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追放もの

ついほうもの

『追放もの』とは主に『小説家になろう』をはじめとするサイトで閲覧できる小説のジャンルの一つである。 文字通り「主人公がパーティ若しくは団体から追放宣言を出されて、クビになる」という出だしから物語が始まる。
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追放ものとはどんな内容か?

話の類型としては古典的なものであり古くは巌窟王などにも見られるが、現在なろうで模倣されている詳細な類型は「真の仲間じゃないと勇者のパーティーを追い出されたので、辺境でスローライフすることにしました」が生み出したものである。

主人公が所属パーティ(またはブラック企業)のメンバーからクビ宣告されて始まる追放ものだが、
作品によっては主人公の所属するパーティがダンジョンでお目当てのアイテムを手に入れる等の目的を達成したら「お前はもう用済みだ」と言わんばかりに『主人公を囮にして自分達を襲ってくる(追いかけてくる)モンスターから逃げる』という悪質極まりないパターンからスタートするケースや『主人公とは恋人婚約者な関係であったパーティメンバーの女性がメンバーの一人(主に勇者等のリーダー格)に奪われていたという不幸の上乗せで更に悲惨なパターンも中には存在する。パーティに限らず、会社や冒険者ギルド軍隊、果てには国家からの追放も存在する。

定型パターン

作品によって異なる点はあるが、主に下記のようなストーリーである。

その1"クビ宣告"

勇者「〇〇。お前はクビだ」
戦士「お前みたいな足手まといは俺たちのパーティにはいらないんだよ!」

  • 主人公は冒険者パーティ所属するメンバーであるが、ある日突然メンバーの一人(主に勇者等のリーダー格)からクビを宣告されてしまう。
  • これは物語が主人公の追放から始まることに加えて、一方的に宣告されることにより、勇者パーティがその誉れに相応しくない輩なのを分かりやすくするためである。

補足:追放される理由(一応は納得できる理由のパターン)

  • 他のメンバーと比べて主人公だけ目立つような活躍貢献ができていない。
  • 主人公以外の他のメンバーの職業勇者剣聖賢者聖女といった上級の職業を連想させるものに対して、主人公の職業遊び人盗賊魔物使い等で比較して地味である。
  • 主人公の持つスキル(アビリティ)が鑑定錬金等のように戦闘では直接役に立たないタイプである。
    • だが「使い方次第」で実は戦闘用のスキルを遥かに凌駕するなどのパターンが多い。
  • 職業やスキルで考えれば主人公の上位互換新メンバーが加わったから。
    • だが後述で述べられる通り、結論上は新メンバーではなく主人公の方が『得意分野』に限り優れていたというパターンも多い。


その2"主人公の追放"

主人公「何で俺が!」
勇者「お前は俺たちより弱いし、スキルも役立たずだ。そんな足手まといは俺たちのパーティに必要無い」

  • 突然のクビ宣告に納得できない主人公は文句を言うのだが、そのメンバーに具体的な理由悪口を一緒に言い返されてしまう。
  • それを聞いた主人公は諦めて、そのメンバーの言われるがままにパーティを離脱してしまう。
    • 作品にもよるが主人公が所属していたパーティを抜ける際に、主人公を追い出す張本人(主に勇者等のリーダー格)が主人公に対して「そうそう、出ていく前に装備は全部置いて行ってくれよ。それは僕たちが手に入れたものだからね」理不尽極まりない事を言うと、何故か主人公はこれを拒否せず馬鹿正直に装備を置いていくという卑屈な対応をするケースも多い。

補足:主な追放理由(理不尽な理由のパターン)

  • 発言者の「俺のパーティ俺以外の男はいらない」という考え。
    • だが『パーティ内の女性メンバー達にとっては好意も信頼も主人公>>越えられない壁>>発言者であるため主人公が発言者のせいで追放されたという事実を知ると発言者を見限って主人公との合流を目指して行動するという展開になり、追放者のハーレム計画は破綻してしまう。』というケースもある。
  • 発言者は仲間の一人を狙っているが、その仲間は主人公が好きなので追い出したいという最低横恋慕
  • 主人公の身分種族を理由とした差別
  • 冒険やクエストの最中にあったトラブルは主人公のせい』という思い込みやリーダーである勇者の判断ミスが原因なのに主人公のせいにする責任転嫁
    • しかしその判断が後に自分達のパーティの首を絞めることになるのがお約束である。ブラック企業のよくあるいじめの標的が辞職したら他が次のいじめの標的として狙われるが、繰り返す内に組織の自洗能力が残っていた場合、最期は害のある元凶に残った仲間達による報復によって逆に追放される。元凶が生き残った場合は寄生された組織ごと崩壊するのがオチである。
  • 主人公に実力は本当にないが追放者以上に知恵があり、追放者が真のリーダーシップがとれない事による嫉妬思考。主人公の欠点を理由にリストラまたは追放する。
    • しかし、追放者には主人公より悪知恵があっても真の知恵はないので今まで上手く行っていた事が上手く行かなくなり仲間達の関係が悪化して、犠牲者や離脱者が増える。最悪組織が崩壊したり、追放者自身の命がなくなる。
  • 「俺達のパーティは攻撃こそ全てだから、それができないお前はいらない」という脳筋な体育会系思考
    • だがその脳筋な体育会系思考で今までやってこれたのは自分達が自覚していない主人公の援護フォロー(詳細は後述)、尻拭い等があったからというのがお約束である。そのため主人公を追放してしまった結果……


