プロフィール
名前 | 中世古香織 |
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誕生日 | 9月3日 |
身長 | 166cm |
星座 | 乙女座 |
血液型 | A型 |
担当楽器 | トランペット |
好きな色 | 白 |
趣味 | お菓子作り、あすかとカフェ巡り |
特技 | 茶道と華道を小さい頃から習っている |
好きなもの | スイーツ |
嫌いなもの | 虫、人混み |
CV | 茅原実里 |
概要
北宇治高校の3年生で、吹奏楽部に所属。トランペットを担当しており、同パートのリーダーと部内の会計係を務めている。
可憐な雰囲気を漂わせる整った容姿に加え、優しい性格や真面目に練習に打ち込む姿勢など、外も内も綺麗な先輩。部内では「みんなの憧れの先輩」(原作小説)や「吹奏楽部のマドンナ」(TVアニメ版)等と呼ばれており、”信者”を自称する吉川優子をはじめ、彼女のようになりたいと憧れを抱く加藤葉月や鎧塚みぞれたちなど、部員たちからの人望は軒並み高い。
しかしながら、部内ではだらけきった姿勢で練習に取り組む先輩たちにコンクールメンバーの座を阻まれたり、新しく入ってきた1年生の高坂麗奈にソロパートを実力で奪い取られたりと、辛い境遇に立たされることも少なくない。時に涙を見せることもある彼女だが、部内トップクラスの演奏技術と慈愛にあふれた人格のもとに、折れることなく精力的に日々の活動に取り組んでいる。
人物
容姿
庇護欲をかき立てるような柔和で儚げな印象の女子生徒で、部内の男子生徒からは副部長の田中あすかと並んで告白するのもはばかられるほどの美人と目されている(原作1巻、33~34ページ)。また、原作小説ではさらさらとした黒髪(原作1巻、33ページ)、コミカライズ版ではウェーブがかったロングヘア、そしてTVアニメ版ではショートヘアに泣きぼくろと、それぞれに異なる特徴で描かれている。
170センチを超えるあすかほどではないが背が高く、スタイルも良好である。水着姿であすかと並んだ際には、そばに居合わせた黄前久美子をして「ひとつの芸術作品みたいだ」と言わせしめている。(原作2巻、138ページ)
なお、柔らかな線を描く頬や柔らかそうな太ももの持ち主である彼女は(原作3巻、215ページ、217ページ)、同級生のあすかから「香織の血とか美味しそうやん。なんかさ、首とか見てると、がぶっと噛みつきたくならん?」といった印象を持たれてもいる。(原作3巻、241ページ)
性格
おっとりとお嬢様然とした性格の持ち主であり、争いごとを好むことはない(『響け!ユーフォニアム2』コンプリートブック、15ページ)。しかし、吹奏楽コンクール京都大会(府大会)への出場に先立って行われたオーディションにおいて、自由曲のソロパートの座を最後まで諦めずに麗奈との一騎打ちを申し出たことなどに見て取れるように、優しさとともに確固とした意志の強さも持ち合わせている。(原作1巻、287~288ページ、短編集2巻、95ページ)
部活動に対しては真面目かつ熱心に取り組んでおり、天才肌の同級生であるあすかに憧れつつも、彼女とは対照的に地道に努力を積み重ねるタイプである。(TVアニメ版1期オフィシャルファンブック、43ページ)
もっとも、香織自身はこれまで培ってきた功徳等から集める影響力を積極的に行使しようとはせず、むしろ、他人の自身に対する評価に関しては無頓着なところがある。「吹奏楽部のマドンナ」という肩書きを持ちつつも「マドンナだって、芋が好きなの」と意に介さず嬉々として焼き芋を頬張ったり(TVアニメ版1期7話)、北宇治高校の文化祭ではうさぎの着ぐるみに身を包んでノリノリで宣伝活動を行ったりと(TVアニメ版2期6話)、他者の目を気にしないマイペースな振舞いを垣間見せている。
