呪いが祝福へと変わるとき、その絶望は反転する――
概要
2018年1月、オンライン小説投稿サイト『小説家になろう』にて連載を開始し、同年の11月に完結。現在は後日談が連載中。作者はkiki氏。略称は『おまごと』。
WEB版の正式名称は『「お前ごときが魔王に勝てると思うな」とガチ勢に勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい』。「ガチ勢に」という言葉が付いている。
後にGCノベルズから書籍化。既刊4巻。イラストはキンタ氏が担当。
コミカライズ版はコミックライドにて連載。既刊6巻。南方純氏が作画を担当。
魔王討伐の旅の一員として選ばれた主人公が仲間によって奴隷に落とされ、人生のどん底に絶望する中、そこで出会った奴隷の少女とともに平穏な日常を取り戻すことを目指す物語。
タイトルだけ見ると、なろう小説でよくある追放系に思えるが、実際は作者自らがタイトル詐欺と公言するほど内容は濃密なバトルものな上にシリアス展開とトラウマ級の鬱要素、グロ要素が満載のハードなダークファンタジー。普通のなろう小説と思って読むとSAN値がゴリゴリ削られる。また、主人公を筆頭に百合要素が多め。
あらすじ
村人の少女フラム・アプリコットは、神・オリジンの予言により、魔王討伐の旅の一員として選ばれることとなった。しかし、フラムは自身の能力”反転”によりステータスが全て0。その所為で一団からは足手纏いになるが、彼女は勇者たちの役に立とうと必死に努力を続ける。
だが、フラムを疎んじた仲間の一人に騙され奴隷商人に売り渡され、奴隷の烙印を押される。人生のどん底に落とされて絶望する中、フラムはそこで奴隷の少女ミルキットと出会う。そして、奴隷商人に余興で処分されそうになり、命が潰えそうになるその時、"呪いの剣"を手にした瞬間、”反転”の真価が発揮される。
奴隷商人を殺したフラムは、ミルキットとともに平穏な日常を取り戻すためにどん底から這い上がってゆく、戦いの物語である。
登場人物
フラム一行
- フラム・アプリコット(メイン画像左側の人物)
主人公。
王国辺境の村に住んでいた少女。16歳。
髪は明るい茶色だが、光の当たり加減によっては金色にも見える。
オリジンの予言によって王都に連れて来られ、魔王討伐の勇者パーティの旅に同行される。
自身の属性“反転”の影響で全てのステータスが0になっている(一応、日常的な生活を問題無く過ごせる程度の最低限の活動は出来る)。
そのため、パーティの足手纏いになっており、フラムもそれを自覚しているため自分が出来ることを必死に頑張って努力していたが、自分の存在を煩わしく思ったジーンによって奴隷商人の売られ奴隷に落とされる。
全てに絶望し、余興で殺されそうになったが呪いの大剣・魂喰いのツヴァイハンダー(最高ランクのエピック)を手にしたことで状況は一変。呪い(すべての能力が減少、身体を溶かすなど)が反転して能力が全て向上・剣がある限り心臓か頭部を潰されて即死しない限り不死身の身体となり、自身に“直接”影響を与える魔法の類を自動的に反転させる力があることに気づく。
奴隷商人を殺すと、同じ奴隷だったミルキットを連れて平穏な日常を取り戻すために脱出し、王都で冒険者生活をしつつ、様々な強敵と陰謀に巻き込まれながら少しずつ強くなっていく。
- ミルキット(メイン画像右側の人物)
奴隷の少女。14歳。
物心付いた時から奴隷として扱われており、そのため姓は与えられていない。
顔は以前の主人に毒を盛られて酷くただれており、包帯をぐるぐる巻きにしている。
言葉数も少なく、無表情。感情が完全に欠落し、死すらも関心に無かった。フラムと同じく余興で殺されそうになった。フラムが奴隷商人を殺した後、フラムに一緒に行こうと誘われると、フラムを御主人様として共に逃げ出す。
「ご主人様に仕える」という立ち位置を考えた結果、常にメイド服を着用することとなる。
- セーラ・アンビレン
オリジン教会に勤める修道女。10歳。
おでこを出した金髪セミロング。
どこか田舎っぽい雰囲気で一人称が「おら」、語尾に「~っす」を付ける。
ある程度の回復・光魔法を扱えるほか、メイスを得物に戦う事も出来る。
奴隷であったフラムやミルキットを全く気にせず、優しく天真爛漫で強い正義感の持ち主。
彼女が教会の裏を知った後は共に事実を知ったエドとジョニーの衛兵2人は教会が口封じして異動扱いにしたが、衛兵達に守られて逃げた彼女が生死不明だった為、万が一生存した時の対処方法として「破門」にし、彼女を王都に帰れなくした。