その3"主人公の再スタート"

主人公「今までやっていけたのも奇跡だったんだ…でもこれからどうしようか……」

  • パーティを抜けた主人公は、途方に暮れながらも一人で頑張っていくことを決意する。
  • この後は復讐するか、冒険をするか、農場を営むか、新しい道(再就職)を探すなどに分類される。

補足:追放された主人公が取る行動


その4"スキルの真価やヒロインや勧誘者との出会い"

※パターンが重なるケースもある
・パターンA
主人公「俺のスキルにこんな使い方があったなんて…!」

・パターンB
ヒロイン「ねぇ主人公……私の仲間になってくれない?」

・パターンC
勧誘者「主人公さん……ぜひとも我が○○(国や組織名など)に来てはいただけませんでしょうか?」

補足:主人公におこるターニングポイント


その5"勇者パーティの没落"

・パターンA
勇者「〇〇使いならこれぐらい簡単にできるはずだろうが!アイツはいつも平然とやっていたぞ!」
名うての〇〇使い「そっ、そんな立ち回りなんてできるわけないだろ!!」
勇者「なん…だと…」

・パターンB
勇者「くそっ!いつもより切れ味が鈍いじゃないか!どういうことなんだ!」
魔法使い(勇者は気づいていないようだな。主人公のスキルは我々の生命力を僅かに吸収する代わりに攻撃力を大きく倍増させる効果を持っていることに…)

  • その一方で、主人公を追い出した冒険者パーティは落ちぶれて行くのだった……
  • この段階で主人公に対して酷い仕打ちをしたパーティがその報いを受けるという展開が読者好評な為か、このジャンルの小説原作とした漫画はとても多い。

補足:勇者パーティのその後

  • 主人公が所属していた元・パーティが落ちぶれる理由は実は主人公のスキルや能力や知識が地味だがとても優秀な物で、それがあったから今までは問題なくやっていけたというパターンがお約束である。
    • 主人公が「普通」にやってのけていた立ち回りが専門家すら上回っていた、主人公の防御力が常人より高くタンク役を引き受けてくれたお陰で激しい攻撃も大したことが無かった、主人公のスキルによるバフデバフの支援効果が極めて優れていたからなど…
  • 結果、惨敗の事実や功績に隠されていた素行の悪さ・自力の乏しさ等が一気に知れ渡り、勇者の地位や高ランクな冒険者としての資格そのものを早々に剥奪されてしまうケースも珍しくない。
  • その後のメンバーの行方は作品によって様々だが、追放に反対していた穏健派などは、主人公と復縁する事や自力で他の道を歩む事が殆ど。逆に賛同していた者たちの中で反省した者や頭のいい者(善悪区別なく)は自力で他の道を歩んでいく(腐っても実力者)が、反省できなかった愚者は過去の威光を喚きたて、それを周りから嘲笑される日々を送る。最悪破滅したり、命を失う。善人も悪人も愚かであれば平等に破滅するのである。
  • 主人公の重要さにようやく気付いた勇者らが連れ戻しに来るパターンもあるが、主人公に酷い仕打ちをして追放した件は特に謝罪しないケース、謝罪するケース、仮に謝罪しても例えるならこんな風に誠意が全く感じられないにも関わらず上から目線で接してくる。など様々である。
    • だが新たな居場所を手に入れた主人公には断られてしまい、納得して再勧誘を諦めて穏便に会話を終わらせる場合もあれば、逆上して襲い掛う場合もあり、その時は害虫のようにあっけなく叩き潰される。温厚な性格や怠惰な性格のものでも愚者まぬけでなければ飛んでくる火の粉は払う。再就職した会社のいこごちがいいなら当然の話である。


胸糞なイレギュラー

基本的に主人公に酷い仕打ちをした元・仲間パーティがその報いを受けるというのが『追放もの』の定番だが、稀に以下のようなダーク系エロ作品の如き胸糞要素を持つケースもある。

  • 主人公がかつて所属していた元・パーティの中には悪知恵の働く卑劣漢がいて、主人公が保護するヒロインなどをにしたり手にかけるを行う等、魔王もびっくりの外道ムーブに走る作品もある。
    • こうなった場合主人公はいよいよ闇に身も心も売り渡して極悪非道な復讐鬼となるか、生きる希望を全て失って廃人となるかしか道は残されていない。

