概要
相手の気力や自信、生命力などを奪い、自分のエネルギーにしようとする人間のこと。より簡単に「一緒にいると疲れるタイプの人」と表現されることもある。
相手のポジティブなエネルギーを強奪する様子が吸血鬼が人間の血を吸い取る行動と似ていることから、英語圏を中心にこう呼ばれ始めた。英語では「psychic vampire」(直訳すると「精神的な吸血鬼」)と呼ばれることも多い。
スピリチュアルや自己啓発などの界隈で多く使われているワードであり、現在精神医学や心理学上の概念として明確に定義する文献は存在しない。ただし、エナジーバンパイアとされる人を形容するパーソナリティや、エナジーバンパイアの被害についてはある程度学術的な根拠を持って語られることがある(※エナジーバンパイアの言動から各種のパーソナリティ障害と推測したり、その被害については適応障害などストレス性の心身の不調と関連づけられたり、といった例が挙げられる)。
特徴
エナジーバンパイアとされる人物は、高圧的で自己主張が強く、利己的な言動をとる。
例えば、自分が気に入らないから、という理由で他人への悪口を大っぴらに言ったり、相手を見下して利用したりといったことが挙げられる。また、中には倫理や常識に欠けていて、正論を後ろ盾にタブーに触れる、相手の言動に対して直接的な人格攻撃を行うようなタイプもいる。
対外的には正義感が強い、合理的と評価されていても、実際には相手の気持ちやその場の状況を考えず「自分ルール」を押し付ける、自分勝手な人物であることも少なくない。自分のメンツにこだわり、相手を大した理由なく威圧したり、自分や自分の関係者の能力・成績を誇示して脅迫したりといった権威主義的な姿勢が見られることもある。被害妄想が強く、少し相手に悪く言われたと感じただけで過剰に反撃してくる人物もいる。
またいわゆる「構ってちゃん」的な人物であることも多い。相手に好意的に振る舞っていたとしても、大したことでもないのにやたらと頼ってくるなど、ありとあらゆる場面で依存してくることで相手を追い詰めていく。
自分に注目して欲しいという考えから、虚実入り混じった過激な言動(過剰な自己アピール、不幸自慢など)を繰り返し、「自分が不幸になったのはあいつのせい」と周りを下げるような発言をすることもある。
エナジーバンパイアは、自分が周りのエネルギーを吸いとり、振り回していることに無自覚であることも少なくない。もちろん自覚的に相手を追い詰め、自分の意のままに動かそうとしているような人物もいる。
いじめやハラスメントのような嫌がらせ・暴力とも結びついているが、同じくエナジーバンパイアと定義される人物でも、自覚の有無に加えて悪意の有無も分かれている(つまり、本気で「相手にいいこと」だと思ってわざと困らせたり、相手が会話によって疲れているのを「自分のおかげで生まれた心地よい疲れ」と思ったりしているケースがある)。このため、第三者からバンパイア行為について指摘・指導を受けても、まったく効果がないこともしばしばある。
エナジーバンパイアの標的となった人、また周りにいる人は、その自分勝手で攻撃的な言動に振り回されることになり、精神的にストレスを受け、じわじわと疲弊していくこととなる。その人と一緒に過ごすことで不快感や疲労を覚える、といった気分の問題だけでなく、不眠・食欲不振、吐き気といった、ストレスが原因の体調不良に見舞われるようなこともある。
類似する存在
サイコパス(ソシオパス)
エナジーバンパイアと呼ばれる中には、少なからずサイコパス傾向のある人物が含まれている、あるいはサイコパスとエナジーバンパイア両方の性質を兼ね備えている人物がいるという見解がある。
他人に対する思いやりや共感性、常識や社会的規範を守る良心に欠け、自己中心的・利己的であるという共通点が見られ、またどちらにもアプローチの方法は違えど「自分の思うままに他人を操ろうとする」という部分があり、近しい概念と言える。
自己愛性人格障害、境界性人格障害
どちらも他人を自分の都合で振り回す、自慢したがりだが他人の評価に依存し権威主義的な姿勢を取る、気分の上がり下がりが極端などの特徴があり、エナジーバンパイアの背景になんらかの人格障害(パーソナリティ障害)があると考えられるケースも存在する。
インターネット上のエナジーバンパイアについて
