概説
地震の二次災害として発生することが多く、場合によっては広範囲で大規模に起こり得る。
大まかな原理
まず前提条件として、地中に水分が多く含まれている状態であること。
そのうえで地震の振動によって土砂の粒子と水分が混ざり、地中の水分と土砂が均等に撹拌されることで、地盤としての形状を保てなくなり泥と化す。
これにより、地面がまるで液体のように溶けてぬかるみとなり、地盤沈下を発生させる。
特に砂を多く含む地盤で発生しやすい傾向にあり、土地がかつて川や水辺だった土地は液状化現象の被害に遭いやすい。
被害
主に家屋の倒壊、道路の破損、水道管・ガス管等の地下インフラ網の寸断、液状化した地盤が堆積することによる交通網の寸断、などが挙げられる。
特に木造家屋は、構造上の問題(支柱を点と線で支える構造、また液状化した地盤による床下への泥の浸食)から地盤沈下による被害を受けやすい。
下水管も耐震化を施しにくく、破損すると復旧も遅いため、破損した下水管に繋がる地区の居住復興に影響が出るおそれがある。
側方流動
特に厄介なのが、液状化した地盤が横ズレを起こす「側方流動(そくほうりゅうどう)」である。
傾斜地などで発生しやすく、地盤が液化することで地表が大きく横に移動することになる。
流動した地盤に基礎した建造物は、地表面が大きく引っ張られるため、大型の鉄筋コンクリートの建造物でも倒壊する危険性が高まってしまう。
地下インフラ網も大きなズレを強いられ、寸断される危険性がたかい。
過去の発生事例
- 新潟地震(1964年)
- 国内で公式に記録された、最初の大規模な液状化現象として知られる。
- この地震で県営川岸町アパートが何棟も傾斜・倒壊しており、日本での液状化現象の研究と対策を意識づけるきっかけとなった。
- 阪神淡路大震災(1995年)
- 新潟県中越地震(2004年)
- 小千谷市や長岡市、与板町、柏崎市など、水田や湖沼を埋め立てた箇所等で液状化の発生した。
- 東日本大震災(2011年)
- 熊本地震(2016年)
- 黒川沿いで大規模な地盤の移動が発生し、液状化・噴砂・側方流動が観測された。
- 北海道胆振東部地震(2018年)
札幌市清田区や北広島市、札幌市東区などで大規模な液状化現象が発生し、市内の交通網を麻痺させた。一部ではマンホールが地上から大きく迫り出すほど、地面が沈んだ場所さえある。
東区のものについては仮補修が完了し、通行可能になっているが、清田区など、被害が大きかった地区に関しては未だほぼ手付かずの状態となっている。