作品解説
正式名『反逆のソウルイーター ~弱者は不要といわれて剣聖(父)に追放されました~』。
弱さ故故郷からもパーティーからも追放され、何もかも失った青年が手に入れたソウルイーターで周囲を見返そうともくろむ物語。
いわゆる追放もので主人公が強くなっていく成長譚も含まれている。性的な描写も多い(一度運営から警告を受けたようだ)。反面復讐相手を殺害したりする場面は他の作品と比べ多いわけではない。
作者:玉兎
2019年12月13日オーディオドラマ化
2020年初旬コミカライズ化
あらすじ
帝から鬼門を守る大役を任せられた御剣(みつるぎ)家。
その嫡男として生まれた御剣空(そら)は、十三歳をむかえた年、試しの儀にのぞんでいた。
御剣家に代々つたわる幻想一刀流を学ぶため、絶対に越えなければならない試練。
七人いる同期生は全員が合格した。残るは空ひとり。
父、弟、許婚、守り役である兄妹らが見守るなか、空の試しの儀がおごそかに開始された……
登場人物
主要登場人物
ソラ(空)
幻想一刀流御剣家の跡取りだったが、故郷では心装を会得できず、レベルも何故が上がらないという特質により成果が出せずに追放され、カナリア王国の都市イシュカで冒険者を目指したが、こちらでも冷遇され続けた。かつてのパーティメンバー達が強大な魔物から逃げる所に出会し、そのまま囮にされ、瀕死の重症を負う。しかし、この土壇場で心装「魂喰い」を得て、復活。自分を裏切ったかつてのギルドと仲間達に復讐を誓う。
クラン『血煙の剣』を率いている。
復讐の手段はやや搦め手であり相手を心理的に追い詰めていく手口を好んでいる。
仲間以外には冷淡だが、受けた恩義は返すなど人間味が無いわけではない。
ラーズ
売り出し中の冒険者パーティ「隼の剣」のリーダー。空のかつての仲間。
空をパーティに誘った人物だったが、空がレベル1から上昇しない特質を知ると追放した。
彼のメンバーが蝿の王に追われ、ソラを囮にした際は失神していた。そのため、この行為に直接加担していないためか、ソラからの復讐心は若干薄い(パーティに熱心に誘ったことに恩義を感じていたこともある)。
奴隷制度に憤りを持つなどまっとうな感性と正義感を持っているが仲間の言葉に盲目的で視野が狭一面があり、そこを突かれて自身の没落やパーティーを崩壊に導いていくことになる。
ミロスラフ
「隼の剣」のメンバー。美少女の魔術師。ラーズのことが好きでそれ以外の男、特にソラを嫌悪してる。
その理由は裕福な出自ながら愛人を囲う父やその父にすがるしかない愛人の母を見て育ったため。
パーティーに入るまでは周囲とも良好な関係を築けなかった。
そのため性格は歪んでおり、ソラの悪評をばらまきそれをルナマリア主犯と思わせるなど陰湿な行為を働いていた。
蝿の王に追われた際にソラを囮にした主犯格で、反省すらしていなかったため、復讐として誘拐され凌辱される。いわゆるストックホルム症候群のような状態に陥り、ソラに自ら体を差し出すようになる。
イリア
「隼の剣」のメンバー。ラーズの幼なじみ。気は強いがミロスラフの罪を強引な理由でかばい建てようとするなどやや俗物的な面がある。ミロスラフと同じくソラを糾弾していた。
WEB版では復讐描写は薄いが、小説2巻ではソラに拘束された状態でオークたちに取り囲まれ、すんでのところで輪姦されそうになる。泣きながらソラに許しを求め屈服する。
ルナマリア
「隼の剣」のメンバー。エルフの賢者。美しい女性でもあり、ソラとミロスラフの策略の結果、ソラの奴隷となる。その後は毎晩、ソラに犯される。
パーティメンバー内ではソラへの侮蔑が無く、追放後も気遣っていたのだがミロスラフにより「寄生虫」のあだ名をつけた張本人と誤解されてしまっていた。彼を蝿の王に追われた際に囮にした事に強い罪悪感をもっており、上記の奴隷化も自身への贖罪として受け入れている。
スズメ(ドラマCV:藤田茜)
鬼人族の少女。魔物に囚われていたところをソラに助け出される。
家族を失って以来ずっと一人で生きていたらしくやや内気な性格。
シール(ドラマCV:豊崎愛生)
ソラの奴隷として買われたオセロットの獣人の女の子。ソラの夜の相手も務めさせられる。
