NTTドコモやKDDIのように自社で設備を持つ携帯電話会社(MNO = Mobile Network Operator)ではなく、それらの会社から回線設備を借用し、独自のプラン・サービスを用いて提供するのがMVNO(=Mobile Virtual Network Operator)である。
携帯電話先進国である欧州を中心に広がりを見せていたが、2013年頃から「月額900円前後で一定容量までフルスピードのデータ通信を使える(超過しても帯域制限ありで使える)」ということを売りにしたことから一気に広まり、一定の市場を築きつつある。
MVNOの回線サービス
早くから普及していた欧州と異なり、日本では「データ通信のみ」が中心で、2015年頃から「データ通信+音声通話」の提供も一般化し始めている。
そのデータ通信も、「契約したデータ量まではフルスピード(LTEで75~300Mbps、3Gで7.2~14.4Mbps)で利用可能、超過すると200~300Kbpsに帯域制限されるが定額で利用可能」がほとんどで、2016年2月時点では「月間3GBまたは1日110MB(=月間約3GB)までフルスピードで月額900円」というあたりが売れ筋となっている。
また、ほとんどの会社はNTTドコモの回線を使用しており、ほぼ独占状態である。これは単にMVNOへの回線卸値が他社よりも圧倒的に安価だったからであり(2013年頃だとKDDIの約1/2、ソフトバンクの約1/3)、「品質のよい回線が一番安い」という市場原理の結果である。
その後、2014年にケイ・オプティコムがKDDIのMVNOを、2016年には岐阜県の飛騨高山ケーブルネットワークがソフトバンクのMVNOを、それぞれ開始しているが、いまのところKDDIの回線を用いている会社はKDDIの関連会社または関係の深い電力系通信事業者くらいしかなく、ソフトバンクに至っては1社のみとなる。
回線に付随するサービスのうち、データ通信とSMS、音声通話はほぼMNOと同等だが、iモードメールなどのキャリアメールは利用できない。iPhoneならiCloudを、AndroidならGmailを、それぞれ代替手段として使うことになる。
MVNOの端末
基本的には「MVNOが使用しているMNOのキャリア端末」か「MNOの通信方式・周波数帯と合致するキャリアフリー端末」のいずれかを使用することになる。前述の通りほとんどのMVNOが使用する回線がNTTドコモであることから、複数のキャリアから発売されている端末、とくにiPhoneの中古市場ではNTTドコモ版かキャリアフリー版の端末が買取・販売価格ともに高いという傾向がある。
また、これまで日本のキャリア向け端末を販売してこなかった海外メーカー、とくに台湾や中国のメーカーが日本市場向けにAndroid端末を販売するようになっている。さらに日本ではIS12T以来新機種が途絶えていたWindowsPhoneがこの市場で息を吹き返しつつある。
MVNOの契約・サポート
MNOのように「街中にキャリアの看板を掲げた販売店がある」わけではなく、契約・解約やサポートはすべてインターネットまたは電話の窓口を用いることになる。ただし大都市圏では家電量販店等に窓口を設けるMVNOも少しずつ出ている。
主なMVNO
NTTドコモの回線のみを使用している事業者
NTTドコモとKDDIの回線を使用している事業者
KDDIの回線のみを使用している事業者
ソフトバンクの回線を使用している事業者
- 飛騨高山ケーブルネットワーク
関連項目
マツコ・デラックス - OCNモバイルONEのCMキャラクター