概要
熱帯低気圧の一種で、ハリケーンやサイクロンとは場所や強さの基準が異なる。
ほとんどの台風は夏から秋にかけて、熱帯低気圧が強力になって発生。通常、太平洋高気圧の縁に沿って移動し、日本列島やフィリピン諸島、台湾、朝鮮半島などに大きな被害を与える。……そしてたまに迷走・停滞・逆行するので油断禁物。
日本では古くは「野分(のわき)」とも呼ばれた。ただ、野分は暴風全般を指す単語であり、まだ気象学が発展してない時代では、台風単独を指す言葉はなかった。
(ちなみに、日本で怖いものを並べたことわざ、「地震・雷・火事・親父」の「親父」は、大山風(おおやまじ、台風のこと)が訛ったものという説があるが、これは都市伝説との説が強い)
海上にある時から(かなり広い範囲で)海は大荒れになり、陸地に接近すると陸上でも暴風雨に見舞われる。
北上(南半球では南下)するに従って熱エネルギーを発散、寒気を巻き込むことで勢力が衰え、特に上陸すると暖かい海水面からのエネルギーの補給を絶たれ、陸地との摩擦で更にエネルギーを削がれる。
そして台風から(大きめの)温帯低気圧になり生涯を終えるのがテンプレート……だがたまに台風に戻ったり、温帯低気圧としても荒れ狂ったりする。
日本では、西寄りの地域で上陸する方がエネルギーを多く残しているため、西へ行くほど台風で受ける被害が大きい傾向がある。また台風の進行方向右側(危険半円、南半球では左側)では風速に台風の進行速度がプラスされるため危険度が高く、その反対側(可航半円)では比較的危険度が低く船が中心に引き寄せられにくいとされる。
激甚災害クラスでなくとも、台風の影響で交通機関が乱れたり、作物が被害を受けたり、停電したりする。
一部の人は、台風が近づくとワクワクどきどきしたりする(参照:シンフォフィリア/災害性愛)。
基本的に嬉しくないのだが、日本では台風は重要な水資源の一つで、台風一つで「四国のいのち」とも言われる四国最大の早明浦ダムの貯水率を0%から100%にした例もあり、一概に悪いものとは言えない。
また、台風が近づくと南の湿った空気を巻き込むため湿度が高くなり、非常に蒸し暑くなるが、通過した後は気温が下がることもあり夏場はしばらく過ごし易くなる。地球規模で考えてみれば、熱エネルギーの大移動であり、台風がなければ緯度による温度差はもっと開いているだろうと考えられている。
…とはいえ学校や会社がある平日に限ってそれたり、連休やイベントのある日に限って直撃する(それによるイベントの中止がする)為ありがたいと思われる事は永遠にないのだが…
がけ崩れ、山崩れ、土石流、水害などが起こりやすくなるので、危険な場所には近づかないようにすること。
特に台風の中「田んぼ(畑・用水路)の様子を見に行く」という行動は『死亡フラグ』の一つとなっているのでマネしないように。作物が大事なのは解るが、それも自分が生きていてこそである。
また、「ビッグウェーブを求めてサーフボードを持って海に繰り出す」行為や、アンテナや瓦を直すために「屋根の上に登る」行為も同様である。
日本は台風常襲国で毎年多くの人が死んでいる。過去の人口増加期に行われた危険地帯の宅地化とそのインフラの老朽化、高齢化、災害の激甚化などにより、平成末期からやたらと被害が大きい。ほぼ毎年襲来する沖縄県では、伝統的な家屋が低くなっていたり要塞のようなコンクリート建築、取り外せる看板などと対策が充実している。
また、サイクロン、トロピカルストームまたはハリケーンとして発生した熱帯低気圧が日本の観測範囲に入ると越境台風として扱われ、台風第〇〇号と呼ばれるようになる(そのうちトロピカルストームとハリケーンは日本に上陸したことがある)。なお、サイクロンやハリケーンなどは、発生した場所が異なるために違う名がつけられているが、気象現象としては全く同じものである。
また、pixivの台風タグがついた絵は台風が近づくと閲覧数が跳ね上がる。
詳しくは下の閲覧数のグラフを参照。
台風の定義
次の条件のすべてを満たしたものが「台風」である。
位置
赤道の北側で、東経100度線の西側と東経180度線の東側の範囲にあるもの。
以下は、同じものが範囲を外れた位置にある場合の名前である。
- 赤道の南側の太平洋と東経100度線より東側にある同様のもの:サイクロン
