『前提』の話をしよう。
全知全能の神々といえど、過去、未来に渡ることはできない。
ただし、神の御業(みわざ)とは何ら関係ない『強運』の人物がいたとしたら。
億が一、兆が一、極(ごく)が一……カオスのくしゃみに巻き込まれ、未来、あるいは過去の世界に辿り着けるかもしれない。
「私こそ清く、正しく、美しいLv.3、アリーゼ・ローヴェル! 【アストレア・ファミリア】の団長よ!」
「え……ええええええええ!?」
前置きが長くなったね。
これから語るのは、そんな時を越えてしまった、男の子の話ってことさ。
概要
『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』19巻の特装版として付属していたドラマCDである。
本編から7年前の『暗黒期』のオラリオに原因不明のタイムスリップをしてしまった主人公ベル・クラネルは、かつてリュー・リオンが所属していた【アストレア・ファミリア】の面々とリューの親友アーディ・ヴァルマと決してあり得なかった出会いをしてしまい、リューから聞かされた彼女達の悲劇的な運命を変えるためにたった一人で運命に抗う異色の英雄譚。
「アストレア・レコード」で描かれた『大抗争』の前日が舞台となっており、所謂「アストレア・レコード」のIFルートとなっている。なお、ベル自身は【フレイヤ・ファミリア】との『派閥大戦』後の世界からやって来ている。
登場人物
原因不明のタイムスリップをしてしまった【ヘスティア・ファミリア】団長の少年。Lv.5。
いつものように自分の部屋で寝ていたはずなのに何故か路地裏で目を覚ます。
【アストレア・ファミリア】所属のエルフの少女。
当時は最年少の14歳(今のベルと同い年)で、現在の雰囲気とは異なり、周りにイジられて怒ったり慌てたりする姿にベルから「親戚の妹」を見るような微笑ましい目に納得いかない様子を見せる。
【アストレア・ファミリア】の主神の女神。
ベルと邂逅した際、まだ下界に降りてきていないはずのヘスティアの名前を言った彼を未来から来た人と信じて彼を保護して自身のファミリアに居候させる。
【アストレア・ファミリア】の団長。
【アストレア・ファミリア】の副団長。
【アストレア・ファミリア】所属の小人族(パルゥム)。
【ガネーシャ・ファミリア】所属の冒険者。団長シャクティ・ヴァルマの妹で、リューの親友。
正史では『大抗争』勃発時に『闇派閥』に唆された子供の自爆に巻き込まれて死亡。
男子禁制のはずの【アストレア・ファミリア】の本拠から出て来たベルを怪しんで話し掛け、色々と誤解が生じて泥棒と思って逮捕するが、アストレアが釈明したことで解放。
『アルゴノゥト』の話題を出したことで『アルゴノゥト』を始めとした英雄譚に詳しいベルと意気投合する。