概要
メイド(maid, maid-servant)とは、主に貴族階級の邸宅において清掃、洗濯、炊事などの家事労働を行う、女性使用人(女中、家政婦、家庭内労働者)を指す。大きな家では多数のメイドが雇われており、それを監督する者をハウスキーパーと呼ぶ。
また、語源的に見ると、「maid」は「未婚の少女や処女」という意味であることから「使用人のなかでも女性使用人」の意味となったため、この単語には文語・口語的には「少女・未婚の娘・処女」という意味もある。
(例:Maid of Orleans)
諸外国におけるメイド
19世紀末から20世紀初頭までのヴィクトリア朝の職業のひとつといわれる。その頃のイギリスでは、男性の使用人(執事)の人件費が高騰しており、また工業化に伴い男性労働者が製造業に従事するようになったため、女性の使用人が急増した。
中世的な召使い・家臣から近代的な労働者への過渡的な存在であり、自分の意志で主人(雇用者)を選ぶ自由を持ったが、主人と対等な人格を認められることはなく、全面的な服従を求められた。
多くの国ではメイドを雇うことは法的に認められている。学歴のない、途上国出身の女性であっても富裕国で見つけやすい仕事であるため、世界的にはありふれた職業の1つである。
特にイギリス支配の歴史のある香港やシンガポールでは多くの家庭を雇っている。メイドを雇う家は当然ながら富裕層であり、一方でメイドの多くは途上国出身の女性で、低賃金で働かされている。
サウジアラビアやクウェートはじめ中東諸国でもメイドは多く雇用されているが、性的暴行や虐待などの問題が相次いでいる。逆にメイドによる窃盗や雇用主からの逃亡も少なくない。メイドの多くはインドネシアやバングラデシュなどの外国人女性であるため、人種差別の問題も噴出し、しばしば国際問題にまで発展している。
イギリスのみらず、フランスやスペインなどのヨーロッパでもメイドは中流程度の家庭でも雇われる場合がある。女性の社会進出が進んでいるため、家事育児を奥様ではなくメイドが担うことは社会的にも大きな意味がある。メイドの多くはやはりフィリピンやインドネシアなどの途上国出身の女性が多い。
多くの国でメイド職はあるものの、外国人女性である場合がほとんどのため、ブラック労働、人種差別、虐待、性的暴行の被害に遭いやすく、酷いと逃亡防止のためにパスポートを雇用主から取り上げられてしまうケースもある。
このように、現代のメイドは経済格差とグローバル化の象徴とも言え、竹中平蔵が「外国人メイドの導入は、女性の社会進出が遅れる日本にとって重要」と主張した際はかなりの批判を浴びた。
日本におけるメイド
女中に詳述
高度経済成長期に差し掛かる昭和30年ごろまでの日本においても、農家出身の娘が「下女」「女中」として裕福な家庭に住み込みで奉公に出る習慣があった。花嫁修業や見聞を広めるために都会に奉公に出される娘も少なくなかった。家電や宅配サービスが発達していなかった時代では、中流の勤め人の家庭あっても家事や清掃、買い物、介護、子供の見守りをする人員は必要不可欠であった。意外と待遇は悪くなく、嫁入り先まで保証され、さらに嫁入りにかかる費用や道具は雇用主が負担してくれることもあったので、当時は人気の就職先の1つであった。
現代の日本では家政婦の多くは日本人労働者である。一般的なパートやアルバイトと比べてかなり賃金水準が高いものの、平均年齢60歳以上のベテランが多く、若い労働者は少ない。また、プライバシー上の理由により、住み込みとして働く海外のメイドとは異なり、通勤という形態を取るのが普通。また、家事労働のプロフェッショナルと認められる資格「家政士」が存在する。
サブカルチャーにおけるメイド
メイドという存在はサブカルチャーにおいて多く登場する。
そのせいか、メイド=萌えの対象という構図が強いのが特徴で、日本におけるオタク文化のシンボルと化している。メイドのコスプレが存在したり、メイド喫茶が存在したりするのがその最たる例である。
創作物に登場するメイドは基本的に若い女性キャラクターであり、男性の執事と対の存在として扱われる。
メイドブームが来たのは、1990年代と言われており、当時のブームは相当のものだった。その証拠が以下の4コマの内容である。出版社もここまで売れるとは想定外だった様子。
サブカルチャーにおける元祖メイド作品は、フェアリーダストが制作し創映新社が発売したアダルトアニメビデオ作品シリーズ中の一作『黒猫館』(1986年)とノベル版(1987年)である。
西洋史観(英国、ヴィクトリア朝)と戦前の時代背景(華族、書生)・避暑地の別荘による文学性(隔絶された空間)・主従の妖艶な演出(デカダンス)・物語の語り手としてのメイドの主役化、当時アダルトと一線を画す手法は斬新、元祖メイドキャラクターあやの世界観は純文学的素養から生まれた。
当時のノベライズを引き受けた倉田悠子は、覆面作家であり時代と共に退いたが……
(後年、女流文学作家 故・稲葉真弓氏である事が『新潮』によるエッセイにて明かされる)
なお、2020年『黒猫館・続 黒猫館』が星海社FICTIONSにより復刻版が発行された。
関連イラスト
関連キャラクター
衣装類やメイド服にコスプレしたキャラクターの通称は「メイド服」を参照。
※1 女と判明するまで。
※2 アニメオリジナルキャラ
リメイク版のアラレちゃんは「メイドロボットの失敗作」という設定だが、冒頭でボロボロになってしまったため、一話のみのお披露目となった(ただし、オープニングではコスプレ程度に着ているが)。
関連キャラクター(アダルト系)
バーチャルYouTuber
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関連作品(アダルト系)
関連タグ
クラシックメイド クラシカルメイド ヴィクトリアンメイド(ヴィクトリアメイド)
エプロンドレス ヘッドドレス ホワイトブリム モブキャップ 三角巾
別名・表記ゆれ
※辞典やマスコミでは何故か【メード】という表記で書かれる。
※メイドという言葉が一般化していない時代の童話などでは身分・職業が近い語である【下女】や【女中】という言葉で訳されることがあった。
※家事をする役職のほかに、婦人の侍女などもメイドと呼ばれる。
他の記事言語
外部リンク
まとめサイト
pixivision
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