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上杉達也

うえすぎたつや

あだち充の漫画およびそれを原作とするアニメ『タッチ』の主人公。
目次 [非表示]

「南を幸せにしてやれるのは和也、おまえ一人だ!」


CV:三ツ矢雄二

概要編集

タッチ』の主人公。6月16日生まれ(双子座)。血液型はAB型。 身長185センチ 体重80キロ〔Miss Lonely Yesterday あれから君は… 水野のスクラップより〕

上杉和也の双子の兄。浅倉南とは幼馴染。


「出涸らし」の兄編集

真面目で努力家の和也とは対照的に物臭でいい加減な性格をしており、飄々としていて掴みどころがない。中学までは和也と違って特に何かに打ち込むこともなく、ダラダラと日々を過ごしていた。

そのため、周囲からは「兄貴は弟に良い所を全部取られた出涸らし」などと揶揄されていたが、本当に天才だったのは達也の方であり、弟を立てるために自ら「ダメ兄貴」として振る舞い、引き立て役に甘んじていた。このように不器用ながら利他的な優しさを持つが、不器用ゆえにそれが伝わらない一面もある。


しかし、その性質は「自らの求めるものを主張せず、それが他人が求めるものと知ると利他的な優しさを持つがゆえに自ら退いて諦める」(しかも譲った事や守った事に対して見返りを何も求めないし、逆に譲られた側が恩義を感じてそれを返そうとした場合には、それを拒否した上で相手の善意も否定する)という、いわば「何も手に入れられない人生」(もっと言えば「自分の幸せを求めようとしない」人生)を志向しやすい傾向を示していた。それは決して達也自身を幸せにはしない「不幸まっしぐら」な人生であり、その性格は自らと弟と南の関係性に大きな影を落とす(下手をすれば人間関係を読み違えて自身の周囲に不幸をバラ撒く)危険性を多大に秘めていた。(当初の達也が内心で描いていた「弟がスターになり南がその伴侶として支える」未来図は、南にとっては「南の意思を無視した自己満足」に過ぎず、弟の和也にとっても「南にも自分にも向き合ってくれていない」勝手な物言いに過ぎなかった)

ゆえに達也の周囲の人々は、弟の和也を筆頭になんとか達也を「自分から欲しいものを求める(=自分の幸せを考え求めてから、他者の幸せを求められる)人になれるよう」発奮させようとしていたが、結局はその全ては「弟の死」という取り返しのつかない事態が起こるまでは不発あるいは逆効果に終わっている。


弟のため全てを諦めボクシングへ編集

中等部3年の時に高等部の野球部監督の娘・西尾佐知子に素質を見出され熱烈な誘いを受ける。その評価に喜びを感じた達也は高等部進学後、野球部に入部して弟を支えようかと考え佐知子にも前向きな返事をしていた(佐知子からその事を聞かされていた和也は、兄とより向き合える機会を得られると考え、達也の野球部入部をものすごく楽しみにしていた)。

しかし入部届を出しに野球部室へと赴いた時、部室の外から南が野球部のマネージャーになったことを聞き付つけ、いつものように「和也を支えるのは、やはり自分ではなく南の役目。和也と南の邪魔はできない」と(和也にも南にも相談せず勝手に)判断して入部を断念する(そして和也も大きく落胆する事になった)。挙句その様を見かねた原田正平に誘われるがままボクシング部に入部する。

ボクシング部では持ち前の運動神経もあり強豪の油断に突け込める「そこそこの」実力を発揮こそしたものの、主将からは達也の持ち前の利他的な優しさが根本的にスポーツには向いていない(特に「個人が涙を飲めばそれですむ」個人競技のボクシングには向いてない)事を見抜かれており、入部当初から精神を矯正させるために厳しくしごかれる羽目になる。しかし結局その筋金入りの利他性は直ることはなく、のちにボクシング部の主将は、達也の利他性が利点として働くのは個人競技のボクシングではなく「自らの犠牲が仲間の害になってしまう」チーム競技である野球であると指摘した。(もっとも達也をボクシング部から野球部へと移籍させたのは野球部の黒木主将との間で交わした、ある取引もあったためだが)


悲劇によって弟から託された運命のバトンタッチ編集

高一の夏に和也が交通事故で亡くなった後、窮地に立った野球部を救うべく、野球部主将の黒木武に引き抜かれる形でボクシング部から移籍する。最初は他の部員、特に和也とバッテリーを組んでいた松平孝太郎から反感を買うが、達也が本気と分かってからはわだかまりは解消していく。

しかし内心では「弟の代わりにマウンドに立っている」という事実に対しては罪悪感を常に抱いており、監督代行の(八つ当たりめいた)言説に直面した時には、それが露呈しかけた。


