概要
小説の主人公は、読者の嗜好とは関係なく勝手に行動する。
しかしゲームブックでは読者が主人公となり、その行動を選ぶ事が出来る。
主人公の行動は何通りかに分けられ、それぞれの行動を記した文章には番号が振られている。読者はその番号を選び、その結果を確認したのち、新たな行動が記された番号を選び取ることになる。行動の自由度は選択肢の数と内容に制限されるとはいえ、自分で物語を作り上げる楽しみが得られる。
ランダム性を加えるためダイスを併用するものや「幸運度」「バイオリズム」など独自の数字を用いるものもあった。
『MOTHER2』のブックゲームを一例に挙げると、番号移動に対して「フラグの有無で行き先の番号が変わる」「必要なアイテムの有無」を付属のゲームシートを使って読み進める。といった方式のものがある。また、ゲームシートはしおりがわりになるので、いわゆるセーブのような扱いとなる。
歴史
アメリカ製の『きみならどうする?』シリーズを1979年に学研が発売したのが日本での始まりとされる。この頃は精々100項目程度の簡素な内容だった(代わりに必ず見開きの挿絵がついていた)。
その後、イギリス製の『火吹山の魔法使い』(項目数400)を社会思想社が1984年に発売。
1986年の『ドラゴンクエスト』の大ヒットに端を発する空前のRPGブームの追い風もあり、90年代末までファンタジー物を中心とした様々なジャンルのゲームブックが発行され、社会思想社からは『ウォーロック』と言う専門誌も発売された。
そのジャンルは様々で、最も多かったのは剣と魔法のヒロイックファンタジーものであり、日本国内でもそれに準じた作品が多く販売された。
それ以外には、スパイもの、超能力アクション、サバイバル、SF、戦記物など、ブーム以前にシミュレーションゲームとして多く出ていたジャンルもゲームブック化され、ムーブメントを作り出し、一つのジャンルとして確立していた。既存の人気作品からも、原作としてゲームブック化したものがある。
しかし技術の進歩でCRPG(に限らずコンピューターゲーム全般)が相対的に安価となった事で売り上げが激減。売れないから新作が発売されず、新作がないから読者が離れるという悪循環に陥り、やがて市場から姿を消した。
その後、当時を懐かしむ往年のファンからのラブコールもあり、2000年代に入って人気作の復刻や、僅かながら新作も発表されたが、ブームの復活には至っていない。
しかし読者が物語に参加できるというそのシステム自体はオンラインと相性がよく、一部のやる夫スレなどに「ゲームブック形式」として取り入れられている。
TRPGとの関係
パソコン用RPG『ザ・ブラックオニキス』(1984年)のヒットから始まった(日本での)コンピューターRPGブームに肖ってTRPGを広めようとしたグループSNEは1986年にコンプティーク誌で『ロードス島戦記誌上リプレイ』を発表、TRPGブームが訪れた。
しかしブームと言っても人口はCRPGプレイヤーとは比べ物にならないほど少なく、かと言って一人プレイはできないため、手軽かつ一人で冒険を楽しめるゲームブックが重宝されていた。
テーブルトークRPGの関連商品(一人用シナリオなど)として発売された物も多く、AD&Dのドラゴンランス戦記の外伝や、T&T用ソロ・アドヴェンチャー、迷宮キングダムのブックゲーム等がある。
余談
上記にあるように、80年代から90年代にかけてのブーム時には、様々なジャンルのゲームブックが製作され発売されていた。
また、オリジナルの作品のみならず、当時に人気だったアニメやゲーム、小説、洋画などを原作とした作品もまた数多く作られている。
ファミコンおよび当時のコンピューターゲームからもまた、人気作品からマイナー作品まで、多くのタイトルがゲームブック化された。
洋ゲームおよび洋画など、海外作品を原作としたゲームブックも日本国内では発売された。外国で出版され、日本で邦訳されたもののみならず、日本国内でライセンスを取って発売されたものも多く存在する。