演奏技術
トランペットの腕前は中々のもので、高校生にして”プロ級”とも噂される1年生の高坂麗奈には及ばないものの、原作小説におけるソロパートの再オーディションでの演奏シーンでは「欠点が見当たらないキラキラと眩い完璧な演奏」と表現されるなど、高校生としては充分に上手い(原作1巻、295ページ)。吹奏楽コンクール京都大会の終了後に、顧問の滝昇と松本美知恵が交わしていた会話のなかでも、彼女の実力は「田中あすかとともに強豪校の生徒たちにも引けを取らない」として高い評価がなされている。(TVアニメ版2期1話)
自身の担当楽器であるトランペットに対する想いは強く、TVアニメ版1期11話で登場した吉川優子の回想シーンのなかでは、香織の演奏を聴いた優子が「先輩はトランペットが上手なんですね」と語りかけた際に、香織は「上手じゃなくて、好きなの」と微笑みながら返している。
彼女の使用するトランペットはマイ楽器(私物)であり、自身の祖母から受け継いだものである。(『響け!ユーフォニアム』DVD&BD7巻ブックレット、4ページ)
モデルとなった楽器は、YAMAHA YTR-850。様々な音楽ジャンルの奏者から高い評価を得ている高品質なカスタムモデルである。
(※『「響け!ユーフォニアム」北宇治高校吹奏楽部 体験ブック』 株式会社ヤマハミュージックメディア 2016年7月10日発行 8ページ)
部内における活動
物語の1年前
滝昇が顧問になる前の、部が腐敗していた時期から熱心に努力を続けていた部員のひとり。
しかし、当時の顧問はだらけた下手な部員であってもコンクールは3年生が優先という方針をとっていたために香織の努力が報われることはなく、A編成のメンバーに選ばれることはなかった。(※なお、サックスパートの小笠原晴香も彼女と同じような境遇にあった)
このような努力や実力が評価されない部の現状に、やる気のある当時の1年生の傘木希美や吉川優子らは強く反発し、当時の1年生の大量退部事件を招く一因となった。
なお、この1年生の大量退部事件が起こった際、香織は斎藤葵らと共に部内の環境調整に奔走している。
現在の活動(TVアニメ版1期)
トランペットパートのパートリーダーを担当するほか、吹奏楽部の会計係も受け持ち、更に部長の小笠原晴香の相談役に回ったりするなどして部活を陰ながらに支えている。
滝昇が顧問として関わる前のパート練習のシーンでは、ホルンパートやトロンボーンパートが練習中にふざけ合っている中、トランペットパートはしっかりパート練習を行っているなど、パートリーダーとして率先して頑張っている描写がなされている(TVアニメ版1期1話)。
TVアニメ版1期3話では新入部員に対する腹式呼吸の指導も担当しており、特に吹奏楽部初心者の加藤葉月に対しては吹き戻しを使った練習方法を教えるなどしている。
TVアニメ版1期5話のサンライズフェスティバルでは、立華高校のパフォーマンスの凄さに吉川優子が動揺した際、香織は動揺した素振りを全く見せることなく優子の肩に手を触れて「深呼吸して」と気遣い、頼れる先輩としての一面も見せている。また、TVアニメ版1期10話では同じパートの同級生である笠野沙菜から演奏に関する相談を受けている。
そのほか、アニメ化はされなかったものの、原作小説の短編集(「科学準備室の京子さん」)ではサンライズフェスティバルの衣装選定に携わっている場面がある。