そして3年の夏、地区予選で優勝し、和也が果たせなかった「南を甲子園に連れていく」という約束を代わりに果たすと、南にずっと言えなかった自分の想いを告白。甲子園でも大活躍して明青学園を全国制覇へと導いた。


「役目」を終えて編集

甲子園初出場初優勝でプロ野球のスカウトに注目されるものの、ドクターストップがかかったとしてプロ入りを拒否し、進学を目指すことになった。


上述、幾度となく語られているように、原作の達也は元来スポーツ選手向きの性格をしておらず本質的には「自分のためには戦えない」人間と言える。成果を挙げたのも自分のためではなく死んでしまった和也や約束を果たされなかった南や弟の遺した仲間たちのため無理をしていたに過ぎない。

原作通りの達也のメンタルでスポーツ選手として活動を続けていたら、いずれ近い時期に人格を歪ませるか精神を壊すかした可能性がとても高い。

無論、理解ある人間関係に恵まれるなり優秀なメンタルトレーナーに巡り会えるなりすれば、そうはならない可能性も十分にある。(あるいは南にそれを期待する声もあるが、それはそれで南を大事に思う達也には酷と言える)


こうして弟から夢のバトンを渡された男は、それで得られる華々しい活躍も自らの役得も求めることなく「自分の役目は終わった」と言わんばかりに潔く、漢らしく、物語の舞台から降りていったのだった。


なお、『タッチ』では甲子園大会での達也の活躍は描かれなかったが、『タッチ』から30年後の明青学園が舞台の作品『MIX』にて甲子園で投げる達也の映像がTVで流れている。




投手として編集

投手としては剛速球投手に分類され、和也とは対照的にキレや制球力よりも純粋な球の威力で勝負するタイプ。

最初は球速以外は取り柄がなかったが、徐々にスタミナや制球力を克服し、駆け引きなども習得していった。変化球を投げられないこともないが、基本的に直球一本で勝負する。

打撃センスも秀でており、孝太郎と共に打線の中軸を担った。


アニメの続編では編集

なお以下に挙げる続編のアニメ作品では(TVアニメ版が達也の精神問題などにそこまで触れなかった事もあって)達也のドクターストップは「和也を慮り義理を通したかった達也の言い訳(令和の時代ならば、その選択肢も一個人の生涯の選択としてアリだが、事情を知らない人間から見た場合および1980年代当時の価値観から見た場合には、甲子園優勝までの実力を示しながら、その実力を発揮できる場に行こうとしない事は、実力に対する義務と義理を果たそうとしない単なる子どもじみたワガママに見える)」であり「実はそんなに深刻ではなかった」「ほんの少し治療すれば治るものだった」というオチにしてしまっている(その上でプロモーション時には「原作(の内容を内包した上で)の続編」を謳っていた)。


Miss Lonely Yesterday あれから君は…編集

大学生となっており、野球から離れて平凡なキャンパスライフを送っている。

最初は南と同じ大学に進む予定だったが、入試当日に溺れた犬を助けようとして川に飛び込んだせいで風邪をひいてしまい、受験できなかったらしい。

南が違う大学で新体操に打ち込んでいたことや、自身が水野香織という女子大生と親密な関係になっていたために南と疎遠がちになっていく。

野球への情熱は心の奥底で燻っていたが、自分が野球をすれば和也の影が付いて回ることが必至だったため、再開出来ずにいた。しかし、海外旅行から帰国し、孝太郎から事情を聞いた原田から「和也と関係ねえ野球を探しゃあいいじゃねえか」という一言や、肘の故障で現役続行が絶望的となった西村勇の最後のマウンドに心を打たれた形で、野球を再開することを決心し、その過程で香織との関係を清算。新田明男に促されて見に行った南の最後の演技を見届けた後寄りを戻し、南と誓いのキスを交わした。

エピローグでは、アメリカで「Red Sox」という球団のトライアウトを受けた。


CROSS ROAD~風のゆくえ~編集

「和也と関係のない自分だけの野球」をするために渡米し、マイナーリーグ1Aの弱小球団グリーンタウン・エメラルズに入団。背番号16。

デビュー戦で完封勝利を飾ると、ホセ・ヘルナンデスと共にシーズンを通して投手陣の柱として活躍し、チームを牽引。優勝が懸かったシルバーソックスとの最終戦では1点差で迎えた9回表2死2・3塁、バッターは四番のブライアンという大ピンチでリリーフ登板。両者一歩も譲らない手に汗握る勝負の末、最後は密かに習得していたフォークボールでブライアンを空振り三振に打ち取り、エメラルズを45年ぶりの優勝に導いた。


関連タグ編集

タッチ

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