概要
元々開祖日蓮は国内の宗教情勢を批判し闘った人である。その弟子たちが後の日蓮宗を作ることになるのだが、弟子のひとりである日興は主流派と袂を分かち独立、富士大石寺(後の日蓮正宗)を開山。日蓮系教団の中では急進派の存在として知られていく。この経緯からもわかるように、よく混同されるが日蓮宗と日蓮正宗は別物で、仲もあまり良くない。
とはいっても分派ゆえ、今の日蓮宗系のほうが圧倒的に多く、ローカルな存在であった。創価学会はかつてはその「日蓮正宗」の内部信徒団体だった(ただし宗教法人は日蓮正宗とは別に登録していた)。
創価学会は日蓮正宗の中でもさらに急進的で、それゆえ初代会長牧口常三郎と2代目会長戸田城聖は宗教統制を目指す軍部に逮捕され解散。牧口常三郎は獄死した。
戦後になると状況は変わる。日蓮系教団が軒並み国家主義的な日蓮主義に傾倒していたのに対して創価は戦争に非協力的だったこと、比較的新しい鎌倉仏教の系譜ゆえ霊魂や先祖崇拝・自然崇拝といったオカルト要素が薄いこと、他の教団を批判することに躊躇が無い、日蓮正宗の傘下であるため新興宗教では無いとも言えること、いかにも高度成長期らしい集団主義といった点から、他の新興宗教教団に対して優位に立てた。
「折伏大行進」と称して創価学会は都会の出稼ぎ層などを取り込み、急速に勢力を拡大。巨大組織を作り上げた。この辺のエネルギーは高度成長期ならではであり、多くの新興宗教教祖がこの模倣を目指したが誰一人成功していない。
一方、多くの事件も起きた。また、他の宗教を全否定するという教義は神仏習合をやってきた日本では珍しく、恐れられた。さらに下部組織公明党はかなりの議席数を確保しこちらも恐れられた。
日蓮正宗との関係も徐々に悪化。1991年、3代目池田大作の代に日蓮正宗法主・日顕から一方的に破門され、現在は独立した宗教団体となった。この後10年間にわたり日蓮正宗と泥沼の争いを繰り広げた。
破門後は宗教的な面ではアバウトになっており、池田大作と他宗教関係者、有名人・学者との対談企画など他宗教に宥和路線を取るようになった。2015年、イタリアとインテーサ(宗教協約)を結んだ。
「創価学会員は神社の鳥居をくぐらない」とか言われていたのもあてにならなくなりつつある。というのも、学会で禁止されているのは神社や寺に行うさい銭やおみくじといった供養の行為であり、他宗のお祭りの屋台に行くことは容認されているからである。
また、勧誘も強引な手段が多かった昔よりは鳴りを潜めているらしいが支部にはそれでも勧誘ノルマがあるようである。
池田は政治運動を好むところがあり公明党にも力を入れるなど、創価学会自体が政治団体のようにすら思われている。宗教への関心が薄れた時代でも創価学会が議論になるのはやはり公明党の存在が大きい。
日蓮正宗、そして日蓮正宗からの喧嘩別れによる分裂団体である顕正会、正信会とはお互い仲が悪く、元は同一団体だったため教義も近い事もあり信者の引き抜き合いも盛んに行われている。
教義
- 仏教が最も勝る。
- 仏教の中でも上座部仏教、大乗仏教があるが大乗仏教が最も勝る。
- 大乗の中でもいろいろ経典があるが法華経が最も勝る。
- 法華経の中でも鳩摩羅什による漢訳版が最も勝る。
- そして、その法華経信仰を守った日蓮が最高の宗教家である。
- その弟子の中でも日興が最も勝る。
- 日興が立てた富士大石寺の教義が最も勝る。
- しかし今の富士大石寺は乗っ取られてしまっているので正統な後継は創価学会である。
という思想構造になっている。
法華信仰のひとつではあるが基本的には法華経よりも日蓮御書を重んじる(これは日蓮系共通の特徴)。さらにこれに加えて小説『人間革命』『新・人間革命』が事実上の経典となっていると言われる。
活動
法華経に帰依するため毎日お祈り(勤行)をして「南無妙法蓮華経」と唱えれば、仏の加護によって良いことが起きる。
実際に良いことがあれば修行が足りているということだし、これでも悪いことがあれば修行が足りないということになる。
高度成長時代は基本的に良いことのほうが多かったためこのシンプルな教義は人気があった。しかし21世紀日本ではこの教義は厳しいところがあるだろう。
創価学会は日蓮正宗と分離したため葬式は僧を呼ばす「友人葬」で行う。墓も伝統的スタイルとは異なる独特のスタイルになっている。
会員の奉仕活動
信者の中には大企業の経営者などとして力を持つようになった者も多く、また系列の学校創価学園は幼稚園から大学まである。アメリカにも創価大学はある。聖教新聞や公明新聞と言う新聞を発行している。テレビ業界へもスポンサーとして出資している。
信者の芸能人・芸術家で組織する「芸術部」があり、所属する芸能人で熱心な者達が広告塔として機関紙やシナノ企画の広報DVDによく出演している。ちなみに信者である芸能人は学会内では特別扱いかと思われがちだが、実際は他の信者達と対して扱いは変わらない・他の信者からしても一般信者と対等視されているとの事。
三色旗がチャドやルーマニアの国旗と似ていることが度々ネタにされるが
左から順に「平和」「栄光」「勝利」を意味したもので特に関連は無い。