現在の活動(TVアニメ版2期)
関西大会の前日、晴香と下校している香織は晴香とともに校門前で学校に向かって一礼をしている。
翌日の吹奏楽コンクール関西大会(支部大会)の本番直前のシーンでは、同大会を自身にとっての最後のステージと位置づけていた香織は、後輩の吉川優子に対して「これからも部のこと、よろしくね」と自身が引退した後の吹奏楽部を託そうとする。
続けて他のパートメンバー達に対しても「みんなも、今までこんな私についてきてくれて……」と感謝の意を表そうとするが、そんな香織の姿に耐えかねた優子は「香織先輩、違います! ここで終わりじゃありません」と言葉を遮った上で「私たちが目指しているのは全国です。私たちは香織先輩と一緒に全国に行くんです」と右手の人差し指を高らかに挙げた。
すると、香織の周りにいたトランペットのメンバーも優子にならって右手の人差し指を高らかに挙げ、少し離れた場所いた黄前久美子や高坂麗奈、低音パートの後藤卓也らも続くようにして同じポーズをとった。(※川島緑輝は両手の人差し指を挙げている)
そして、香織自身も同級生である笠野沙菜に促され、右手の人指し指を高らかに挙げながら「行きましょう、みんなで全国へ!」と声高に叫んだ。(TVアニメ版2期5話)
文化祭の後に田中あすかの退部騒動が勃発すると、あすかのことを心配すると共に騒動を機に部長として自立しようとする晴香を支えている。(TVアニメ版2期7話)
その後、顧問の滝があすかの代理として中川夏紀を全国大会に出す可能性を明らかにすると、香織は中川夏紀らと共にあすかの母親を懐柔し、彼女の部活復帰を実現させようとする「あすか先輩を取り戻すぞ大作戦」(作戦名の命名は香織による)を実行に移している。(なお、当該作戦の立案および主導者については原作小説でもTVアニメ版でも触れられていないため不明である。 ※TVアニメ2期9話、原作3巻)
また、「あすか先輩を取り戻すぞ大作戦」の当日には、あすかの不在間の部の運営上の問題について、久美子を挟んで歩きながら相談している。(TVアニメ版2期9話)
あすかが問題を解決して吹奏楽部に復帰した際には、嬉し涙を浮かべながらあすかを眺めている(TVアニメ版2期10話)。なお、原作小説では復帰したあすかに香織が抱きつき、あすかがその背を優しく撫でるという形をとっている。(原作3巻、282~283ページ)
TVアニメ版2期12話の全国大会での香織については後述。
自由曲のソロパート(原作1巻及びTVアニメ版1期)
北宇治高校吹奏楽部のコンクール自由曲には、トランペット(原作ではコルネット)のソロという大きな見せ場が存在する。
これを吹くことを希望する3年生の香織と1年生の麗奈だが、オーディションの結果ソロパートは麗奈が担当することが決まり、それに2年生の優子が不満を表したことが発端となって部内に不和が生じた。
この問題の推移は原作小説とTVアニメ版とで多くの部分が異なっている。
原作小説版
ソロがある自由曲は「イーストコーストの風景」第2楽章
❶上級生の不満
多くの部員の前で優子は不満を露わにし「なんでアンタがソロなの」と麗奈に問うが
「なんでって、わかりきってますよね。香織先輩よりアタシの方が上手いから、だからアタシがソロなんです。簡単でしょ?」
と麗奈は切り捨てる。
この言葉に、優子を止めようとしていた香織の大きな瞳に水面が張り、なお喧嘩を止めようと麗奈に謝罪し私は気にしていないからと笑顔を作ろうとするも、とうとう堪え切れなくなり涙が溢れてしまう。
周囲の上級生から麗奈の不遜な態度に不満が囁かれだすと、
