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聴覚障害の編集履歴

2014-09-23 20:03:17 バージョン

聴覚障害

ちょうかくしょうがい

耳が聞こえない、或いは聞こえづらいなどの身体障害のひとつ。

この聴覚障害には聾(ろう)者、軽度難聴から高度難聴などの難聴者、成長してから聴覚を失った中途失聴も含まれる。


日本で聴覚障害者として身体障害者手帳を交付されている人は約36万人である。しかし実態は、聴力が衰えた高齢者や「話すのにやや不便を感じる」というレベルのものまで含めると、約600万人いると言われる。


聴覚障害は、情報障害・コミュニケーション障害といった捉え方をする場合もある。


分類

聴覚障害のタイプには、伝音性と感音性と混合性がある。伝音性は内耳までの間の音を伝える経路に原因がある場合で、感音性は内耳から奥の聴覚神経や脳へ至る神経回路に問題がある場合である。混合性は伝音性と感音性の2つが合わさったものである。


聴覚はセンサー機能について述べ、聴力は聞く能力について述べているといえる。つまり、ある特定の聴覚神経が欠けていると、その波長の音は聞こえない。一方、聴力は聞き取る能力が低下したりする場合にいう。大きな騒音環境にいて、一時的に聞こえの能力が低下した場合は聴力低下という。


伝音難聴

伝音難聴(伝音性難聴)とは、外耳または中耳の障害に起因する難聴。内耳の有毛細胞へ充分な音を伝えられない状態である。しかし、内耳から先、つまり音を感知する部位には全く障害がない。したがって、空気中を伝わってきた音への感度(気導聴力)は落ちるのに対し、骨を通して直接内耳に入れた音への感度(骨導聴力)については全く低下しない。つまり、気導聴力のみの低下が見られ、骨導聴力は全くの正常となっている。このような気導骨導差があるのが伝音難聴の特徴である。昔は、この伝音難聴が補聴器の適応だったが、近年では次に説明する感音難聴も補聴器の適応となっている。


感音難聴

感音難聴(感音性難聴)とは、有毛細胞の障害、もしくは、脳へ信号を送る聴神経の障害、中枢聴覚路(脳)の障害など、様々な場所の障害が原因で引き起こされる。このため、原因部位による分類も行われる。すなわち、内耳が原因で発生した感音難聴を内耳性難聴、ラセン神経節や蝸牛神経が原因で発生した感音難聴を末梢神経性難聴、上オリーブ核や下丘や内側膝状体など、橋、中脳、間脳が原因で発生した感音難聴を脳幹性難聴、大脳(聴覚野)が原因で発生した感音難聴を皮質性難聴と呼ぶ。 なお、脳幹性難聴と皮質性難聴を合わせて、末梢神経性難聴に対応して中枢性難聴と呼ぶこともある。また、末梢神経性難聴と中枢性難聴を合わせて、後迷路性難聴と呼ばれることもあるが、これは内耳の迷路のような構造を抜けた後の部分の障害が原因で起こっている難聴という意味であり、内耳性難聴に対応した分類である。ただ、いずれの場合も外耳と中耳は正常なので、空気中を伝わってきた音(気導音)は正常に内耳に入力されている。しかし、その先に問題が生じているため、結果として気導音に対する感度も低下する。無論、骨を伝わってきた音(骨導音)も上手く感知できない。つまり、感音難聴の場合は、気導聴力と骨導聴力との間に差が見られず、両方とも同じように聴力低下が起こるという特徴がある。


内耳性難聴と後迷路性難聴

内耳性難聴と後迷路性難聴は、聴覚補充現象(リクルートメント現象)の有無によって鑑別されている。補充現象とは、入力された音の物理的な強さ(騒音計などで計測が可能な音の強さ)に比べて、大きな音が聞こえたと感じる現象のことで、これは内耳性難聴に見られる特徴である。この補充現象がある人は、その人の閾値よりも弱い音は聞こえず、音の強さが、その人の閾値を超えた途端に大きな音が鳴っているように感じる。


末梢神経性難聴と中枢性難聴

末梢神経性難聴と中枢性難聴は、一過性閾値上昇(Temporary threshold shift)の様子を見ることと、言葉の聴き取りの状態を見ることとで区別する。まず、一過性閾値上昇とは、閾値付近強さの音(聞こえるか聞こえないかの境目の強さの音)を聴き続けた時、一時的に閾値が上がって、今まで聞こえていた音が聞こえなくなってしまう現象のことで、これは末梢神経性難聴において顕著に見られる特徴である。ただし、一過性閾値上昇は中枢性難聴にも見られることがある。しかし、中枢性難聴の場合、しばしば言葉の理解が上手くゆかない状態が見られる。すなわち、音は聞こえるが、何を言っているのか判らない状態である。


難聴と日常生活

聾文化(聞こえないことを前提として形成された文化)に生きる人、いわゆる聾者は、実際のところ充実した日常生活を送っている者が多く存在する。特に視覚が正常であれば手話なども使えるので、なおさらである。他に、やはり視力が十分あることが必須なものの、文盲でなければ筆談も行えるので、必要とあらば手話を知らない者との意思疎通も可能である。しかし、それでも正常聴力を持っている場合とは異なり、例えば背後からの自動車の接近を音で知り、危険回避を行うといったことができないなどのハンデは存在する。さらに問題となるのは中途失聴者などで、こちらは音があることを前提に生活してきたために、より危険度は高くなるし、その上、手話なども使えず、様々な問題を抱える場合がある。


また、元々正常聴力だった者が、失聴とまではゆかないまでも難聴になった場合、周囲の者と会話などが上手くゆかず、結果として孤立に陥ることもある。そうならないように補聴器などの補助具もあるが、補聴器の効果が出ないケースもある。それから、老人性難聴などのケースでは、比較的低い周波数帯の音に対する聴力は良好に保たれている場合もあるため、張り上げた声(高い周波数の比較的強い音)はよく聞こえないが、ボソリとした声(低い周波数で比較的弱い音)だと聞こえてしまうことがあり、これが「年寄りは陰口だけしっかり聞いている」などといった誤解を生む場合もある。他に、例えばテレビの音がうるさいなどといったことが原因で、周囲との摩擦に発展する場合もある。さらに、進行性の難聴(時間経過と共に悪化してゆく難聴)の場合は、少し前までは聞こえていた音が聞こえなくなることがあるため、思わぬ問題が生じることもある。



聴覚障害を扱った作品の一覧

ドラマ

オレンジデイズ(TBS)

ラブレター(TBS)

漫画

あみーご×あみーが(瀬口たかひろ)

聞こえますか愛!(星野めみ)

きみの声 ぼくの指(横谷順子)

君の手がささやいている(軽部潤子)

金魚奏(ふじつか雪)

ノンフィクション

  • 遥かなる甲子園

沖縄に期間限定で設けられた聾学校の生徒が甲子園を目指した実話をもとにした作品。漫画化、映画化もされている。


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手話 指文字 補聴器 人工内耳

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