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ブラック企業

ぶらっくきぎょう

度を超えた長時間労働やパワーハラスメント、残業代や各種手当の未払いなど、労働者にとって劣悪な環境が常態化している企業のこと。
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概要

ブラック企業とは従業員を人間扱いしないような企業(およびその経営陣)のことである。「ブラック」とは、労働基準法に違反した「違法」であること、つまり「犯罪」としての「クロ」に由来し、「法的にグレー」「違法ギリギリ」ではなく、「完全に真っ黒」という意味である。


他にも「汚い」や「悪い」という意味での「黒い」というニュアンスも含まれる。「企業」ということで、一般的にイメージされるような「会社」だけでなく、各組合や学校・医療機関などの法人、公営の企業や独立行政法人など幅広い組織の労働環境を指す。場合によっては「企業」ではない官公庁も含まれることがある。


法や行政の場における明確な定義はないが、厚生労働省においては、「ブラック企業」について定義していないが、一般的な特徴として以下の項目を挙げている。

  1. 労働者に対し極端な長時間労働やノルマを課す
  2. 賃金不払残業やパワーハラスメントが横行するなど企業全体のコンプライアンス意識が低い
  3. このような状況下で労働者に対し過度の選別を行う

具体的にブラック企業でどのようなことが行われているのかというと…


  • 365日24時間、死ぬまで働け
  • 労働三法なんて知ったこっちゃない。企業コンプライアンス?なにそれおいしいの?
  • 残業代?ねぇよんなもん。(サービス残業が横行している。または残業や割増賃金代の全額を支給しない)
    • 一般にブラック企業と呼ばれない場合でも多いパターンとしては本来の業務時間前に朝礼等の作業を強制しつつ(時間外労働)も業務時間外であることを理由に給料には反映させないということがある。それに参加していない人間は、たとえ業務時間前に出勤していたとしても遅刻等の何らかの罰則に相当する場合も。
  • 仕事のミスに罰金の請求をする。
  • 生産したり契約とって利益を生み出してないのに給料をもらおうなんて厚かましい。だから、研修や試用期間の教えてもらっている間に給料を払うのはおかしい。
  • 自爆営業。ノルマを達成できなかった従業員に自社製品を購入させる。
    • 仮にノルマを達成しても、一切の手当が出ない(ノルマ達成を当たり前と思い込む)。
  • 経費は飽くまで申請だから、義務ではない。正当な手続きでも、難癖つけて却下するか、会社の金庫から不当に金を持ち出すブラックリスト入りさせて問題社員に認定。
  • 帰宅時間は終電が当たり前。あ、終電過ぎても仕事終わるまで帰れると思うなよ? どうせ終電までに仕事が終わらないのなら、職場近くに部屋を借りなさい。
  • 有給休暇が無い。
    • 一応システムとしては存在するが取らせてもらえない。取らせてもらえる場合においても、業務上休んでも何も問題無い状況での申請においてもその申請理由を事細かく書かせて、気に入らなければ却下する、等といったバリエーションもある。いずれにせよ、権利としては一応ある筈なのに結局自由に取らせて貰えないという点では共通している。
      • 逆に会社からの命令で有給休暇扱いにして有給を取った扱いにして、1年で5日分という国が定めた有給取得義務の日数を書面上達成したことに偽装される場合もある。
  • 仕事外のプライベートな時間においても行動を強制する。
    • 何らかの会合やセミナー等の社外の催し物に強制参加させる。仕事ではないので当然給料は出ない。強制なのに参加費は自腹という場合も。そむけば勿論罰則の対象に。
  • 社長や役員には絶対服従。そむけば虐待・鉄拳制裁。
    • ワンマン会社になってる場合も多々あり、その場合は会社運営の方針転換が絶望的。
  • あからさまな社長含む上司のミスであろうと社員へと責任転嫁し、その罰を与えられて責任をとらされる。
  • 会社を辞めさせてもらえない。退職を申し出た従業員を「懲戒解雇だ」「賠償金を支払え」「無事に辞められると思うなよ」などと恫喝・脅迫。
    • いかなる理由でも、絶対に「会社都合」(の解雇)にしない。疾患や家族の介護を理由に退職する場合でも、コード33(「自己都合」の退職だが、病気療養や家族介護を理由としたやむを得ない退職)にすらしてもらえない。
      • なにが問題なのかと言うと、コード40番台の「事業者都合」の解雇・退職だと、その翌月から失業保険の給付を受けられるのだが、コード30番台の「自己都合」の解雇・退職の場合、失業手当の給付が始まるまで3ヶ月の待機期間があるのだ。
      • ただし、上記のように30番台でもコード33だと、事業者都合退職と同じ扱いになる。コード40番台で離職票を出すと会社の恥になるから、という場合でも、精神疾患などで辞めざるを得ない場合、常識のある会社ならコード33で発行してくれる。
  • 従業員に危険・違法・反社会的な仕事をさせる。地域の住民などから公害などの訴訟を起こされても、絶対に責任を認めない。
  • 新人教育の内容が、あからさまに「新人の心を一度折る事で会社への忠誠心を植え付ける」などの洗脳を目的とした過剰に体育会系的・軍隊式・カルト宗教の新人信者への「教育」「修行」との共通点が多いもの。

