概要
その名の通りハエをかたどった星座で、南十字星ことみなみじゅうじ座の下にある。はえ座単体では3~4等星程度の地味な星座だが見当はつけやすい。歪んだ台形のような形が目印。
ただしその南十字星自体が日本では見えない(沖縄や奄美などに限られる)ため、必然的にはえ座も日本ではほとんど見えない。
なお、かつては正式和名が江戸弁の『はい座』だった。
ちなみにはえ座の学名はムスカ(Musca)。これはラテン語において「ハエ」を意味するが、元々はミツバチの星座になる予定だったようで、当初の名前は「Apis(ミツバチ)」であった。
その後「ハエ、もしくはミツバチ座」or「ミツバチ、もしくはハエ座」とまどろっこしいネーミングを経て「はえ座」になったのだが、なぜこうなったのかというと……
ヨハン・バイエル(はえ座を考えた人)が「コイツはハチだ!」としていた一方、ペーテル・ケイザーとフレデリック・デ・ホウトマン(実際にはえ座を観測した船乗り)が「ハエじゃね?」と思っていたから。
結局船乗りコンビの主張が認められたらしく、ニコラ・ラカーユ(18世紀フランスの天文学者)が「よし、コイツははえ座だ!」と決めたことで決着を見たのだった。
きたばえ座
イラストの左のハエ。今はなき星座のひとつ。
はえ座と同じく17世紀に作られた星座で、当時どこの星座にも含まれていなかったエリア(現おひつじ座の一部)の星を使って作られた。
南半球のはえ座に対して北半球にあるのでそのまま「北ハエ座」という名前が与えられ、学名は「ムスカ・ボレアリス(Musca-Borealis)」。ちなみにボレアリスは「北の」という意味で、「南の」を指す場合は「アウストラル(Austral)」という。
※参考
みなみのうお座→Piscis-Austrinus
みなみのかんむり座→Corona-Australis
みなみのさんかく座→Triangulum-Australe
こっちもこっちでミツバチ座の予定だったのがハエの星座になった経緯をもち、スズメバチ(Vespa)からなぜかハエにされた(ちなみにこのきたばえ座と丸々被る位置に「ユリ座」というのもあった)。
後々星座の仕分けで落とされたので現在は残っていないが、星そのものがなくなってしまったわけではないため探そうと思えば探せる。
位置的にはさんかく座とペルセウス座のアルゴル星を結んだ下辺り。
関連タグ
ふうちょう座→こっちは「Apus」だが、「Apis(ミツバチ)」と間違えられた事がある。