概要
ヒラヌマとは、1941年12月11日にフィリピン沖にて
米軍のB-17が撃墜される直前に撃沈もしくは撃破したとされる、
しかし実際には存在しないアメリカの報道の誤報によって誕生した、
架空の大日本帝国海軍籍の戦艦である。
当時のアメリカ陸軍の発表によれば、ヒラヌマは29000トン級の戦艦らしい。
また、漢字表記は「平沼」と思われる。
戦艦榛名との関係
実はヒラヌマ報道には、もう一隻関係している艦が存在する。戦艦「榛名」である。
・・・というのも、当初、米国側において、日本側に撃墜されたB-17は、
「撃墜される前に戦艦ヒラヌマを爆撃、炎上させた」以外に、
「撃墜時に戦艦「榛名」の煙突に体当たり攻撃を行い、これを撃沈した」とも報道されたのである。
なお、当の戦艦「榛名」は、1941年に大日本帝国軍がフィリピンに侵攻した際、
フィリピンではなくマレー半島沖にあり、この侵攻作戦にはそもそも参加していない。
ちなみに
「榛名」と「ヒラヌマ」をローマ字表記すると、それぞれ「Haruna」「Hiranuma」となる。
更に付け加えると比叡は「Hiei」だ。両艦は金剛型戦艦の姉妹艦にあたる。
その他米軍の誤報等で生まれた「幻の艦船」
大東亜戦争中、米軍は戦艦「ヒラヌマ」以外にも、
誤報などで幾つか「存在しない艦船」を生み出してしまっている。
ウソが本当になりかけた?非実在大型巡洋艦建造計画
【秩父型大型巡洋艦】
ジェーン海軍年鑑に掲載された、大日本帝国海軍の大型巡洋艦。
ネームシップの「秩父」と、同型艦として「新高」「高松」がある。
基準排水量15000t、速力30ノット、30.5cm砲6門搭載。
実際はこの様な大型巡洋艦建造計画は存在しなかったのだが、
しかし。その情報を信じた米国はアラスカ級大型巡洋艦を建造、進水。
すると今度は、大日本帝国海軍がアラスカ級に対抗し「B65型超甲型巡洋艦(超甲巡)」を計画。
もっとも、この「超甲巡」は計画こそされたものの、実際に建造される事はなかった(※)。
(※1942年のミッドウェー海戦敗北を受け、軍備計画が航空母艦増強へ修正された為に廃案。)
とはいえ、架空の大型巡洋艦への警戒心からアラスカ級が計画・建造され、
今度は対抗策として「超甲巡」が計画されたという意味では、
「ウソから出た真」と言えるかもしれない。
ワッザ!?我幻ノ駆逐艦撃沈ス
【非実在駆逐艦「イワナミ」】
1944年12月4日、ガトー級潜水艦38番艦『フラッシャー』に撃沈された駆逐艦。漢字表記は「岩波」と思われる。
実際にはフラッシャーは「イワナミ」なる駆逐艦は沈めていない(※)のだが、米軍の記録には何故か残り続けている。
(※フラッシャーが沈めた軍艦は、軽巡洋艦「大井」、特設巡洋艦「西貢丸」、駆逐艦「岸波」の3隻のみ。)
ただし米国側の資料の中には、フラッシャーによるイワナミ撃沈について記載していないものもある。
なお、米軍の記録では、イワナミは1944年に竣工した2100トン級の駆逐艦として扱われている。
嗚呼誤報
【空母翔鶴>戦艦カデクル】
空母「翔鶴」が進水した際、米国の記者が「しょうかく」を「カケヅル」と読み間違え、
それが更に伝言ゲームでおかしくなり「カデクル」と報道してしまう。しかも戦艦として。
【幻の翔鶴型空母「龍鶴」】
翔鶴型三番艦・・・という非実在空母。
珊瑚海海戦に参戦し、轟沈。その旨が当時の「ジェーン海軍年鑑」に僅かに記載されている。
・・・だが、実際は「第四航空戦隊に新しい空母が配備されたらしい」と云う情報から発生した誤りで、
実際に配備された軽空母「祥鳳」と、所属していた軽空母「龍驤」が翔鶴型の三番艦と誤認されたようである。
誰にも知られなかった(?)悲劇の海難事故
時代は遡って1912年9月22日、日本の本州沖合で日本船籍の客船「キチェ丸」が折からの台風に煽られて沈没。乗員1200名あまりが全員死亡するという海難事故が発生する。
未曾有の大海難事故であったが、折しも数ヶ月前に発生したタイタニック号沈没事故の影に隠れてしまい、当時のアメリカの報道でわずかに記載があったのみで、長い間知られることは無かった……。
……が、この海難事故、当の日本側では記録が全く見当たらない。
どうやら台風被害が伝言ゲームで伝わった結果、誤報として伝わったようだった。