……などなど。


つまり、激務でありながら対価に見合わぬ薄給でやりがいもへったくれもなく法律無視の俺ルールが横行し、ただ馬車馬のように働かされ続け使えなくなったらポイ捨てするか、文字通り「死ぬまで働かせる」ような企業であり、「もう回すべきでない、回らないと素直に認めたほうがいい仕事」を無理やり回している職場でもある。


社内ではしばしばハラスメントが横行しており、中には従業員への「教育」などと称した体罰やいじめが公然と行われ、黙殺されている会社さえもある。裁判に訴えられてさえ、「あ、うちは有休、やってないので」と違法な状況をきっぱりと話してしまい、裁判官たちに失笑されてしまうというケースもあるほど。


下手すりゃ刑務所より酷いとすら言われている。


これらは主に外食業界やIT業界、不動産業界などに多く見られ、他にもパチンコ風俗店など、世間からはあまり良い目で見られない業種・職種に多く見られる傾向があるが、役所学校などの公務員や、老人ホーム病院などの福祉施設といった、社会的イメージの悪くない業種にもブラック企業並みに劣悪な労働条件の場所は多々存在する。


ブラック企業は本当の反社会的組織(ヤクザ・カルト宗教など)が営んでいる場合もある一方(本来のブラック企業はこの意味だった)、有名企業でかつ有名商品を多数抱えている、クリーンな体制の大企業であっても、支社や店舗など末端の従業員にとってはブラック企業として名を連ねていることもある。


ブラック企業か否かは、基本的に従業員と会社の2者間での話ではあるが、遵法意識に欠けたブラック企業はしばしば労働三法以外の法律も平然と無視するので、地域社会や顧客(消費者・エンドユーザーなど)とのトラブルや公害などの社会問題を起こすことも多い。また、従業員への過酷な扱いが、結果としてプロジェクトの破綻や事故に結びつくこともままあるため、顧客への不利益にもなり、結果としてグループ会社や同業者全体の信用を落とすことにもなりうる。


ブラック企業は自然発生的に誕生したというわけではなく、古くからの日本企業の体質と繋がっている。


また、似たような言葉である「ブラック校則」について「理不尽校則」というより実態を的確に言い表した別表現が有るが、早い話が「ブラック企業」とは、より実態を的確に言い表したドギツい言い方をするなら「理不尽企業」「不条理企業」であろう。


性別役割分業とブラック企業

かつての日本企業でも、中核的な業務を担う男性正社員には単身赴任や長時間労働のように企業の強大な指揮命令による重責が課されており、これが「企業戦士」たる中堅男性社員の過重な労働やそれによる過労死の発生をもたらしているとして問題視されることがあったのだが、年功序列の賃金(真面目に働いていれば毎年給料が上がっていく)、入社から定年退職するまでの長期雇用、企業福祉が保障されていたので、強大なムチとそれに見合った大きなアメのバランスが取れていたとも言える。


また、かつての日本企業では女性従業員には中核的な働きをさせず、主に男性従業員の補助としての業務を行わせるのが一般的であり、これには女性差別と言わざるを得ない側面があったとはいえ、女には大きなアメを与えないが、ムチも緩いというバランスがこれまた取れていたとも言える。