七人兄妹の長女で家族の借金を返すため自ら奴隷になった経緯ものあり奴隷から解放された後もソラに協力する。
まじめで素直な性格で空からもらったお金は故郷に仕送りをしている。。
クラウ・ソラス
ソラに付き従う藍色翼獣(インディゴ・ワイバーン)。本来は人間に心を許さない凶暴な魔獣だが、マンティコアに助けられたことでソラになつく。なかなか名前が決まらなかったがアストリッドのアドバイスで炎の剣を意味すクラウ・ソラスと名前を付けられた。
カナリア王国
クラウディア・ドラグノート
カナリヤ王国の公爵令嬢で竜騎士団を率いる『雷公』パスカル・ドラグノートの娘で姉のアストリッドがいる。カナリア王太子のアザールと婚約していたが、帝国第三皇女と婚儀を結ばせるために御剣家の命にかかわる呪をにかけられていたがソラに助けられる。その後、恩返しのためにソラと同行することを決める。
御剣家
御剣式部
鬼が島の主にして幻想刀流の使い手で第十七代剣聖。
稀代の剣術家であり弱者は不要との信念を持っている。
寡黙であり家族や家臣でさえ内心を読み取れない。
アヤカ・アズライト
ソラの元許婚であり、同年の門下であった少女。「黄金世代」序列一位で同年の中では最も強い。
現在はラグナと婚約している。
弱いソラにも気にすることもなかったように振る舞っていたが、廃嫡された空に同情しかわかなかったと述べ決別した。
ソラの絶望にしてトラウマとなっている人物だが、現在でもソラがコズを退けたという多くの青林旗士が疑問視する報告を無条件で信じていたり、イブキのソラに対する幼い敵意に一瞬動揺するなど、式部と並んで心理描写が謎に包まれている。
御剣ラグナ
ソラの異母弟。母エマと同じく金髪碧眼の青年。「黄金世代」序列二位にして、青林旗士では第三旗第四位。
実力で勝りながら空が廃嫡されるまで跡取りに慣れなかったことやアヤカに思いを寄せ居ていたことが相まって仲は極めて険悪であった。
ゴズ・シーマ
かって空の守役。巌のような大男。御剣家四卿の一つ「司馬」を拝命し、青林旗士では第一旗第三位。心装は相手の心装の能力を封じる刀「数珠丸」で、更に上位の力である空装も会得している。
御剣式部の側近で絶対の忠誠を誓っており主君からの信頼も厚いが、御剣家の「滅鬼封神」の理念に染まりすぎており、融通が利かない。
カナリア王国でソラの話を聞きつけて、ギルド関係者と共に訪れたソラ邸で目撃したスズメの命を問答無用で奪おうとしたためソラと戦うことになる。
追放された後もソラの身を案じてはいたのだが、未練のある別れをしてはいけないとの考えから、淡々とソラの追放に同意していた。
前述の経緯と心装を手にしたソラが御剣家に帰参するのは当然と考える等、ソラの事情や立場を重んじない事も相まってソラからは冷たい態度を取られている。
セシル・シーマ
ゴスの妹。元青林旗士第一旗所属。空の乳姉弟と言う関係もあり姉として慕われていた。
ゴズと共に追放時に見送った際には、ソラに内心を伝えず、更に式部の側妾になる事を伝えたため、追い詰められていたソラに追い打ちを掛ける形になってしまった。
その後、ソラの異母弟であるイブキを生む。
スズメの安全を確保するためにソラが再び鬼ヶ島を訪れた際には、ソラから恨まれている事も覚悟して出迎えたが、前述の経緯もあってゴズともども終始冷淡に接されている。
特にソラの自身を見る瞳が「路傍の石ころを見る目」という何の関心も持たないものであることに気付き、追放時の行動をひどく後悔する事となった。
心装の能力は不明だが、青い刀身の刀を持つ。
エマ・パラディース
空の義理の母に当たる。優しく聡明な女性で彼の母である静耶とも友人関係であり、我が子同然に思っている。空の追放時には重病で事情を知らず、快癒後に式部に処置を取り消す様に直談判まで行ったが実らなかった。
最も幼い頃の空は彼女を受けれず、また空に構うラグナがそれに嫉妬するなどしたため、陰ながら見守っていた。
ソラが島に在住していた時の御剣家関係者の中では唯一敬愛を寄せている人物。
ギルモア・ベルヒ
御剣家四卿の一つ「司徒」を拝命している老人で、文官の長。財務をつかさどる