生物兵器に追われていた所を三魔将に命を救われ、人生で2度孤独になった状況で魔族から提案された1人で辺境に隠れ住む提案が嫌だった為、三魔将と共に行動する事にした。
勇者パーティ
神オリジンによって所属も地位も身分も職業も関係なく選ばれた民間人達の事。
人魔戦争で魔族に敗北した人類は魔族が要求した“互いに二度と争いを起こさないこと”の要求の隙間を付き、勇者パーティはあくまでも「義憤に駆られたただの有志の集まりであり民間人たちの暴走に過ぎないので人間の国家は一切関係無い」という屁理屈で魔族との要求を破らない為に形成された魔族の国を侵略する為の部隊。
人間が侵略する度に魔族の国の三魔将によって撃退されている。
- キリル・スウィーチカ
フラム・アプリコットの親友で勇者。同じ境遇で勇者パーティに加わったフラムと意気投合していたが、ジーンに意識誘導されて次第に距離を置いてしまう。ジーンにフラムが村に帰ったと聞かされ落ち込み、次第に精神的に不安定になってしまう。離脱するガディオからは勇者側が絶対の正義とは限らない事と教会に気を付けるようアドバイスをもらった。
- ジーン・インテージ(ガチ勢)
実力が皆無な癖にフラムの勇者パーティを引き付ける魅力に天才のプライドを傷つけられた事が気に喰わず、只追放するだけじゃプライドが許せず、奴隷商人に売った自称天才を名乗る「ガチ勢」の極悪人。勇者パーティの仲間にはフラムは村に帰ったと嘘を吐く。
なお追放後も勇者パーティに食事がまずいと言われフラムよりも料理が旨くない、フラムよりも紅茶を旨く淹れられないという事実でさらにプライドが傷ついた。
追放によって勇者パーティが半壊するだけでなく、皮肉にもジーンの身勝手さが、結果的に神オリジンの反転を手に入れる計画と教会の陰謀を砕いた。
人格的には褒められる点は一つもないが、この手の追放の元凶ポジとしては自己分析をはじめとした能力そのものは高く人付き合い面以外での致命的ミスはほとんどなく作中では業績を重ね成功してしまったという稀有なキャラクター。普通は破滅する末路になりがちなのだが…
- エターナ・リンバウ
魔法使い。ジーンと対立し、フラムが故郷に帰った事を理由に勇者パーティを離脱して、親代わりの恩人の住んでいた家のある王都に旅立つ。フラムには薬草の知識を教えていた。
フラムと合流した後はフラム一行と行動を共にする。
- ガディオ・ラスカット
Sランク冒険者。仲良くしていたフラムやエターナが離脱した事で魔族討伐の旅に果たして大義があると信じられなくなり離脱。勇者キリルに人と魔族の対立に関する助言と教会に気を付けろという助言をしてから去った。その後独自で王都の教会を探る事にし、悪事と不正で荒れていた王都の冒険者ギルドを立て直す。フラムと合流した後はフラム一行に協力する。
- ライナス・レディアンツ
Sランク冒険者。気まずくなった勇者パーティを離脱したいと考えているが、マリアが魔族への復讐の旅を諦めないため仕方なく旅を続けている。
- マリア・アフェンジェンス
村を襲撃した魔族に復讐する為にオリジン教のシスターになった元異教徒。
唯一ジーンに協力的なのは魔族への復讐心によるもの。教会から提供された道具を残った勇者パーティにくばる事でパーティ半壊後の戦力向上に貢献した。
ライナスには「魔族を滅ぼしてからでないと一緒になれない」と離脱を拒否している。
教会
機械仕掛けの神オリジンに従う組織。国家と共謀し、人魔戦争で敗北時の魔族の要求の隙間をついて勇者パーティ(国家的には民間人の暴走)による魔族の国への侵略を繰り返す組織。
教会と孤児院は表の姿で裏では人を使って生物兵器を創っていた。
教会と孤児院の表向きの仕事は魔法で治療し、薬草を使ってはいけない教えだが、人命にかかわる事だとシスターたちは教会に内緒で薬草を採取しに行き調合して人命を救っている。
裏の姿では研究組織は3つの勢力があり、お互いオリジンに認められようと競い合う為、仲が非常に悪い(表向きでは直接潰し合えないので教会に敵対するフラム一行などを利用する)。
関連タグ
反逆のソウルイーター:主人公が能力が劣っていて追放。後に異質の能力を持つ。という似た境遇繋がり。
お前ごときが榊遊矢に勝てると思うな:twitterにて言及されている通り、タイトルの元ネタ。
ファイルーズあい……PVのナレーション
外部リンク
「お前ごときが魔王に勝てると思うな」とガチ勢に勇者パーティを追放されたので、王都で気ままに暮らしたい - 小説家になろう