データ
白亜紀後期のアメリカ・シーダーマウンテン層に生息していた獣脚類。
記載時には尾側神経弓の深い下垂体下窩に囲まれた顕著な中心下垂体葉状層の存在に基づきキランタイサウルスとの関連性が指摘され、基盤的メガラプトラとして記載されたが、背椎、腸骨、腓骨はメガラプトラのものと大きく異なり、メガラプトラ外のネオヴェナトル科に配置された。2016年には基盤的コエルロサウルス類であるとする論文も出ており、オルニトミモサウルス類との関連性も指摘されている。
属名は発見されたユタ州の先住民ユト族の伝承に登場する人食いの怪物「シアッツ」に、種小名は発見に貢献したミーカー家に由来する。
標本はホロタイプFMNHPR2716のみ知られている。
発見された個体は1mの腸骨などから全長9mと推測されるが、この個体はまだ亜成体で近縁種のプロポーションを当てはめると、未成熟個体ですら全長12m弱・体重4tと推定されており、既にサウロファガナクスやアクロカントサウルスなどに匹敵するレベルである。
同層からはかのティラノサウルスの祖先に当たるモロスの化石も確認されているが、大きさはせいぜい2~3mくらいで、シアッツの敵ではなかった。そのため、白亜紀後期初頭の北米大陸においてはシアッツが生態系のトップに居座っており、ティラノサウルス上科の進化を妨げていたのではないかと推測する研究者もいる。絶滅した原因についても、やはり大型化していったティラノサウルス上科との生存競争に敗れたとする説がある。
この恐竜の発見により白亜紀の北米大陸における捕食者の空白期間が解明され、白亜紀前期はアクロカントサウルス、白亜紀後期初頭はシアッツ、白亜紀後期中盤以降はティラノサウルス科が、それぞれ頂点捕食者として君臨していたと考えられるようになった。