「ケチつけるならアタシより上手くなってからにして下さい」と麗奈は吐き捨て、上級生と麗奈の間に亀裂が入る。
❷上級生と下級生の亀裂
麗奈を擁護する下級生と、麗奈に不信感をつのらせ香織に同情する上級生とで対立が深まっていた。
だがコンクールという共通目的があるため、練習が出来なくなるなどの大きな問題は発生していない。
しかしコンクール後、部はどうなってしまうのか……と久美子は心配する。
❸田中あすかの解釈
黄前久美子は偶然、香織が隠れてソロパートの練習をしているのを見つけ、その場にいたあすかが香織について語る。
「香織だって判ってるって、高坂さんの方が上手いってことくらい。
周りの奴らはなんか勘違いしてるけど、香織は別に同情されたいわけでもないし、駄々をこねてソロになりたいわけでもない。ただ、あの子は納得したいだけ」
❹再オーディション
コンクール前日の練習開始時というタイミングで、香織自ら再オーディションを顧問の滝昇にお願いする。
滝は少し考えた後に、即その場で香織と麗奈にソロ部分のみを演奏させる。
(香織の演奏描写の抜粋)
♪
香織の繊細で柔らかな音色が、ホールいっぱいに広がった。
高音部分も、滑らかに吹くのが難しい音と音とのつなぎ目部分も、すべてが完璧な演奏だった。
欠点が何ひとつ見当たらない。キラキラとまばゆい彼女の音色。それに浸るように、久美子は目を閉じる。
香織の演奏は格段に上手くなっていた。血のにじむような努力の跡が、その演奏からはうかがい知れた。
♪
(原作1巻、295ページ)
滝は上達に驚いて賞賛し、部員たちからは拍手が巻き起こり、香織の強張った表情も華やいだものになる。
しかし、その直後の麗奈の演奏は香織をなお遥かに上回るものであった。
滝は「あなたがソロを吹きますか?」と問い、それを香織は涙を零しながら否定した。
香織は麗奈に向き「ソロはあなたが吹くべきだと思う」と部員の前で敗北を認める。
その視線の力強さに麗奈は珍しくたじろぐと以前の発言を謝罪し、香織も「いいの、事実だから」と真剣に返した。
ここで黄前久美子は、あすかの言葉である「あの子は納得したいだけ」を思い出し、香織が負けるために、心を折ってもらうために本番を迎えることのないソロパートを練習していたことを初めて理解している。
TVアニメ版
ソロがある自由曲は「三日月の舞」
ソロパートの発表
オーディションの結果、自由曲のソロパートは1年生の高坂麗奈が担当することが決定した。
この結果に部内は騒然となり、結果を決める過程で何があったのかと部員たちはそれぞれ陰で探りを巡らせる。
そんな中、2年生の後輩である吉川優子は顧問の滝昇と麗奈が知り合いであったという話を偶然耳にし、香織にその旨を話した。
贔屓があったと主張する優子であったが、自分と麗奈の実力差を分かっている香織は
「私はもう納得してるから。
先生は、私より高坂さんの方がソロに相応しいと判断した。それがオーディションでしょ」
と、下された結果を不満を持つことなく受け止めていた。
それでもなお、そのオーディション自体に問題があると主張する優子に、香織は「これからは、全員で金賞を目指して頑張ろう」と諭し、この話を口外しないように伝えた。
部内の対立と再オーディションへの志願
オーディションの結果発表から数日後、吉川優子は顧問の滝昇に対し、高坂麗奈と知り合いだったこと、それによって麗奈を贔屓した可能性を問い詰めた。
このことが怒りに触れた麗奈は「先生を侮辱するのはやめて下さい」と声を荒げるとさらに言い放つ。
「なぜ私が選ばれたか、そんなの分かってるでしょ?
