こんな異変が起こるようです
博麗の巫女、博麗霊夢はある一つの噂話を耳にする。
それは、人里で『空に浮かぶ謎の橋』が見られた、というものだった。
空を妖精が飛んだり、船が飛んだり、人までもが飛ぶのだ。特に不思議な話ではなかった。
しかしそれだけではなかった。雲一つない快晴の空にも関わらず、その橋は4丈程で途切れているように見えなくなっているのである。
さらに、鳥などの動物は皆、その橋を避けるように飛ぶ。人が追いかければ、虹を追いかけるように、どんどん遠ざかっていく。
さらにさらに、その橋を渡れば、巨万の富が手に入るという噂まで立っていた。
巨万の富への欲望、そして少しの好奇心、僅かな疑心と共に博麗霊夢は立ち上がった。面白そうだからとついて来る魔法使い、霧雨魔理沙。神の為に橋を目指すことにした山の巫女、東風谷早苗。
彼女らに加え、その橋のずっと上、天界でも天真爛漫少女、比那名居天子が動き出した。
逃げると聞いたその橋はまるで彼女らを誘うかの如く近づいているようにも見えた。
橋は長く続く。永遠を体現するかのような長い道を出たとき、少女らは驚愕した。
そこには、先程までの青い空は何処にもなく、眩い夕暮れが広がる。
ここはどこだ、その言葉を口にする前に、一つの声が聞こえた。
「『世外』に入ってくるとはどうやら下の愚かな人間共とは違うようね」