利点と欠点

追放ものの利点は分かり易く主人公の立ち位置敵・目的が明確化されていることである。
優秀な能力を持っていた主人公を追い出したパーティへの復讐(主人公によっては積極的に復讐したり、嫌な過去はさっさと忘れて次の仕事を探したり、過去の仲間達に対し嫌いを通り越して全く無関心な場合もある)という行為が明確化され、パーティ側も主人公を追い出したことによる落ちぶれと自滅を見せることで二重の爽快感を味わわせることができる。

欠点と言えば主人公の強さや目的(主人公はチートスキルを所持している、勇者パーティは落ちぶれる、美少女と一緒に農場生活を送るなど)が単一化してしまうため、表紙避けならぬタイトル避けが散見される。
人によってはタイトルを見ただけで既にお腹いっぱいになってしまうことも(これは追放ものに限った話ではないが作品の趣旨を分かり易くするために長文タイトルであることが多い)。コミカライズされる実力が認識されるまで内容が量産された単純な作品と思われ長文タイトルだけで避けられる事も少なくないが、コミカライズされれば1話目(ある意味ファンを獲得するラストチャンス)だけなら読む読者もいるのでそこで読者を物語に引き込むのがコミカライズした漫画家の腕の見せ所である。

追放された後の道筋に農場生活が多いのも、競争社会やブラック企業過労死しかねない状態から抜け出して平穏な生活を送りたいという意図があるのかもしれない。
金は生活必需品だが、必要な分あれば過剰に頑張る必要もないのだ。

追い出される主人公が本当に役立たずだった試しが無いというのも、昨今のタイトルで作品の内容がほぼ把握できてしまう小説と同じテンプレと言っても良い。
本当に役立たずだったら勇者パーティに加入する以前の問題である。適材適所だったり、序盤では頼れるNPCのような存在だったのが、中盤や終盤では実力が追い付かなくなってきただけである。素直に追放に応じた主人公の場合は自分自身で実力不足を認識しているケースが多い。

『追放もの』の新要素『もう遅い』

これは、最近の小説家になろうカクヨム等で投稿れている追放ものに用いられている要素で、以下のような特徴がある。(もちろん当てはまらない作品もいくつかある)

  • 追放される主人公は、自分の持つスキルの詳細を完璧に把握しており、自分を追放しようとする張本人に「俺を追放したら俺のスキルの効果が適応されなくなってこういう損失がある」と丁寧に説明するのだが、追放する張本人は『追放を逃れるための聞き苦しい言い訳』等と称して聞く耳を持たず主人公を強引に追放してしまう。
    • その後の流れは前述の通りで、現在の順風満帆ぶりが嘘のようになくなってから主人公の言っていたことが本当だったと思い知ることになる。(最期まで理解しない者もいる)
  • 主人公と同じパーティにいる女性メンバー達は主人公を信頼していたり、好意を寄せているのだが、張本人が彼女達に断りも相談もなく独断で追い出したため、『張本人が主人公を追い出した』という事実を知らない。
    • そのため張本人は『あいつが勝手にパーティから抜けた』等の嘘を言って正当化するのだが最終的にはバレてしまい、主人公を追い出した張本人に愛想を尽かして見限りパーティを抜け、女性メンバー達は追放されて行方知れずとなった主人公との再会や合流を目標に活動していく。(ただし中には何らかの事情で自分の意志でパーティを抜けられずジレンマを味わうケースもある)

作品例

※記事が存在する作品のみ


おまけ

昔の王道ファンタジーの離脱・追放イベントの使い方例

  • 魔王軍最強のメンバーが侵略に来るので囮になろうとした魔法使いが「勇者怪物仲間なので助ける価値は無い」と勇者の仲間達に自分だけ逃げる事を伝えて仲間達と別れ、魔法使い一人で捨て駒になりにいく。
  • 魔王城に侵入成功したが、前後から敵に挟み撃ちされないように戦士が「先代勇者は勇者パーティの中で弱い」と言って勇者パーティから離脱し、後ろから来る魔物の群れを足止めする。


関連タグ

小説家になろう カクヨム 成り上がり 因果応報 サクセスストーリー

ハーレムもの:『主人公の仲間になるのはヒロインをはじめとして女性である場合が大半で、最終的に主人公以外は全員女性のパーティになる』という要素を含むものもある。
復讐もの:主人公を酷い目に遭わせた者が報いを受けるという点が共通している。
ざまぁ:小説のタグに高確率で付いている。

従者もの:真逆の状況。出世ものの場合どちらにも転ぶ。

みにくいアヒルの子:『グループ(家族)から追い出された主人公が実は優れた素質を持っていて、それにより報われる』という要素を持っており、そういう意味では追放もののご先祖様とも言える童話である。

スカッとジャパン:追放ものの定型パターンを『リストラスカッと話』と揶揄する声もしばしば聞かれる

辞職リストラ後の再就職:自分自身の実力より上のエリート企業や環境の悪いブラック企業を辞めて、自分の能力に見合った相性のいい企業に就職して再スタートする方が状況が改善する事も多い。

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