香織先輩より、私の方が上手いからです!」
この一言が引き金になり、激昂した優子は麗奈のもとに詰め寄った。
中川夏紀の制止もものともせず、なおも麗奈に怒りの矛先を向ける優子に、香織は「やめて!」と叫びを上げた。
肩を震わせ、涙を流しながら「やめて…」と願う香織の声で優子は矛を収め、麗奈もまた部室を出た。
この一件の後、吹奏楽部は3年生の香織を支持するか、今のまま1年生の麗奈にソロを吹かせるべきかで大きく分かれ、クラリネットパートやホルンパートにおいては練習の継続が不可能な状態にまで陥ってしまう。
そんな状態の部活の中、香織は一人自由曲のソロの練習を続けていた。
既に結果が決まっているにも関わらず練習をするのには、単にオーディションの結果に不満があったからなどではなく、
一人のトランペット吹きとして自らに対して納得がいくまで練習し、自分自身に満足したいという理由があった。
そんなある日、顧問の滝昇から部に対して再オーディションの提案が持ち掛けられる。
顧問と副顧問の2名ではなく、部員の全員で聴いて決定するという方法により、以降の部内の後腐れを完全に断つのが狙いであった。
香織は滝の申し出を受け、決然と手を挙げてそれに応えた。
再オーディション、そして…
滝昇の提案から一週間後、コンサートホールでの練習において再オーディションは実施された。
舞台上に立つ香織と麗奈に対して滝昇から説明が下され、香織から先にソロが演奏される。
演奏後「ありがとうございました」と一礼し、香織はホールの彼方を見つめる。
吉川優子をはじめ、何人もの部員が香織に対して賞賛の拍手を送り、彼女はほっと息をついた。
それからしばらく間を置き、次いで現在のソロパート担当である高坂麗奈がソロを奏でた。
演奏が終わってもなお、聞き入っていた部員たちは静まり返っていた。(※)
(※言うなれば、香織は型”通り”《=マニュアルに倣った》の演奏、麗奈は型”破り”《=独自性を確立した》の演奏であり、そこで差がついたものと思われる)
そして静寂を破る滝昇の一声でそれぞれの演奏に対する評価が下され、香織には吉川優子と小笠原晴香が、麗奈には黄前久美子と加藤葉月がそれぞれ拍手という形で票を入れる。
2対2という同率の結果を鑑みた滝昇は、「中世古さん、あなたがソロを吹きますか?」と香織を見つめながら問いかけた。
久美子たちははっと息を呑んで滝昇を見やり、舞台上に立つ麗奈はゆるりと目を伏せた。
「吹かないです。……吹けないです」
数秒の沈黙の後、香織は答える。
「ソロは、高坂さんが吹くべきだと思います」
こうして香織自ら麗奈を認め、再オーディションは終わった。
全国大会(TVアニメ版2期12話)
吹奏楽コンクール全国大会の本番を終えると、表彰式までの空いている時間、香織は晴香と共にはしゃいでいるあすかに肩を組まれながら、喫茶店に向かっている。
表彰式での指揮者賞授与の際に麗奈が突発的に立ち上がり「先生!好きです!」と壇上に向かって大声で告白の言葉を叫んだが、この時の麗奈の言葉を滝への声援と受け取った香織は、優子の「高坂! マジファインプレー!」という言葉に続けて「ありがとう! 助かった」と麗奈に礼を述べている。
全国大会での結果が銅賞で終わり、トランペットパートが集まっている中、麗奈が「すみませんでした、先輩」と香織に謝罪すると、香織は「高坂さんが謝ることじゃない。これが私達の実力だったんだよ」と答えている。
その後、顧問の滝がトランペットパートが集まっている所に来て、麗奈に指揮者賞授与の際の声かけに関して礼を述べると、麗奈は改めて「私、本当に先生の事が好きなんです!」と滝に告白を行い、香織は優子と笠野沙菜とともに驚いている。
だが、折角の告白も滝に告白として受け取られず、がっかりして肩を落とす麗奈に香織は拳を握りしめて「頑張ろっ」と声をかけている。
全国大会後(TVアニメ版2期13話)
在校生部員の主催による卒部会では、夏の合宿時の部屋着姿であくびをしている優子がスクリーンに映し出された際、恥ずかしがる優子にその目を覆われている。
