過呼吸
かこきゅう
呼吸をしてその呼吸を必要以上にたくさんする、早く過密になる事。
身体を激しく動かし、呼吸を多くする運動(陸上競技、水泳等)を行った後に発症する事がある。
ちなみに精神的な要因により必要以上の呼吸を行ってしまい発症するものは過換気症候群と呼ばれ、厳密には症状は同じでも、いわゆる「過呼吸」とは違う病気として扱われる。
そのメカニズムとしては
1:必要以上の呼吸を行う
2:酸素が過多になり、逆に二酸化炭素が減少する
3:血中の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れ、血液がアルカリ性に傾く
4:息苦しさを覚える
5:血中の二酸化炭素を増やす為、無意識に延髄が呼吸を停止させようとする
6:しかし大脳皮質が呼吸の停止を異常と判断、更に呼吸をさせようとする
7:同時に血管の収縮が起こり、軽度の場合手足のしびれ、重度の場合は筋肉の硬直等が起こる事がある
8:これらの身体症状が悪循環して、発作が悪化していく
という過程を経て起こる。
端的にまとめれば、
酸素を吸い過ぎて二酸化炭素が足りなくなる→呼吸を止めて二酸化炭素を増やそうとする→しかし呼吸が止まるのは異常事態なので、もっと呼吸しようとする→ますます二酸化炭素が減る
という悪循環から発症する。
発病すれば死の恐怖を感じることがあるが、この症状自体で死亡する事はない。
しかし、心臓発作等を誘発して死に至る事はある。
対処法としては、意識的に呼吸の速さと深さを調節すれば、2~3分で治まる。
介抱する側になった場合は何もせず、声掛けで落ち着かせ、適切な呼吸が出来るように促すのが望ましい。
かつてはペーパーバック法という、紙袋等を口元に当て、自分の二酸化炭素を吸わせる事で解消する方法もあったが、適切に行われない場合、一気に酸素がなくなり二酸化炭素が過多になった結果、窒息死する事があるので、今は推奨されていない。
また周囲の人間も突然の発症にパニックを起こしてしまうと、まともな判断が困難になるので、ためらわず救急に通報したり(そこで対処法を教えてもらう)、落ち着いてから改めて医療機関に向かう。
自然に治る発作ではあるが、不安等が強い場合は、抗不安剤が投与される。