開発の経緯
第二次世界大戦の東部戦線(大祖国戦争)でナチスドイツが投入したStG44の設計思想は、ソ連軍の小銃開発に大きな影響を与えた。
StG44は、それまでの小銃の破壊力とサブマシンガンの連射性を両立させるために、当時のライフル用正式実包の7.92mm×57マウザー弾(8㎜マウザー弾)の薬莢長を短縮した7.92mm×33弾(7.92㎜クルツ弾)を使用していた。
戦前からフェデロフM1916などの自動小銃を開発していたソ連は、モシン・ナガン小銃で使っていた7.62mm×54R弾をベースに開発を進め、M43実包として採用する。
その後この弾薬を基に、世界で名を馳せるAK47が開発される。
設計
7.92mm×33弾大きな特徴は、先端へ傾斜した薬莢の形だろう。
これは薬室内部に薬莢が張り付いてしまっても、摩擦を小さくして抜きやすくするためである。
しかし大きく傾斜したデザインのため、マガジンも前方へ大きく湾曲した形になってしまっている。これらのマガジンが「バナナマガジン」と呼ばれる所以である。
また、同サイズの実包に比べて安価なのも特徴である。火薬が燃焼するときにガス圧で膨張する薬莢には、柔らかく柔軟性のある真鍮が使われるが、ロシア製に限って言うと7.92mm×33弾にはスチール製の薬莢が使われている。これは真鍮よりもスチールの方が安価なためで、鉛の弾頭の中にもスチールが鉄芯に使われている。鉛よりも安価で固いスチールが埋め込まれているため、貫通力が高くなる副次的効果も生んでる。
世界に浸透している7.92mm×33弾
AK47と同様に世界中に広く浸透しており、共産圏の元締めロシアでは5.45㎜×39弾に更新されているが、その他の旧共産圏では今でも7.92mm×33弾を使っている国が多い。
そのため西側の銃器メーカーの中には、実包の更新をしなくても良いことをメリットに、自社製ライフルに7.92mm×33弾仕様を加えて売り込みをかけているメーカーも少なくない。