ネット環境が発達し、多くの人と場所や時間を問わずやり取りできるようになった一方で、それまでは出会うことがなかったであろう存在の一つとしてエナジーバンパイアに触れるような機会も増えることになった。また、インターネットを介して「エナジーバンパイア」という概念を知った人も多く、その存在が可視化されることとなった。
年齢や性別、出身、家庭環境、思想などが全く異なる人々が集うことになるため、自分や相手にとっての「当たり前」が必ずしも世間一般の常識とは限らない。また、その中には他人の「当たり前」を許容せず「自分が100%正しく、間違っているものはどれだけ叩いてもいい」「自分の方が偉いので何をいってもいい」という思考を持っている、相手の状況を察せず無責任な言動をとる人物もいることとなる。
匿名性が高いサービスではとくにその傾向が強く、たとえば誹謗中傷や暴言などをはじめとする[[[[荒らし>荒らし(ネットスラング)]]行為という形でその攻撃性が発現されることとなる。
仮に直接被害を受けなくても、釣り、デマの流布(による風評被害)、炎上商法を狙った過激な言動といった形でのエナジーバンパイアの問題行動を目にするだけで精神的に疲弊し、各サービスの利用をやめてしまう、という人も少なからずいる。
どのようなサービスでも、ユーザーの数が増えればどうしても攻撃的な言動のユーザーも目立つこととなり、サービスの衰退を招く可能性もある。
若年層にネットが普及してからは、いわゆる「学校裏サイト」やLINEのようなメッセージ・チャットアプリ等でのいじめも出てきているが、学校のクラスのような小さく限定的なコミュニティでは、1人のエナジーバンパイアが周りを巻き込んで事態を悪化させる、不機嫌を「伝染」させてエナジーバンパイアを増やす、1人を標的に大勢で攻撃するよう扇動するといった事態が起こりやすく、ネットの利用により学校外でも広まりやすいと言える。
基本無料で利用できる、匿名性が高いサイトに比較的多いとされるが、例えば購入者限定でレビュー投稿ができる通販サイト、売買に手数料が発生する上に個人出品を中心とするオークション・フリマサイト、Facebookのように実名利用が前提となっているサービスにも当然おり、あくまで母数として多いので目立ちやすいといえる。
そもそも、大前提として現実のやりとりでそのような人がいるとされる以上、インターネット上の特定のサイトに限った話ではない。あくまで上記に挙げたのは一例である。
対策
距離を置く
相手と親密にならないことが、有効な手段である。
もし、相手が縁の切れない親族や仕事などのために付き合う必要のある人間である場合は、可能な限り会う機会を減らし、距離を近づけなようにしたい。
傾聴しない
真摯に相手の話を聞き入れてしまうとエネルギーを奪われるので、「どうしても理解できない人間はいる」と割り切り、話を聞き流した方がいい。
どうしても付き合わないといけない相手の話には、相槌は打ちつつも、前のめりにならず、同調や共感を示さないようにしよう。チャンスを見計らって話題を変えるのもいいだろう。
エナジーバンパイアと見られる架空の人物
詳細はそれぞれの個別記事を参照のこと。
キャラヘイトにあたる可能性もあるため、作中では明確に問題のある人物として描かれていない場合は記述しないように。
前野蜜也(月刊少女野崎くん)
劇中において「漫画業界の闇」を体現した人物。極めて自己中心的な言動で仕事も適当、すぐに他人の手柄を横取りしたがるが、本人は「自分は有能」と言って憚らず、多くの人を怒らせ、悩ませている。
中井ルミン(怖いトモダチ)
劇中におけるキーパーソン。おっとりとした雰囲気とあたたかい言葉で人々を照らす人気エッセイストだが……
立花ノア(あなたは私におとされたい)
巷で有名のインフルエンサー兼OL。証券会社のダイヤ証券に配属されて以来、職場をひっかきまわしている。
ユートピア・ドーパント/加頭順(仮面ライダーW)
「他者から生きる希望をエネルギーとして搾取、自分の中に取り込む」という、エナジーバンパイアを物理現象化させたような固有能力を持つ。
関連タグ
自己愛性人格障害-エナジーバンパイアと呼ばれる人に近い振る舞いをすると考えられている。
サイコパス(ソシオパス)、マキャベリスト-目的のためなら手段を選ばない人、他人を思い遣らず自分の意のままに振る舞おうとする人のこと。