その後、3年生部員による演奏に参加し、続く在校生部員による「三日月の舞」の演奏が終わると、目に涙を浮かべながら拍手をしている。
卒業式後のワンシーンでは香織のスカーフを手にしながら顔を埋める優子の頭を優しく撫でながら「部長でしょ。しっかりしなきゃ…」と語りかけている。一方、優子の方は香織の言葉に反応する事無く無言で香織に抱き着いたまま微動だにせず、その別れを惜しんでいる。
卒業後
高校卒業後は京都府内にある看護学校に進学し、看護師の資格取得を目指す予定で、当該学校はあすかが通学する予定の大学の近くにある模様である。又、卒業後は自宅を出て下宿を始める意味の事も仄めかしている。
トランペットに関しては、今後、看護学校での勉強に多忙となるため、続ける事は難しいかも知れないと語っている。
(※以上、『北宇治高校吹奏楽部 ホントの話』所収の短編「だけど、あのとき」、「未来をみつめて」参照。)
主要キャラクターとの関係
田中あすか
概要
香織とあすかは長身の美女コンビであり、「あの2人が並ぶと凄いね」「芸術作品のよう」などと感嘆される並ぶと絵になるペア。共に男子生徒からは告白するのもはばかられる存在とみなされている。
香織とあすかの関係性については、あがた祭の日にはあすかが「香織とデート」と応えるなど、プライベートでも遊ぶ間柄(TVアニメ版1期7話では小笠原晴香も一緒ということに変更されている)であり、TVアニメ版2期2話では色違いの水着を着て2人でプールへ遊びに出かけたりもしている。
周りからは謎が多い先輩とされるあすかだが、香織とはお互いの家を知っており、香織はあすかの母親の好物まで知っているなど、近しい関係がうかがえる。(原作3巻、181~182ページ、TVアニメ版2期9話)
更に、香織があすかの誕生日プレゼントとして贈ったペアグラスが香織の家にもあり、あすか曰く、「まあ、おそろいというやつ」(原作3巻、220ページ)。TVアニメ版2期9話でもこのグラスは登場するが、香織の家にもあるかどうかについては触れていない。
原作小説における2人のやり取りは、そばに居合わせた久美子が「甘ったるい会話」「みてはいけないものを見てしまった」と感じ取るほどの、どこか意味深な空気を明確に漂わせているが、TVアニメ版では抑え気味ではあるものの、原作でも登場する香織がひざまずいてあすかのスニーカーの靴紐を直す一連の場面(原作3巻、217~218ページ)については、あすかの表情は口元以外は映さない一方で、傍らの久美子が目を見開いてその様子を眺めている場面が映されており、意味深な様子に演出されている。(TVアニメ版2期9話)
ただ、香織とあすかの関係の詳細は作中においてほとんど説明されない。
久美子も香織とあすかの関係性について探ることは「危険な一線を越えそう」であるとして、探らないようにしていると述べている。(原作公式ガイドブック、54ページ)
ちなみに香織の中の人は、TVアニメ版のWebラジオ(「響け!ユーフォラジオ2」第13回 2016年12月12日配信分)において、あすかと香織の関係は男と女の関係という解釈を明かしている。
他の仲が良い組み合わせは、基本的に馴れ初めなどがきちんと描写されていることからも、逆に香織とあすかの関係は作中でも特殊といえる。
なお、TVアニメ版の公式設定においても香織のあすかへの想いは友情以上のものがあるとされている。(『響け!ユーフォニアム』DVD&BD7巻ブックレット、4ページ)
晴香に語ったあすかへの想い
TVアニメ版1期7話では、小笠原晴香の家を訪れた香織が晴香に「演奏者として、あそこまで切り捨てて演奏に集中できたらって思っちゃう」と、ストイックなあすかの姿をカッコいいと語る場面が登場している。
その後に行われた吹奏楽コンクール自由曲のソロパートの再オーディションの当日、晴香に「どうしてあすかに拘るの?」と問われた際には、
「よく分からないけど、なんか、見透かされてるような気がするんだよね。私が思ってること、何でも。