ブーム当時はまさに数多くの作品が世に出ていたが、出来もまた玉石混交で、中には「ブームに乗って安易に儲けようと試みただけ」のものも少なくは無かった。
加えて、上記の「人気作品を原作にした作品」の中にも、「原作人気にあやかっただけで、出来はイマイチ」なものも存在する。
ただし、小説を「読者が主人公になり、その選択によりストーリーを変えられる」という点は大きく、今も十分に通用するシステムではある。
PCにおける「プレイヤーが途中の選択肢を選ぶ事で、ストーリーを進めていく」タイプのテキストゲームは、ゲームブックに極めて似た構造をしている。PCが全てを処理していた「ステータスの変化」や「戦闘を含む各種行動の結果」などを、読者本人が管理しなければならない煩わしさはあるものの、非電源かつ、主人公=読者の行動で様々なストーリーを体験できるという「可能性」という点では、未だ余地のあるジャンルと言える。
ちなみに、PCゲームでアダルト作品が多く作られ人気を博したのに対し、ゲームブックというジャンルでは、アダルト作品はほとんど出版されなかった。
一部、「挿絵をグラビアアイドルの、セクシーな写真」にしたり、「エロマンガを原作」として出版されたものもあったが、相性が悪かったのかあまり定着はしなかった様子。
関連記事
クイーンズブレイド - 対戦型ゲームブック。故に一人プレイは不可能
ついでにとんちんかん - ゲームブック形式の回があったり、ミラクルとんちんかん番外編「オリジナルクエスト」にも存在。
パラグラフの例
1
君はこの恐るべき魔境、PIXIV百科事典の奥地にあるゲームブックの項目に足を踏み入れてしまった。
ああ、なんということだ。しかし今なら、まだ間に合うかもしれない。
- 脱出を試みるなら ⇒2へ
- 「ヘルプミー」と叫んでみるなら ⇒3へ
- もう少し様子を見るなら ⇒4へ
- より良い記事にしようと思うなら ⇒編集するへ
- 理解できたなら ⇒5へ
2
おかしい。ブラウザがフリーズして、戻る事ができない!14へ。
3
そのような呪文は存在しない。体力ポイントを5減らすこと。体力ポイントが0になったら、14へ。
4
様子を窺ってみたが、特に何もなく時間だけが無駄になった。他の行動にうつるなら1へ。
まだ様子見なら6へ。
5
お前は一体何を理解したのだ?答えてみよ。
「概要やその他を既に見たから」 ⇒100へ
「なんとなく」 ⇒99へ
6
時間だけがやはり無駄になった。とりあえず他の行動をする事にした。
- 灯りを灯す為に松明に火を付けてみる。 ⇒8へ
- おや、こんなところに脇道があったぞ?入ってみるなら11へ
- もう飽きた。⇒14へ
7
湧き水がある。一口飲むと疲れが癒された。そういや、最初のほうでなんか手がかりあったような?
「確かめる」⇒1へ
「確かめない」⇒10へ
8
おお、遠くまで見えるようになった。先に進もう。12へ
9
この先は長い通路で、しばらく歩くと広間に着いた。15へ
10
まあ、気の所為だろうな。先に行こうか。13へ
11
ここを進めばいいのか?9へ
12
なんと、道が二手に分かれているではないか!
- 右の道を行く ⇒9へ
- 左の道を行く ⇒7へ
13
なんか二つドアがある。開けて入ってみるか。
14
君は志半ばにして傷つき倒れてしまった。キャラクターシートを破り捨てること。
14の意味がわからなければ、14へ行けの項目を見ること。
15
・・・たしかに無駄に空間(スペース)がある広間である。
とりあえず調べてみるか。4へ
99
どこからともなく怒声が飛んできた!
「おろかものめ!出直して参れ!」 ⇒1に戻る。
100
~エピローグ~
君は魔境から無事帰ってきた!!君の冒険と活躍は後の時代、国や世界に伝わる冒険譚として語り継がれていく事となる…。 ~FIN~
何?新たな冒険に赴きたい?ならば・・・101へ
101
フフフ…君はまだまだ冒険の虫がうずいてるようだな。では、扉を開けて新たな冒険の旅へ!