転売屋
てんばいや
概要
転売とは簡潔に言えば商品や各種チケットを自分で買った上で、それをまた第三者に売る(=転売)ことで、生じる差額を自らの利益とする行為である。
これ自体は犯罪ではなく、土地売買などでは商売手法として一般的な行為となる。
さらに言うなら、商店街で催されるフリーマーケットで、中古品を売り買いする行為も、本来は転売行為の一つである。
よって本来、「転売屋」という呼び方に深い意味はなく、転売そのものが非難される行為ですらなかった。
が、現代において「転売屋」とはその行動を問題視するニュアンスで使われることが多い。
完全な蔑称としてのネットスラング「転売厨」という言葉も存在する。
問題視される理由
ざっくり言えば「本来の購入者(需要者)の利を大きく損ねること」が大きな問題である。
これに加えて、先の生じる差額を大きく釣り上げようとする行為は、とかく需要者の反感を買いやすい傾向にある。
主に転売屋という言葉が表立つ契機となった代表的な事案は以下の通り。
- 人気歌手グループのコンサートなどのチケットを買い占め、倍の値段で売る行為(金券ショップは別)。
- ゲーム機本体やマニア向けの商品など、一時的な品薄や希少価値の高い商品を買い占め、大きく値段を釣り上げる行為(特に限定商品)。
- 時勢の影響で需要が高まった生活必需品などを買い占め、希少性を高めつつ差額を釣り上げる行為。
- 無料配布の品々や、有名人のサインなど、無償で配られた者に多額の値段を付ける行為。
特に悪質な場合、盗品を転売する犯罪者も現れるという程。だが、これについては最早「転売屋」として語る域を越え、ただの窃盗犯、犯罪者集団と言えるだろう。
これによって起こる弊害は、「通常の店舗では入手できなくなる」、「そもそも入手に失敗する」ことだけに留まらない。
- チケットの転売を防ぐため、購入者以外のチケット利用が禁止される対策が取られた。これにより「都合が付かず友人にチケットを譲渡する」という行為ができなくなった(転売対策の影響で客数が激減した例も)
- ゲームやマニアグッズなど嗜好品について、販売店や販売元に無用なクレームが入り、業務に支障をきたす。販売時に余計な手間が挟まれるようになるなど。
- 生活必需品が本来必要な人間に届かなくなり、生活や業務に大きな不便を強いられることになる。
- 転売対策として有名人がサインを断らざるを得なくなる、無料配布そのものが中止される。
- 本来の転売行為のイメージが悪化し、問題視される謂れのない転売行為に対し、理不尽な物言いを付ける見境のない者が現れるようになる。
と、様々な二次被害が拡大している事実が存在するのが現状である。
何より最後に記した、本来なら法律的にも問題のない転売行為にすら批判が向く場合もあり、完全なとばっちりとなってしまっている。
先の通り、法律的にも問題なく、需要者にも可能な限り公平に利する目的であれば、本来なら問題行為とされることではない。
よって、見境なく非難するのも、また褒められた行為とは言えないだろう。
転売屋への対策
先の通り各々の機関で対策が取られている現状がある。
政府もこれらの社会問題が広がるにつれて対策を打ち、特にチケットについては「チケット不正転売禁止法」としてダフ屋と同じ犯罪行為と見なすようになった(金券ショップは強化を得たものであるため例外)。
が、何が一番の問題かと言えば、値段に糸目をつけない買い手が一定数いることに他ならない。
逆に言えば、買い手がまったくつかなければ、転売屋としては無駄な買い物をしただけで、大損をするだけとなる。
よって、最大の対策は(悪質な)転売屋からは買わず、正規店・ほぼ正規の値段に近い商品を選んで購入することである。
これに対し、転売屋もあえて転売テクニックをあえて広めることで同業者を増やす=相対的に価値を釣り上げるなどの行為を行う場面も見られる。
よってこれだけでは十分とは言えないが、前提として正規ショップ以外からは買わないというのが、こういった社会問題を沈静化させる基本対策となるだろう。