- 赤道の北側東経180度線の東側と大西洋上にある同様のもの:トロピカルストーム、ハリケーン
勢力
中心付近の最大風速(10分間の平均)が17.2m/s(34ノット)以上のもの。
勢力の要件を満たさない場合は「熱帯低気圧」である。
台風の大きさと強さ
気象庁は、台風の大きさと強さを次のように定義している(参考)。
大きさ
階級 | 強風域の半径 |
---|---|
大型 | 500km以上~800km未満 |
超大型 | 800km以上 |
強さ
階級 | 最大風速 |
---|---|
強い | 33m/s以上~44m/s未満 |
非常に強い | 44m/s以上~54m/s未満 |
猛烈な | 54m/s以上 |
備考
- 「大型」の台風が「強い」勢力になった場合、台風情報では「大型で強い台風」などと表現される。
- 1999年までは、台風について「小型」「中型」「弱い」などの表現もされていたが、台風による被害(災害)の危険性が低いという誤解を招く恐れがあるとして、こうした表現は2000年に廃止されている(台風はたとえ雨や風が弱くても、長時間同じ場所に留まるなどして、甚大な被害を出す場合がある)。1999年には玄倉川水難事故(この時の豪雨の原因は台風に満たない「弱い熱帯低気圧」であった)などが発生したため、その影響もあってこうした「表現の変更」があった。
- よく誤解されがちだが、「大型の台風=強い台風」ではないし「小型の台風=弱い台風」ではない。大型か小型かは、あくまで強風域の半径・直径がどの程度であるかを意味しており、台風の強さ(具体的には台風の中心付近での風の強さ)とは一切関係がない。そのため、(2000年に廃止された表現も含めて)極端に言えば「超大型で弱い台風」も「小型で非常に強い台風」も表現としてはあり得るのである。強い台風が接近した時、「大型台風が来た」という表現がなされる場合があるが、これは厳密には誤りである。
- 伊勢湾台風やハリケーン・カトリーナなどのように、「猛烈な台風」の中でも特に勢力が強いものを指して「スーパー台風」と呼ぶ場合があるが、気象庁が定義した用語ではない。米軍(JTWC)では、最大風速が67m/s以上の超猛烈な台風を「スーパータイフーン」としており、これを日本語に訳したものが「スーパー台風」である。おおむね、中心気圧が900hPa前後かそれよりもさらに低くなれば、ほとんどの場合「スーパー台風」となる。地球温暖化が進むと、伊勢湾台風級のスーパー台風が日本を襲う頻度が高まることが、スーパーコンピューターの計算によって判明している。
- NHKの台風報道においては「減災報道の原則」に則って上陸ポイントからレポートしてはいけないというルールがある(参考)。
関連イラスト
余談
- 自衛隊でも災害派遣などで縁深いものであるが、もう1つ自衛隊内での俗語としての「台風」と呼ばれるものがある。教育隊や高等工科学校等の教育機関において、居室のベッドメイキングや整理整頓が出来ていない下っ端隊員や生徒への私的制裁として、班長が毛布や私物などをぶちまけることを指す。班長がヒマな時だと、服に毛布を詰め込んで人形を作ってあることもあるらしい。
語源
古くでは日本では台風のことを「野分き」と呼んでいた。明治末期に「颱風」と呼ばれるようになり、後に「台」の字をあてるようになった。
台風の語源は複数説があり
1.中国の「大風(タイフーン)」がヨーロッパへ渡り「typhoon」となり、再び中国語圏に入ってきた際に「颱風」となった。
2.中国の福建省付近で「台湾で吹く風」という意味で使われていた説。
3.アラビア語のぐるぐる回るという意味の「tufan」が転じた説。
4.ギリシャ神話の風の神「typhon」が転じた説。
等がある。
関連タグ
斉木楠雄、ララ・サタリン・デビルーク:いずれも修学旅行の中止を阻止するためという理由で台風を撃退?している。(ただし楠雄は『台風の軌道を逸らした』のに対しララは『泣き叫んで台風をかき消した』と撃退内容が異なる。)
邪神ちゃんドロップキック:リアルイベントに際し、台風が接近して中止となるようなケースも存在するためなのか「おのれ台風」という文字のプリントされたTシャツが作られた。そして、2024年も……。