バブル期の頃から日本社会においても規制緩和女性の社会進出が叫ばれる中、当時はマスコミ等で称賛された。しかし実は、これは性差の解消と称する雇用側に一方的に有利な規制改革であった。バブル期には顕在化しなかったが、バブル崩壊後からはリストラやアウトソーシングで人減らしが進められる中、女性を男性の給与水準に引き上げるのではなく、男性を女性の給与水準に下げる方向に向かい、従来の日本企業の多くが若手の男女従業員に対し、「旧来の女性職務並みの不安定な身分と給与(僅かなアメ)で、旧来の男性職務並みに働かせる(強大なムチ)」という体質へと変化していった。


社会問題としてのブラック企業

バブル期当時は成田闘争や国鉄民営化阻止闘争などが世間と乖離した状態で続いているという状況であり、当然ながら日本の労働運動は衰退していった。冷戦が終結するとこれからは新自由主義の時代ということが叫ばれ、労働者に権利がないのは自己責任であるということが前提とされ、労働運動は具体的な対抗をできないまましぼんでいく。


これは上だけでなく、下にもその意識があった。というのは、当時の日本人は世界的に見れば超富裕層であったから、特権階級意識みたいなのが一般民衆レベルでも大いにあったのである。ところが海外の経済発展が無視できないほどになってくると、今度は「若者をこき使って低賃金労働させないと海外企業に滅ぼされる」といったような言説が広まる。さらに若者自身もこの意識を共有するようになっていった。


こうして人々が労働問題について考えることを拒絶していった先にあったのは、新自由ではなく新封建社会であった。程度の甚だしいブラック企業はアメすら用意せず、ムチばかり振るい続けて労働者を使い潰すため、心身を壊す労働者が激増している。また、プライベートな時間が満足に確保できないために、若者が結婚相手を探すことができなくなったり、既婚者であってもパートナーや子どもとの関係が崩れ、家庭崩壊が起こるケースも珍しくない。こうした事態が続けば、日本経済のみならず、ただでさえ深刻化している少子化問題が一気に加速化するなどの二次被害が生じかねず、日本経済のみならず日本社会全体に対する大きな脅威・課題となっている。


しかし、企業側はビジネス雑誌などのマスコミを通じて「労働運動は何とかの手先」「低賃金労働しないと海外に滅ぼされる」といった言説を撒いており(有名企業での過労死とかの話題には食いつくこともあるが)、新自由主義全盛期を知る世代にはこちらの方が浸透力があり、また彼らは選挙において若者より数が多いため、全く状況は改善しないのである。


ブルーカラーとブラック企業

過去は過酷な労働環境と言うと、過去に「3K」(汚い・危険・きつい)と呼ばれたブルーカラー(建設業や農林業)や工員……というイメージが強かったが、現在の日本でブラック企業と呼ばれるのは意外にもホワイトカラーや接客業がほとんど。ブルーカラー職種の職場環境が改善された主な理由は過酷な職場環境により過去に続発した労働災害で規制が強化されたためである。そのほかにな長年の人手不足も関係している。


もちろん、労働安全衛生規制を無視・隠蔽する企業も全くないわけではなく、日本でありがちな多重下請け構造の底辺では労働環境の劣悪化が起こりやすい。また、職場環境の安全・衛生や給与面は良くても、派遣労働者を大量に雇っては使い捨てるような工場も存在するため、ブルーカラーがブラック企業と無縁なわけではない。


経営者の個人的な問題とブラック企業

企業の経営者には労働法の保護がほとんどない。特に企業を立ち上げたばかりの頃は、経営者自身が寝る間も惜しんで働かないと会社が潰れてしまいかねないことが多い。そのため、経営者自身が「労働者も自分同様に寝る間も惜しんで働くのは当然」というブラックな認識を持ってしまうことは決して少なくない。


更に、経営者が人を雇うに当たっては、特に労働法の基礎知識を持っていることは必要とされない。労働法を全く無視するような企業でも強制的に解散させられたりはしないので、経営者個人の問題からブラック企業ができてしまうと言うことは起こるのである。また、中間管理職が成果を勝ち取ろうと暴走し、経営者がその管理職の問題に気づかなかった結果としてブラック企業と化してしまうこともある。


