概要
地中貫通爆弾とも呼ばれる、地下目標や高硬度目標の破壊に使われる航空爆弾の英名。その性質上高い弾着精度が求められるため、現在運用されているものは基本的に誘導爆弾である。
構造物の壁面等を貫通後に内部で爆発する貫通型の対戦車ミサイルにもこの名が使われている。
最初に実用されたバンカーバスターは第二次世界大戦中にイギリス軍が開発したトールボーイとされる。
直撃しなくても地震を起こしてバンカー(Uボートの掩体壕)を崩落させるというコンセプトで、当時はまだ十分なコスパの誘導装置が実現できていなかったため無誘導爆弾として設計されていたがなんとか実用に堪えた。重量が倍のグランドスラムも開発している。
その後、命中精度の問題を解決するため、ロケット推進式で、弾頭を分厚い鋼製外殻で覆ったディズニーボム(ディズニースウィッシュ)が開発され、これは現在のバンカーバスターにより近い物であった。
朝鮮戦争ではアメリカ軍がトールボーイを誘導化させたASM-A-1(ターザン)が試用されたが、信頼性の問題から芳しい戦果は得られず、冷戦構造の完成により大規模な正規戦が成立しなくなってしまい、長らく地中貫通爆弾の出番も無かった。
バンカーバスターのコンセプトが再び日の目を見たのは1991年の湾岸戦争である。
大規模な戦争を想定したイラクは非常に堅牢なバンカーを多数備えており、突発的な参戦となった多国籍軍には十分な正規戦の備えがなく、バンカーを破壊する手段がなかった。
そこで開発されたのがGBU-28である。退役した8インチ砲の砲身を弾体としてリサイクルして作られたこの兵器は、急造ながら鉄筋コンクリートを6.7mも貫通する性能を実現した。
湾岸戦争の経験からその後もバンカーバスターの開発が続けられ、GPS誘導版の『GBU-37』、多くの航空機に搭載可能な2000ポンド爆弾である『BLU-109』(誘導爆弾化した際には取り付けるキットの名称によりGBU-24やJDAM等に変わる)、「GBU-28」の約六倍の重量を持つ大型爆弾『MOP(Massive Ordnance Penetrator)』や、核弾頭を使用した『B61』なども存在する。