だから、あすかを驚かせたい。あすかが思ってる私の一歩先を、本物の私が行きたい」
と香織はその胸の内を語っている。(TVアニメ版1期11話)
あすかが語る香織像
原作小説やTVアニメ版では、香織についてのあすかの考えや思いが断片的にその口から語られている。
- あすかのスニーカーの靴紐を結び直し、その場を立ち去った香織についてあすかは久美子に「可愛いでしょ、香織って」と語っているが、久美子はあすかのその言葉の意味を理解できずにいる。(原作3巻、218ページ、TVアニメ版2期9話)
- 久美子にユーフォニアムの演奏を聴かせるべく2人で川原に訪れたあすかは、夏場のトビケラや蚊の心配をする久美子に対して「自身は血がまずいから蚊に咬まれる心配はない」としながら、続けて「香織とか刺されそうだけど。だって、香織の血とかおいしそうじゃない。がぶっと咬みつきたくなるというか」と語っている。(原作3巻、241ページ、TVアニメ版2期9話)
- 立華高校との合同演奏会に向けてあすかが久美子にマンツーマンのユーフォニアムの指導を行っていたところ、同じく合同演奏会の練習のために学校に来ていた香織があすかを昼食に誘いに来ると、あすかは久美子に「了解了解。もう、ごめんな久美子ちゃん。可愛い彼女がせっつきに来ちゃった」と茶化すように述べている。(原作公式ガイドブック、168ページ)
- 吉川優子が部長に就任してから行われた立華高校との合同演奏会の当日、香織はあすかや晴香と共に会場に姿を現したが、香織を見て優子が黄色い悲鳴を挙げた際にあすかは傍らにいる香織の肩に手をかけながら、「お、まーたやってんの? 香織が可愛いなんて当たり前やない?」と優子に語りかけている。(原作公式ガイドブック、177ページ)
吉川優子
トランペットパートに所属するひとつ下の後輩。2年生。
香織は優子のことを「優子ちゃん」と呼び、対する優子は「香織先輩」と呼んでいる。
優子が1年生のとき、当時のやる気のない3年生と「やる気のある1年生のグループ」が衝突を起こし、結果として多くの1年生が吹奏楽部に見限りをつけて退部していった際に、香織は退部すべきかどうかを迷っていた優子を「部活を続けようよ」と応援し、部内に引き留めている(原作2巻、212ページ)。また、香織は当時の3年生部員と1年生部員とのあいだに生じていた軋轢を解消するために頭を下げるなど、部内の人間関係の調整のためにも奔走しており、そのような香織の姿を目の当たりにした優子は彼女に強く惹かれるようになり、現在では”信者”を自称するほどまでに慕うようになっている。
彼女の意志を汲み取ろうとするあまり、時として再オーディションの前に麗奈にわざと負けるように頼み込むといった大胆な行動を起こすこともあるが(TVアニメ版1期11話)、再オーディションを通して香織が自身の結果に納得を見せて以降は、そのような暴走も鳴りを潜めるようになる。
コンクールシーズンを終えて香織たち3年生が引退し、自身が部長になった新体制が始まって以降も、優子は香織が部活に顔を出しに来るたびにかつての心酔ぶりをここぞとばかりに表し、副部長以下の部員の面々を呆れさせている。(原作公式ガイドブック、176~177ページ、第二楽章後編、313ページ)
小笠原晴香
吹奏楽部の部長とサックスパートのリーダーを兼務している同級生。3年生。
TVアニメ版では、学外においてもあすかも交えて3人一緒に行動したり、互いの胸の内を語り合うなど親しい間柄である。しかし、原作小説の本編(原作1巻~3巻)においては、ふたりの関わりに関する記述はほとんど見ることができず、3人で一緒にあがた祭りに遊びに行ったり、晴香の家に上がって励ますシーン等に見られる両者の関係性は、アニメオリジナルのものとなっている。
(なお、2018年4月に発行された短編集2巻の「だけど、あのとき」と「未来を見つめて」には、3年間をともに過ごした仲間として、香織と晴香が互いを振り返る描写が登場している。※短編集2巻、39ページ、92ページ)