社労士とブラック企業

労働条件の整備において専門士業と言えるのが社労士(社会保険労務士)である。真っ当な経営者であれば、人を雇うに当たっては社労士に依頼して、労働法の定める条件に沿った就業規則の制定など、労働条件の整備を頼むことが多い。それすらしないというのは、それだけでブラック企業であることを疑った方がいい。そして、多くの社労士は、真っ当な職場環境を作るために自らの労働法知識を生かして努力している。


ただし、社労士のついている企業でも

  • せっかく真っ当な社労士の定めた真っ当な労働条件を現場がよく理解していなかったり、現場の運用で守ろうとしない。
  • 社労士の主要顧客が経営者であるため、経営者寄りな対応を取ろうとして超えては行けないラインを超えてしまう。中には、ブログで社員をうつ病にして追放する方法を指南して国から業務停止処分を受けた社労士もいる。

…といった事態も起きている。

多くの良識的な社労士の努力むなしく、一部の悪質社労士の指南や各企業の現場で行われるブラック対応はなくなっていないのが実情である。


就職活動における見分け方

最良の策は就職を検討している会社の先輩にどのような状況なのかを聞くことだが、それは実際のところ難しいので、以下のポイントに注意して見分ける。

  • 募集人数や掲載回数(やたらと多い場合は離職率が高い可能性があるので要注意。年度末の引っ越しやイベント補助のように、一時的な人手不足を補うよう、あらかじめ雇用の期間を明示した仕事は除く)
  • 説明会の段取の良し悪し(段取が悪い場合は要注意。企業側が「説明会の開催自体をドタキャン」「直前になって日時の変更を求めてくる」「そもそも資料の送付だけで済まそうとする」などの場合はかなり怪しい。仮にブラック企業でなかった場合でも、突然の倒産や経営者の逝去など、悪い兆候であるケースが多い)
  • 説明会やパンフレットで「やりがい」「社会貢献」など、精神的な部分を強くアピールする(福利厚生や給与などの具体的にアピールできる魅力が無い事を意味する。労働条件が悪い会社の典型)
  • 「夢」「伝説」など抽象的な大言壮語を使う(精神論に依存した企業体質である可能性が高い。同上)
  • 「頑張った分だけ報われる」「少数精鋭」といった、労働者一人の裁量を強く意識した文言を使う(過重労働を正当化する典型的な大義名分。同上)
  • 説明会で採用担当者もしくは社長はじめ幹部の経歴を偉業のように自慢する(宗教じみた崇拝を強要する社風である可能性が高い)
  • 面接の担当者の服装や態度(現場職でもないのにスーツを着崩している、面接者を見下すなど、態度が悪い場合は要注意。中でも圧迫面接を行う企業は、よほどの自信がない限り辞退したほうが無難)
  • 初任給が同業界の平均より異常に高い(残業、休日出勤などの手当を「法令で認められる限界」まで加算した合計額を示しており、基本給と手当の内訳を説明していない)
  • 内定から入社までの期間に、特定書物の読書や感想文の提出などの課題が課せられる(入社日までは社員ではないため、会社の課題を遂行する義務はない)
  • 就労者、特に幹部の平均年齢が低い(離職率が高い可能性あり)
  • 求人広告が年がら年中掲載されている(同上)
  • 学歴不問、未経験者歓迎であることを強調している(人さえ集まれば誰でもいいことを意味し、待遇の良い企業がこのような条件を提示することはほとんどない)
  • 会社のホームページSNSで、社員旅行やパーティー、バーベキュー等懇親会の様子を頻繁に発信する(アットホームを謳うブラック企業がよくやる手段。そもそも社員の休日の姿をみだりにネットに公開する時点でコンプライアンスを疑ってかかるべきである)
  • 事務職など内勤職を募集しているのに、募集資格に要普通自動車免許とある会社(自家用車の持ち出しを要求される可能性がある。ただし、特に小さい会社では営業や経理などの仕事と兼任で社用車を使うこともあるため一概に否定できない。また近隣に公共交通機関がなく、クルマがなければ通勤もできないような地域であれば別である)
  • 深夜まで社内のあちこちに明かりが灯っているのが外から見てもわかる(夜勤を伴う警備員や、当直の制度がある企業ならば仕方ないが、そうでない場合、深夜まで至るサービス残業の巣窟になっている可能性が大)
  • 社内に社長や役員の私物が多く、しかも乱雑に散らばっている(公私混同の疑いあり)
  • 社内が煙草臭く、社員が場所を選ばず喫煙している(分煙化が進んでいない状態。非喫煙者や健康被害への考慮がなされていない可能性あり。とりわけ、嫌煙者には地獄が待っている)

