤

発熱剤・助煙剤を燃焼させる、もしくは水による化学反応などの外部熱源を使用して有効成分を拡散させるもの。

昇華剤

昇華性の原体及び増量剤を用い打錠されたもので、有効成分を空気中に昇華させるもの。高分子フィルムで覆い、拡散速度を調整して用いる。

殺虫剤の効力

殺虫剤の効力の評価法には次のようなものがある。

  1. 中央致死薬量(median lethal dose, LD50):生物の半数が致死する有効成分の量。μgで表す場合が多い。
  2. 中央致死濃度(median lethal concentration, LC50):生物の半数が致死する有効成分の濃度。mg/lで表す場合が多い。
  3. 中央ノックダウン時間(median knock-down time, KT50):生物の半数が仰天するに要する時間。薬剤の即効性の指標。致死ではないので蘇生する場合もある。

殺虫剤の問題

  • 同じ作用点の殺虫剤を連用すると害虫が抵抗性を獲得することがある(害虫の場合は「耐性」とは言わない。殺菌剤に対する病原菌の場合は「耐性」と「抵抗性」の両方の語を用い、かつ意味が違う)。
  • 駆除する目的の生物だけでなくその他の益虫なども殺してしまうことがあるため、生態系に与える影響や経済的損失(カイコ、ミツバチ)に注意が必要である。場合によっては害虫より天敵のほうが死んでしまい、かえって害虫が増えることもある(リサージェンス)。
  • 殺虫剤の多くでは昆虫などの生理機能によく反応する反面、哺乳類などには影響が少ない物質が選択される傾向が強い(完全に無害とは限らない)。家庭用殺虫剤では特に安全性の高い物質が利用されるため余程過剰に使用しない限りは問題がないが、農業や林業で用いられる殺虫剤は高濃度で保管され必要に応じて希釈される。この際原液に誤って触れたり、または散布直後に触れるなどして中毒を起こす事故もしばしば発生している。農業・林業関係者や防除業者が使用する薬剤に、長い時間触れる事で中毒する事故も後を絶たない。家庭内にある製品でも誤飲などの事故がおこりうるが、故殺目的で乱用されたケースも少なくない。
  • エアロゾル式の家庭用殺虫剤は広義の石油製品で可燃性もあるため、火に向かって噴射すると炎上する危険性がある。またガス警報器などが誤動作する場合がある。その一方で燻煙式殺虫剤は薬剤が白煙となって立ち上るため火災報知機が誤作動するほか、火災と誤解される事がある。年数件程度は、この殺虫剤による誤報の話がローカルニュースなどで聞かれる。

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