吹奏楽コンクール全国大会前に起こったあすかの退部騒動に際しては、香織とともにあすかの行く末を心配しつつ、彼女に支えられる形で部長として自立する覚悟を決めている。また、その覚悟を表そうとした際に口を挟んできたトロンボーンパートのリーダーである野口ヒデリに対して、香織は黙って話を聞くように促したりもしている。(TVアニメ版2期7話)
コンクールシーズンの終了後、新体制のもと行われる定期演奏会の準備や立華高校との合同演奏会においては、あすかも交えて3人で訪れているほか(なお、定期演奏会に向けた練習期間では香織と晴香のふたりでたびたび姿を現している)、定期演奏会の本番当日には香織とふたりで足を運んでいる。
高坂麗奈
トランペットパートに所属するふたつ下の後輩。1年生。
香織は麗奈のことを「麗奈ちゃん」(原作小説)「高坂さん」(TVアニメ版)と呼び、対する麗奈は「香織先輩」と呼んでいる。
3年生時の吹奏楽コンクール京都大会前に、香織は彼女と自由曲のソロパートをめぐって争ったものの、結果的に部員の総意のもと正式に決まったこともあり、その後は両者にわだかまりは見られない(TVアニメ版1期12話では、麗奈が香織にソロパートの一件で謝るシーンが登場している)。
原作小説では、のちの関西大会において香織が久美子に「麗奈がソロパートを担当することが決まったときは悔しかったけれども、自分がソロの担当だったらここまで来ることはできなかったし、ここまで進出することができて嬉しい」と、麗奈のソロに対する心情を打ち明けるシーンが登場している。(原作2巻、293ページ)
さらに、吹奏楽コンクール全国大会において北宇治高校が銅賞に終わったことに麗奈が涙した際には、香織は彼女を優しく労った上で「ここまで来れたんは麗奈ちゃんのおかげやわ」と感謝の意を表している(原作3巻、360~361ページ)。TVアニメ版2期12話でも類似の場面が出てくるが、こちらでは自らの不甲斐なさを詫びる麗奈に対し、香織が「高坂さんが謝ることじゃない。これが私たちの実力なんだよ」と、現状を踏まえた上での励ましの言葉を送っている。
3年生部員の卒部会において、在校生部員がコンクール自由曲の「三日月の舞」を披露した際には、麗奈は中間部のトランペットソロの折に香織に向けて視線を送っており、香織もまた、笑みを浮かべながらトランペットソロに合わせて軽く運指を行い、奏者である麗奈と目くばせを交わしている。(TVアニメ版2期13話)
黄前久美子
低音パートでユーフォニアムを担当する、ふたつ下の後輩。1年生。
所属するパートが異なるため、香織と直接的に絡む場面はあまり多く見られないが、あすかの直属の後輩ということもあり、彼女絡みで接することが多い。
また、原作小説における吹奏楽コンクール関西大会の本番前には、自身の心情と決意を久美子に打ち明けるとともに、本番の演奏に向けた凛とした姿を見せており、久美子はその美しさに息を呑んでいる。(原作2巻、293~294ページ)
トランペットパートのメンバー一覧
関連イラスト
冬制服
夏制服
パレード衣装(サンライズフェスティバル)
白ビキニ
着ぐるみ(北宇治高校文化祭)
関連タグ
吉川優子 - トランペットパートのひとつ下の後輩。2年生。かなり好かれている。
加部友恵 - トランペットパートのひとつ下の後輩。2年生。コンクールのオーディションには落選する。
高坂麗奈 - トランペットパートのふたつ下の後輩。1年生。コンクールのオーディションでソロパートをかけて争っている。
吉沢秋子 - トランペットパートのふたつ下の後輩。1年生。コンクールのオーディションには落選する。
小笠原晴香 - サックスパートに所属する同級生。3年生。吹奏楽部の部長。
田中あすか - 低音パートでユーフォニアムを担当する同級生。3年生。吹奏楽部の副部長。
沢田樹里 - ホルンパートのリーダーを務める同級生。3年生。
野口ヒデリ - トロンボーンパートのリーダーを務める同級生。3年生。