注意

単純に「給料が安くて、働くのがキツい=ブラック企業」とは言いきれない。そもそも、「キツい」というのは単純にその人にとって「適性のない仕事なので苦痛」(営業向きなのにエンジニアをやらされているとか)であったり「職場の特定の人間関係が悪い」であったりすることもある。仮に給料が安くても残業や休日出勤などの必要な手当が全額支給されており、労働時間が適切であれば必ずしもブラックとも言いきれない。


例えば普段手取りが多いけどボーナスが低い! ブラックだ! というケースは求人票を見てみよう。ボーナスというのは基本給をベースに計算されるためである。


たとえブラックでなくとも、仕事というものはどんな職種であっても程度の差はあれキツいもの

そこは世に出て社会人として、自覚(あるいは覚悟)しておこう。基本的に、「違法や脱法行為が日常的に行われているかどうか」や、「残業・休日出勤の手当を全額支給しているか」が、ブラックかどうかの判断する、ひとつの基準になるといえる。


かと言って、給料を適正に払いさえすれば、過度な労働はブラックではない、と言う訳でもない。長い目で見た場合、仮にいくら高給が保証されていようが、過酷な労働で心身を壊してしまっては取り返しがつかない。負担が少なくリカバリも容易な短期労働ならばともかく、長期的な労働を望むのであれば、こうした企業は避けたほうが賢明。


心や身体が壊れてしまっては、自分の楽しみのために金を使うこともできないのだから…。

心身が磨耗し、退職した後の金銭の使い道が治療費や最悪葬式代と言う何のための稼ぎだったのかと言う事態も冗談ではないのである。


ではサービス残業が常態化している会社はどうだろう。賃金の不払いは違法なのでサービス残業を強いる会社はブラック企業だ……と言いたいところだが、残業代を払わない・あるいは一定額しか払わない会社は日本においては残念ながら「ごく普通」だ(むしろ、やってない会社のほうが珍しい。日本はここ数十年間そういう状態だ)。サービス残業はまだしも、求人票にみなし残業代含むと書いてあるのを見落とすケースもあるのでちゃんと求人票は見ること。


在職中に残業時間の記録をとっておいて、退職時に請求することを勧める。なお「36協定があるから、30時間以上残業したら残業代は出さない」などと言う会社もあるが、36協定は残業代支払いの責任を免除するためにあるのではなく、労働者を過重な残業から守るためにあるものであり、雇用主が残業代を支払わなくていい、という理由にはならない。そもそも36協定(特別条項つき36協定)とは労働基準法で定められている法定残業時間を一時的に超過する場合、労働組合側と協議の上で取り決められる物である。


定時内ですら最低時給を下回るような極端な薄給(最低賃金法違反)の会社はまぎれもなくブラックなので近くの労働基準監督署に相談しよう。


もしも入った会社がブラック企業だったら…

できるだけ早く退職しよう。ブラック企業に関する相談を受付けている団体(労働組合など)があるので、電話などで事前にそこに相談するのを勧める。その際タイムカードがあればそれを用意しておくといい。とはいえ、そういう悪質な職場ではタイムカードですらあてにならないので、常に自分で出勤時間と退勤時間をメモしておくのもいい。日々の勤務・生活内容を記録して自分の職場のブラック度の客観視や後の告発に役立てられるようなノートなども発売されており、それをちゃんと書き残しておく方法もある。


常識的には退職をする際には1ヶ月くらい前に上司に相談することとされているが、ブラック企業の場合はその必要はない。上記のように退職を申し出た従業員を脅迫・恫喝する会社もあるので、そういった事態が予想される場合は、帰りがけに上司の机に退職届を置いておく、内容証明郵便で退職届を送り付けてそのまま出勤しないなどの方法もある。仮に無断欠勤になってもいい。退職を認めない会社にあれこれとパワハラや嫌がらせを仕掛けられ、心身の健康を損ねるよりはマシだ。


