概要
手裏剣とは、小形の刀剣・針様などの様々な形状を持つ武器である。
概要
「“手”の“裏”」という字で表されている通り、手に収まる程度の大きさの鉄製の刃の付いた板や、針状の細い鉄の棒などで、主に相手に投げ放って使う投擲武器の一種である。
そのルーツについては未だよく分かっておらず、中国の投擲用短刀である暗器「鏢(ヒョウ)」を源流とするものや、インドの仏具である「金剛杵(コンゴウショ)」を源流とする説がある。
形状
形状については様々にあり、大きく分けてフリスビーのような「平型」と両側を削った鉛筆のような「棒型」の2種がある。
また、平型のうち、忍手裏剣とされるものは手裏剣術用の物であり、普通の手裏剣といえば忍び手裏剣を指す。これらを総称して「車剣」という。
最も有名なのが平型手裏剣の「四方手裏剣」であろう。英語圏でも「Ninja Star」と言えばだいたい通じるほどの知名度を誇る。
その他、六方手裏剣・八方手裏剣・十字手裏剣・卍手裏剣・三光手裏剣・糸巻手裏剣などがある。
ただし、卍手裏剣は後の時代に「撮影で危ないから」という理由で考案されたものだという。
しかし、現実に多く使われていた手裏剣はむしろ棒型手裏剣であり、平型手裏剣は威力を削いで命中率を上げた改良品である。
棒型手裏剣は深く刺さる反面、刺さる箇所が少ないため弾かれ易く、車剣では円形になればなるほど刺さる箇所が増えるがその分一つ一つの傷は浅くなる。
このため、暗殺などでは刺さりやすい車剣に毒を塗った上で打った。
しかし稽古を積まなければ平型であっても標的に突き刺す事は至難であり、“金属の塊が高速で突き刺さる”という事もあって、平型でも殺傷力は十分にある。また、車剣はその形状から安定した飛翔となるため、修練を重ねれば重ねるほどに刺さりやすくなる。
ただし飛翔音が発生し、隠密性は低い。
静定剣と乱定剣
小刀や槍の穂先、鎌なども投げつければ静定剣という手裏剣の一種となるが、刃物のみならず茶碗や擂粉木、お玉など投げつけられるもの全部投げつける場合どころかちゃぶ台返しも乱定剣として手裏剣の一種となる。
打剣術と掌剣術
基本的には投擲武器である手裏剣だが、小さく鋭い金属器である以上は隠し持って近接武器として扱うことも当然可能である。投擲技術を「打剣術」、近接戦闘術を「掌剣術」と区別し、練習する流派もある。
攻撃力
しかし、その威力は達人ともなれば棒手裏剣で畳を貫通する(.37口径(≒9.4mm)の大型拳銃並み)という凄まじいものとなる。
現代での実験では、濡れた電話帳に深く突き刺さり、未開封のビール缶も貫通、さらに的に使ったスイカを貫通した際には内部の果肉がグチャグチャに破壊されるという検証結果が出た。
このため、有効射程と命中率の割には一撃必殺の武器であり、十分に有用であるとの結論が出ている。
また、鉄製のため重く、到達速度で見た場合、野球における180㎞/hという超剛速球並みのスピードをたたき出すこともある。
先に隠密性は低いと書いたが、察知しても見切るのは難しいだろう。
また、投箭という武器の場合、上に向かって投げ、重力で加速させるため、高低差によっては人体を貫通することもある。
また、毒や薬のほかに硝石を張り付け、導火線を巻き付けたうえで投げつけることで一種の炸裂弾とする火車剣というものもある。
×投げる→○打つ
手裏剣で攻撃することを専門用語で「打つ」あるいは*「打剣」*という。
これは名前通り手裏剣は「剣」であるためというのが理由の一つとされている。
ただし、一般には聞き慣れない言葉であるため、小説などではあえて「投げる」「飛ばす」といった分かり易い表現・表記をすることが多い。
打ち方は先端を標的に向けて投げる『直打法』、先端を持って飛んでいく最中で先端を回転させる『反転打法』、車剣のように回転させながら放つ『回転打法』がある。
手裏剣=忍者?
手裏剣が忍者の武器として認知されて久しいが、実はそんなに頻回に使うものではなかったという。
その携帯性の高さから実際に使用していたようだが、携行したのはほんの数枚程度で、漫画や映像作品のように大量に持ってばら撒いたりはしないらしい。
そもそも忍者のみならず、手裏剣を使うときは護身と攻撃を兼ねる場合、つまり不意打ちや足止めなどの牽制のときであり、隠密鬼道を身上とする忍者にとって、重荷となったり擦れて音の鳴る鉄製の武器を多量に持って歩くことは好ましいものではなかったという。なお、四方手裏剣などの平型はその構造ゆえに「容積が広い」という欠点があるため携帯にも向かない。このため持ってたとしても4~5枚程度が限界のようだ。
また手裏剣を扱うことは「手裏剣術」という立派な武術としても確立しており、武士が修練すべきとされる武芸十八般のうちに数えられることもあった。武家社会の頂点たる15代将軍・徳川慶喜もこれを愛好し、熱心に修練したと言われている。
近年になって扱われる手裏剣の扱いは上述したような武術流派を参考資料とした影響が大きい。
なお、手裏剣の「ばら撒き殺法」を最初にやったのは昭和の時代劇『隠密剣士』で、番組プロデューサーが見栄えを重視して考案した演出なのだという。
どちらかと言うと忍者が携帯していたのは万能ナイフ、または工具的側面の強い苦無であったようだ。
装備しているキャラ
※五十音順