一族の勢力拡大に勤しむ権力欲の強い人物で、ゴズを蹴落として「司馬」の地位を一族関係者に奪おうと狙っている。
そのため、御剣家の序列を変動させかねないソラを警戒し排除しようとたくらんでいる。
一方で、主君が本気で迎え入れるなら空を加えてもいいと考えていたり、主君の女癖を諌言するなど佞臣と言うわけではない。
クライア・ベルヒ
「黄金世代」序列六位にして、青林旗士では第六旗所属。心装は風の刀「倶娑那伎(くさなぎ)」。
クリムトとは双子の姉。ギルモアがベルヒ家の手駒として使うために、集めた孤児の一人。
ベルヒ家での孤児達の生き残りをかけた生存競争の中で弟と共に生きてきたため、姉弟の絆は深い。アルビノであり、幼少期には周囲から怪訝な目で見られやすかったが、ソラに庇われた過去があり、ソラには一切偏見を持っていない。
クライア・ベルヒ
「黄金世代」序列七位(最下位)にして、青林旗士では第六旗所属。心装は炎の刀「倶利伽羅(くりから)」。
クライアとは双子の姉。ギルモアがベルヒ家の手駒として使うために、集めた孤児の一人。
経歴は姉と同じだが、門下として当時才能を開花させられなかったソラの事を「弱者(カス)」を嘲っていたが、スズメを巡る戦闘ではソラに呆気なく完封負けを喫する。
慈仁坊(じじんぼう)
御剣家青林旗士の第四旗第九位に位置する老人。心装は琵琶に女性の頭部と手が生えた形状を持つ「死塚御前」。
カナリア王国の墓地で琵琶を演じていたが、実際はカナリア王太子と帝国第三皇女の婚姻を成立させるために、クラウディア・ドラグノートを呪っていた張本人。女性を呪いで嬲り殺すに喜びを覚える外道。
ソラに呪いを解かれてしまったため、実力行使でクラウディアを殺害しようとするが、ソラにほぼ一蹴され、敗北。
ソラの処刑宣言に対して、「御館様にソラの力を報告し、勘当を解くように働きかける」と命乞いするが、聞き入れられずに惨殺された。
イシュカ冒険者ギルド
リデル
冒険者ギルドの受付嬢。
ソラに首を言い渡した人物でその時に『冒険者と職員とを問わず、当ギルドに所属している者はイシュカのために働く義務を負っているのです』という言葉を述べ冷たい態度であしらった。
その後は再会するたびに嫌味を言われるようになる。
エルガート・クゥイス
ギルドマスターにして、カナリア王国でも指折りの冒険者。
当初は「隼の剣」を有用と考え空の要求を拒否する代わりに好待遇を約束するも断られた。
リデルと違いソラのことを買っているような言動を見せていた。
その他
青い小鳥亭の父娘
冒険者時代、空が利用していた宿屋の親子。娘の名前はコロナ。
空からは好感をもたれていたようだが、内心ケチな客と嫌っていたようで冒険者を除名された空を追い出すだけでなく「今度はチップを持って来い」と嫌味を言った。
その後約束通り(当てつけで)毎回大金のチップを貰えるようになったが、深読みして報復されるのではないかと気が気ではないらしい。
用語
- イシュカの街
第一部の舞台にして冒険者ギルドがある街。
- カナリア王国
第一部の舞台。王都はホルス。
隣国は東のアドアステラ帝国と南のカリタス聖王国(北は海に、西は大砂漠に面している)。
- 鬼ヶ島
ソラの故郷。強力な魔獣、妖怪が跋扈する危険な島。要塞都市柊都以外には住める場所がないらしい。
一応はアドアステラ帝国に属しているが魔物退治以外では活動しない。
- アドアステラ帝国
東方の軍事大国。着物や漢字(東方文字)など和風の文化が見受けられる。
- 鬼人(きじん)
幻想種の一角である鬼神を崇めるという種族。
鬼人族の額のツノはかなり強力な魔力を秘めており、高品質な魔法媒体として珍重されており
人間から迫害を受けている。
- 青林八旗
御剣家配下の鬼ヶ島を守る防衛部隊で全員が幻想一刀流を操ることができる。
青い陣羽織がそのトレードマーク。
- 心装
簡単に言って仕舞えばもう一人の自分を武器にしたもの、らしい。
出版
アース・スターノベル
関連タグ
「お前ごときが魔王に勝てると思うな」:主人公が劣っていて追放されるが、後に異質の能力を持つと判明。という境遇繋がり。
戦国姫:作者が連載していた『聖将軍』の二次創作元。