概要
三段式甲板とは航空機を海軍が利用するために作った「航空母艦」飛行甲板の形式の一つである。
航空母艦の黎明期に「発着艦を同時に行う事ができる」事を期待して考案された多段式飛行甲板。
紅茶が足りないととんでも兵器ばかり作る国で発症したロマンである。
飛行甲板が複数縦に積まれた形状をしている。
航空母艦の誕生
海のから航空機を運用したい…そんな夢を叶えるべくそれは英国で生まれた。
航空母艦。いわゆる空母の誕生である。
初め航空母艦と呼ばれていたのは現在「水上機母艦」と呼ばれているものであり1912年フランスが世界初となる。
フロートの無い陸上機を運用できる現代の意味での航空母艦は1918年に改装を完了した全通式飛行甲板を持つ大英帝国海軍改装空母「アーガス」が世界初。
最初期の航空母艦は客船や既存艦艇を改装して作られているものが殆どであり艦形も甲板状況も様々だったため試行錯誤の連続であり様々な運用実験を実艦で行っている。
一からの航空母艦は1922年12月に完成する大日本帝国海軍 正規空母「鳳翔」を待たなければならない。(着工は大英帝国海軍ハーミーズが先)
多段式飛行甲板の誕生
英国では改装空母「フューリアス」「アーガス」「イーグル」での運用実験を行い、その結果1921年に「フューリアス」が大改装をする事となる。
全通式飛行甲板では離発着が同時に行う事ができないというデメリットがあり、着艦時には発艦予定機を飛行甲板に出しておけず、逆もまたしかり。
じゃあ飛行甲板複数あればいいんじゃね?という事でひな壇型に重ねた多段式飛行甲板が生まれてしまった。
だが、大英帝国はまだ良かった…そう。2段式だったのだ。
極東には積み重ねるのが好きな国があったのだ。
生まれてしまったロマン枠。三段式甲板
ワシントン海軍軍縮条約(1922)の結果大日本帝国海軍では八八艦隊計画を断念。
主力艦に制限を受けたため建造中の戦艦の破棄、そして天城型巡洋戦艦を航空母艦に改装することが決まった。しかし関東大震災で天城は竜骨を損傷し破棄になり、代わりに破棄予定だった加賀型戦艦を航空母艦へ改装することになる。
これがのちに日本を代表する事になる航空母艦「赤城」「加賀」である。
既に全通型である「鳳翔」を運用していたがやはり黎明期。色々やってみなきゃわからない、と思ったところで颯爽と空母の村に「フューリアス」以下多段式の群れが!
かくして大型艦である二艦は実験要素を多大に盛り込まれいろいろな伝説を生むことになる。
ちなみに上甲板は着艦用、中甲板は小型機(偵察機等)発艦用&20.3連装砲2機&上甲板から釣り下がった艦橋、下甲板は発艦用を予定していた。
が…
多段式甲板のメリット・デメリット
前述の通り発着艦が同時に行え連続攻撃が可能であることが戦術上期待された。
下段は格納庫から人力で直接移動することもできるためエレベータの混雑を軽減することも期待された。
が、これは期待で終わったと言って構わないだろう。
実際は開発当時の航空機の離発着距離の短さがあっての設計であったため、航空機の性能が上がり重量、速度が上がると全く対応できなくなってしまった。
三段式の「赤城」「加賀」では中甲板は20.3連装砲2機が鎮座し風の流れを大いに乱し、さらに翼と砲の距離が数メートルしか空かないため、大不評危険極まりなく使用不可になり、下甲板もほとんど使われなかった。
そんなままで赤城を10年も使用し続けたのだから物好きというかお金がないというか…
そしてこの後多段式が生まれる事はありませんでしたとさ。
でもこれだけは言わせてくれ。
三段式甲板の「赤城」と「加賀」…
かっこいいです!愛してます!
関連イラスト
別名・表記ゆれ
関連タグ
三段腹甲板・・・空母なども含めた軍用艦艇が人間の女の子の姿になる艦隊これくしょんにて、本項目を元ネタに発生したネタ。主に食いしん坊な某第一航空戦隊の正規空母娘のギャグイラスト等で散見される。