概要
父は妖怪を研究する民俗学教授「藤井一」で子供の頃行方不明になり、母からは育児放棄されたため、高校生にして一人暮らしをしていた。
しかし父の遺言を持って現れたパイと出会うことで日常が一変する。
三只眼の使い魔である怪鳥タクヒに襲われ絶命する瞬間パイの額に第3の目が現れ、魂を抜き取られた八雲は不死身の「无(ウー)」となってしまう。
交通事故で潰れた身体がすぐに再生する姿を友人たちに見られ「化物」と恐れられると、もう日常へは戻れないと悟りパイと共に人間になるため旅に出た。
だがそれは300年前に封印された三只眼の王・鬼眼王(かいやんわん)と、鬼眼王の復活を暗躍するその无・ベナレスとの長い戦いの幕開けを意味していた・・・。
ちなみに口癖は「ヤクイ」で「ヤバイ」の意味。
能力
元々戦う術を持たないただの一般人が不老不死になっただけだったので、初期の頃は不死身にかこつけた特攻が唯一の攻撃方法だった。
第二部以降は体術や獣魔術を身に付け、敵と対等に戦えるようになったが、それでも術者としては脆弱な方でベナレスをはじめとする一級の妖魔には歯が立たないことが多かった。
鬼眼五将の行や大魔道士マドゥライの指導と能力を受け継ぎ、数多くの戦いを経ることで著しい成長を遂げ、最終的にはベナレスや鬼眼王に唯一対抗できる存在になっていく。
使用獣魔
土爪(トウチャオ)
巨大な三つの爪を持つ甲虫の姿をしており、その三つの爪で標的を切り刻む。
闇を好む性質があり、地面に手を置いて召喚すれば、三つの爪だけが地面から飛び出して標的に向かって行き、空中に向かって召喚すれば、姿を現さず三つ筋の斬撃を放つ。
光牙と契約するまで八雲にとって唯一の攻撃用獣魔だった。
物語後半に出てくる上位妖魔相手には力不足感は否めないが、それでも人間や下級妖魔を簡単に引き裂く威力があるので主に接近戦に使われるようになった。
鏡蠱(チンクウ)
鏡のような体表を持った大きな蜘蛛の姿をしており、光術を反射する対光術用獣魔。
光を使った術をはね返す他に粘着性の糸を吐き出す事も出来る。
光牙(コアンヤア)
三つ目を持つ光の竜の姿をしており、攻撃用獣魔としては最強クラスの破壊力を持つ。
高熱を纏いながら直進し、障害物があろうと爆発して吹き飛ばしながら貫通する。
八雲にとって土爪以降の主力の獣魔で、熟練すれば軌道を屈折させたり、連射する事や拡散させる事の他、旋回させて巨大な光の繭を作るなどの応用も可能である。
ただ光の獣魔なので、鏡蠱など対光術獣魔を使われると弾かれてしまう。
走鱗(ツォウリン)
保護色を持つ板状の身体をしており、術者を上に載せ高速移動する。
いうなれば自立移動型スケートボードである。
本来は移動用獣魔だがフェイント攻撃にも使用した。
假肢蠱(チイアチークウ)
クワガタのようなハサミと尖った殻を持つ手足のない甲殻類のような姿をしており、失われた四肢を補う能力を持つ他に、鎌の様な刃で攻撃する事もできる。
カルキ戦で右腕を失ったハーンの右腕を再生した。
ハーン死後は翼に変化させて飛んだり、トリッキーな攻撃にも使用した。
哭蛹(クーヨン)
間抜けな顔をした河豚もしくはオパオパのような姿をしている。八雲の切り札の一つ。
超常的力の源ともいえる精を瞬時に食い尽くし無力化してしまう「精食粒(ちんしーりー)」を吐きだす。
精食粒の影響下では敵味方問わず一切術も能力も使えなくなってしまう。
威力を限定的に使えばどんな結界をも消し去ることができ、電子暗号化してネットワークに流せば世界中に蔓延る鬼眼王の破滅の力をも食らい尽す。
闇魚(アンユイ)
巨大な漆黒の魚の姿をしており、闇を吐き出して敵の目を眩ませる。
この闇は視覚以外にも敵の気配や妖気も全て遮断できる。
石絲(シースー)
花の蕾に口が付いた姿をしており、標的を石化させる。
口から針のようなものを飛ばし、刺さったものを石に変える。
不老不死の无にも有効な獣魔だが、ベナレスは既に対処方法を持っていた。
导息(タオシー)
巨大な円盤に美しい女性の顔がついた姿をしており、対象の傷を回復させる。
また攻撃のダメージを軽減させる事も可能、ただし回復中はかなりの精を消費し、術者は身動きが取れなくなる。
雷蛇(レイシヲ)
雷で出来た蛇の姿をしており、標的に電撃を食らわす。
八雲が後日談で使用した獣魔。光牙ほど派手さはないが雷術であるため対処しにくい。
追鱗(ジユイリン)
空飛ぶ巨大な三葉虫の姿をしており、標的を追尾する。
八雲が後日談で使用した獣魔。ワイヤー状の触手があり触れたものに付着してどこまでも追いかける。
被甲(ピージャー)
人型の甲虫もしくは甲殻類の姿をしており、術者の鎧となって守る。
八雲が後日談で使用した獣魔。パワードスーツのように術者を包みこむ。
作中では鎧獣魔とも表現されている。話からすると相当装甲が厚いようだ。
その他使用した術
魔現封神
4000年前大魔道士マドゥライがベナレスを封印した術。
八雲がマドゥライに師事した際に受け継いだ。
魔物が四方に発散する精を利用し封じる術でそのため相手の力が強いほど封じる力も強くなる。
非常に強力な封印術だが呪文が長いことと、相手に対して封じる大地の許容量が足りなければ失敗するという欠点がある。
月面でベナレスを封印しようとしたが、強大な龍神であるベナレスを封じるには月では許容量が足りなかった。