君型迷宮図
きみがためいきゅうず
どうか、君に解いてほしい。
この記憶迷宮のからくりを―
(単行本版カバーより)
君型迷宮図とは、久米絵美里(くめ・えみり)作の小説。
2018年7月~9月に朝日小学生新聞に連載され、その後加筆修正され同年12月25日に、朝日学生新聞社より単行本化された。挿絵はどちらも元本モトコ(もともと・もとこ)。
本の帯によると、分類はファンタジー。
・この記事はまだ書きかけです。
・ストーリーをもっと要約してくださる方を探しています。
ストーリー
事故紹介
見知らぬ場所で目覚めた「ぼく」。混乱する中で、三人の人間に出会う。辞典のような本を持ったどこか都会的な青年サノ、舵のような髪飾りを付けた女の子リョウ、サノとそっくりな顔に色とりどりの髪をのせ、トランペットを腰に下げた、何も言わないイチ。
そして自分は、白いコットンパンツを穿き、白いロングTシャツを着ていた。(「何とも味気ないかっこうだ」byぼく)
名前も、何もかも忘れてしまったぼくは彼らによって「公」=主人公 と名付けられる。
木の根のようなもので作られたトンネルの中にいる公たち。サノはここを記憶迷宮だと説明した。
記憶迷宮とは、世界の記憶が集う場所(あそことは違う)。そして彼らは記憶迷宮の管理人。迷宮の中の記憶を管理している。(仕事内容はこのあと)
木の根もどきの正体は、こちらの世界の神羅万象とつながっていて、木の根の中を流れている光が記憶。(なんでからまらないの=記憶迷宮の中ではからまっているが、切れないよう管理している)
それなら、ぼくの記憶をくれればいいと公は言うが、ここでの記憶はあってはならないため、出口についたらここでの記憶を消し、それから渡すと断られた。
公はやはりよくわからないのだが、けっきょく公は3人と歩き出すこととなった。
第一退治の一大事
ジジッ、と突然音がしたかと思うと、目の前に巨大な頭が三つのライオンが現れた。
首の一つが襲い掛かってくるが、その横から、万年筆のようなペンと辞典のような盾を持ったサノが切りかかる。
「理論武装って言うんだ。いいだろ」
その横では、トランペットを持ったイチが背中に大きな羽を広げ、浮かび上がり、トランペットを吹いた。トランペットからはきれいな音と七色の音符が飛び出し、ライオンに当たる。
そしてリョウはと言うと、髪飾りの舵を外し、地面に突き刺した。大きくなる舵。その舵を切り、二人のバランスをコントロールしていた。
公は、床に手をつき歌ったり、暗算したりすれば、それぞれイチとサノを助けられることをリョウから聞く。その力を使い強化されたサノ&イチはライオンを撃破し、戻ってきた。
このライオンは記憶の暴走、いわば夢。モモとカイという仲間から飛んできた記憶らしい。
どうしてあんな武装ができたか。管理人の力なのだが、あの武装は、それぞれの記憶処理の専門分野が実体化したもの。イチは絵や音楽などの芸術、サノは言葉、数学など論理を担当。(要は覚え方の違い)リョウはふたりをつなぐ役割。
前に書いた公の力により、公はただのお荷物ではなくなった。彼らは迷宮を歩くのち、部屋と呼べる空間にたどり着いた。
散る落ちる闇
ドーム状の部屋にたどり着いた一行。管理人の一人「ショウ」は、部屋いっぱいの倒れたトレーニング器具に埋もれていた。
ショウは10歳くらいに見える、オレンジ色のタンクトップを着た少年。
トレーニング機器は、事故と呼ばれる地震で倒れたらしい。
公たちは、倒れたトレーニング機器を起こすのを手伝うことにした。(サノが立て直したのは一台だけ。レンチをもてあそんでいた)
ここでサノは、この迷宮の中に自分の部屋があることを語った。ドーム状の部屋が二つに分かれていて、片方がサノ、もう片方がイチ、真ん中の廊下のような空間がリョウ。
「あっれー?全然進んでないじゃないっすか!」
というショウの言葉で、話は終わった。
ショウは空を飛ぶことが夢で、そのための研究をしている。出口の方面にある「カイ」と「モモ」の部屋に行くことを話すと、特製パラシュート「ドリームライダーⅡ」を使い、近くにある穴から降り、そこから行くのはどうだと進めた。
なんだかんだでそこを通ることに決まり、公の先にイチ、リョウが降りて成功。公も飛び降りるが、パラシュートが開かないという事態に。それは夢だった。イチとサノに助けられ、穴の底にたどり着いた。
コンプレックスコンプ
太い黒縁眼鏡をかけた青年カイ、透明なカプセル部屋の中のパジャマを着た少年モモが登場。カイは必殺記憶の整理人。記憶の量にいら立っていた。モモは感情担当。
泣き叫ぶモモ。モモは繊細な感情の処理に追われ、とても無理をしていた。その証拠に、モモの腹にはいくつもの青いあざが。ここでみんなと思い出だけを抱えて生きていきたい。起きたくないと話す。
モモのことをあまり考えてあげられていなかったと罪悪感を持つリョウとは裏腹に、自分の苦労に酔ったいいわけだ、爆弾のような感情を細かく分解するのにはとても神経を削る。と責めるサノ。できないことは俺たちにも言えばいい。そうしたら、こうはならなかったと。
「じゃあ、やってみせてよ。じゃあ、戦って見せてよ。勝って見せてよ。ぼくにできなかったことがみんなできるっていうなら、やってみせてよ」
そういうなりモモは記憶の書類を、取り出しては床に投げ捨てる。それに反応して夢が発動。
にんまりと笑った色とりどりの仮面に、物理的・心理的に苦しめられる。苦しさに暗算もできない。
そのとき、丸いクッションのような光の玉が、仮面を押しのける。光の玉に助けられ、ようやく暗算をすることに成功。サノ、イチ、光の玉が、仮面を全滅させた。
モモとの関係も解決。仮面は、なんと公の記憶からできたものらしい。事態はもっと複雑なようだ。
そして、公は「基本ノート」というものの存在を耳にした。
※以下ネタバレ注意
ふたする双子
「サノたちはずっと、ぼくにうそをついてたの?」
書類の入った段ボール箱を持ち、三人の部屋に向かう一行。
「記憶がない君に、いきなりすべてを説明しても混乱するだけと思って、君が不安にならないようなやさしい作り話をしただけさ」
「でも、じゃあ、うそだってばれたわけだし、もう教えてくれていいよね。ふたりとも、何を隠しているの?」
彼らは答えない。
歩くのち、公たちは三人の部屋にたどり着いた。
「やっぱり、落ち着くー」
そう言うリョウをここで待つように説得し、イチを連れて歩き出すサノ。
しばらく歩き、サノは立ち止まった。例の木の根もどきしかない。
どこか緊張しているサノ。ジーンズのポケットに入っていたレンチを、いきなり取り出してイチのほうに振り上げる。トランペットで受け止めるイチ。