概要
仏教で、姿勢を正して坐った状態で精神統一を行う禅の基本的な修行法。
禅は大乗仏教(北伝仏教)の一派であり、坐禅を基本的な修行形態としているが、坐禅そのものは古くから仏教全体の基本的実践の重要な徳目であり、上座部仏教(南伝仏教)でも修行されている。
常用漢字に「坐」の字が無いため、「座禅」と表記することもあるが、正式には「坐禅」である(文字の意味は「坐」は坐る行為を表し、「座」は坐る場所を表す)
Meditation(瞑想)と翻訳される場合があるが、眼を閉じて思考する瞑想と坐禅は別であり、よく間違われる。
やり方
姿勢
本来は、坐蒲(ざふ)という厚めの敷物を敷いて行うが、普通の座布団を二つ折りにして代用してもOK。
足を胡座(あぐら)をかいた状態から右足を左太ももの付け根にのせ、左足を右太ももの上にのせる。これは『結跏趺坐(けっかふざ)』という座り。
身体が硬いなどで結跏趺坐ができない場合は、左右どちらかの足だけをももの上にのせる『半跏趺坐(はんかふざ)』の座りをとる。
足を組んだら背筋を伸ばし、頭のてっぺんを天井から吊されているようなイメージを持つ。同時にヘソのあたりを立てるようにすると腰が入って正しい姿勢がとりやすくなる。腰が後ろに引かないようにすること。
手は、右の掌を上にして、組まれた足(下腹あたり)に置き、左手をその上にのせ、左右の指が重なった感じにする。そして左右の親指を軽く合わせ、卵形の空間ができるようにする。この形は『法界定印(ほうかいじょういん)』という『印』の一つ。
呼吸
意識するのは「細く」 「長く」ということだけで、吐くことに集中していれば吸うほうは身体が勝手にやってくれる。この時に1から10まで心の中で呼吸を数え、鼻から息を吐きながら「一つ」2回目に「二つ」3回目に「三つ」というふうに数えていき、10まで数えたらまた1に戻り、それを繰り返す。この呼吸法を『数息観(すそくかん)』という。
目線
坐禅をするときは目を閉じず、半眼の状態で行う。禅において半眼は、半分は外の世界を見て半分は自分の心の内や見えないものを見るということとされ、実際にも目を閉じないほうが頭の中に妄想が浮かばず坐禅に集中できる。顔は前方に真っ直ぐ向けたまま、目線だけを1.5~2m前方に落とす。
声
通常は坐禅では声を出すことはないが、坐禅会では坐禅の前に『般若心経』などの経を読むのが一般的であり、声を出すことで態勢が調い、坐禅に入りやすくなるためである。
般若心経は短い経なため最適であり、さらに短い『延命十句観音経(えんめいじっくかんのんきょう)』などもあるため、できるなら読んでから坐禅に入るのが有効であるが、無理にする必要はない。
※これらは毎日続けることが大事であり、一日5分でもOK。この記事をご覧になっているユーザーの皆様も、機会があれば是非試していただいてはどうだろうか。