また、こうした企業を退職する場合、退職金はもちろん、それまでの給料の支払いも望めないケースも少なくないが、よほどの額でない限りは必要経費と割り切ろう。給料日に受け取れるだけ受け取った直後に上記のような退職届の提出方法を実行して、金銭的損害を最小限に抑えるテもある。もちろん、あえて裁判沙汰などにして徹底的に戦う選択もあるが、時間も費用もかかるうえに確実に勝てる保証も無いため、よほどの恨みや未払いの賃金が溜まっていない限り、さっさと忘れて次の職を探したほうが建設的ではある。


またマスコミは元より週刊新潮を始め週刊誌(女性週刊誌を含む)にタレコミ情報として提供する手もある。寧ろマスコミや週刊誌に徹底的に情報提供したほうが社会を動かす事もある。許せない気持ちはわかるが、自分ひとりがいくら頑張ったところで、その企業に一泡吹かせることなど到底不可能だ。それこそ、死人が出るぐらいの重大事にならない限り、この国は絶対に動かない。極論、凶悪犯罪や悍ましい出来事(勿論アウトだが)目には目を歯には歯をのような事件事故(例としては安倍元総理銃撃事件)発生しない限りは・・・。


繰り返しになるが、とっとと忘れて次を探そう。ブラック企業をやめた後で、良い職場に拾われたり、家業跡取りや年老いた親の介護に立候補したり、といった幸運があった人だっているのだから。


厳しい言い方になるが、さっさと辞めないと、ちゃんと労働三法などを守っている同業他社やその従業員の利益を不当に圧迫する行為に加担し、世の中に迷惑をかけることになる。繰り返すが、早急に退職するのが善行であって同僚に迷惑がかかるからと働き続けるのはむしろ悪行だ。人不足で業務崩壊し、この先そんなブラック事業者が淘汰されていく可能性だって十分ある。2020年に世界的流行した新型コロナウイルスにより大きく影響は出たが寧ろ今までのツケが全て出て来ている。


どうか、過労死や自殺や事故、精神疾患に至る前に無断欠勤し、なおかつ職場からの電話を拒否してでも逃亡した方が、ブラック企業に対する最良の選択になる、ということを理解して欲しい。「逃げるは恥だが役に立つ」はドラマのタイトルだが、ブラック企業への対抗策にも、この言葉はそのまま当てはまる。


企業側も企業側で、何年もずっと同じような体たらくで会社を運営してきたのだから、社員が一人逃げて辞めたぐらいで何も感じやしないし、しつこく追ってくることもそうそう無い。もしどうしても逃げたくない事情があるのなら、労働組合を結成するか個人加盟できる合同労組に入るか弁護士等に直で相談するかして欲しい。


上記の記述は、今現在もブラック企業で心折れそうになりながらも真面目に頑張っている人にこそ心得て欲しい。ブラック企業は真面目な人ほど辞めにくいし、企業側も情け容赦無くその真面目さにつけこんでくる。いじめや痴漢の被害者が、我慢すればするほどエスカレートしていくのと同じ構図だ。真面目にやっているあなたが、そんな最低の場所で自分をすり減らしていくのは社会にとって大きな損害なのだと、どうか理解して欲しい。


かつて実在したブラック企業


現存するブラック企業

詳細はこちら


フィクション上のブラック企業

フィクション上のブラック企業の場合、特にバトルものだと敵組織、悪の組織を兼業していることが多い。


主なブラック企業


当初はブラックだったがのちに改善されたと思われる


ブラック企業故に離反者が相次いだ末に崩壊


ブラックだが離反者がいない

  • 真島建設龍が如くシリーズ)→社長がワンマンなんてレベルじゃないが誰も辞めてない。面倒見のいいところもあるからか、ただ恐いだけかは不明。

作中でブラックという設定だがブラックの要素がない・薄い


関連タグ

会社 企業 社会 悪の組織 違法 法令遵守/コンプライアンス 笑顔の絶えない職場 年中無休

ブラック上司 社畜 パワハラ セクハラ モラハラ 強制労働 過労死 限界OL 枕営業

ホワイト企業……対義語

倒産 訴訟 内部告発 炎上……ブラック企業の加害者の末路の候補。

腹黒企業……架空のブラック企業はこちらへ。


会社に行きたくないOLちゃん 新入社員ちゃん 社畜ナンジャモ


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