概要
フランス共和国(フランスきょうわこく、フランス語:République française、読み:レピュブリク・フランセーズ、通称:France)は、西ヨーロッパに位置する共和国。本土を示す名称はフランス・メトロポリテーヌで、他にもヨーロッパ大陸以外に海外領土を多く有している。国名はフランク王国に由来し、987年7月にユーグ・カペーが即位してからをフランス王国、それ以前を西フランク王国と歴史書では呼ぶが、実質は「フランス史」の記事にある通り同じ国である。
概説
フランスは名目GDP世界第7位・購買力平価世界第10位、ユーロ圏ではドイツに次ぐ第2位の経済力を有する国であり、高い人間開発指数を持つ先進国として知られる。数多くの世界遺産を抱えており、世界で最も観光客が多い国の1国である。
フランスは米国を除けば、世界で唯一の原子力空母・その他に原子力潜水艦を保有している。国連安保理常任理事国であり、核拡散防止条約によって核兵器の保有を承認された公式核保有国で、1960年2月に核実験を成功させて世界で4番目の核保有国となった。経済協力開発機構・G7・G20・欧州評議会・世界貿易機関・北大西洋条約機構・パリクラブ及びフランコフォニー国際機関の主要な加盟国で、国際政治ではこれらの理由から、政治・経済・文化に強力な影響を及ぼす列強の1国に数えられており、ヨーロッパにおける「ビッグ4」の1国である。
フランスは他のほとんどのヨーロッパ諸国同様世界各地に植民地を建設し、そこから独立した旧植民地諸国とはフランコフォニー国際機関とフランス共同体を構成している。アフリカの旧植民地諸国に対しては、暴動・内戦が発生した際に親フランス政権を維持するべく軍事介入する事もあり、今でもセネガル・ジブチにはフランス軍事基地が設置されている。
歴史
歴史的には百年戦争・フランス革命・ナポレオン戦争といった歴史的な事象の主要な舞台であった(詳細は「フランス史」を参照)。
政治
政体は半大統領制の共和国で、これは国民直接選出による国家元首の大統領と議会選出による首相が併存するシステムである。事実上の行政の長が首相であるドイツと異なり、フランスは大統領が強力な権限を有する。首相は大統領が任命して政府各大臣を指名するが、議会に首相の不信任権がある。このため、大統領にとっての野党が多数を占める議会では、野党から首相が任命される場合がある。これを「コアビタシオン」といい、大統領・首相は一定の協力を迫られるが、主に大統領が外交・安全保障、首相が内政を担う。
社会の際立った特徴の1つはその革命的サンディカリスムと呼ばれる直接行動主義で、フロンドの乱やフランス革命の様な民主主義が発達する以前のみならず、民主主義が成熟した現代でも諸外国では類例がない程にストなどの直接行動が行われる。労働者・医者・弁護士・教員・公務員もあらゆる職業でストライキが行われており、それは左翼政党・労組といった要求実現チャンネルとは別に、自分の事は自分でやるべきであるという個人主義の発露として行われるという。フランスでは要求実現を政党・労働組合に任せてしまうのは他人に管理されることであり、他人任せとすることであると考えられているのである(小田中直樹.2005.「第2の謎 何故いつでもどこでもストに出会うのか」『フランス7つの謎』文春新書)。
国際関係
米国
1778年2月に外交関係を樹立して米国と最初に同盟関係となり、この時に締結された両国間の同盟条約とその後のフランスからの援助は、米国独立戦争で英国に対する米軍勝利に決定的な役割を果たした。第2次世界大戦戦後処理を巡って対立、現代に至るまで米国とは協調しない外交を取ることが多い。その主な理由は自由の母国を名乗る立場から米国による管理を嫌うことにあり、別に主義・思想で対立している訳ではない。
日本
1858年10月に修好通商条約が江戸で締結されて外交関係を樹立し、1951年9月にサンフランシスコ講和条約が締結されて両国関係は正常化した。外交上に於ける摩擦がない訳ではないが、衝突することはほとんどない。
英国
歴史上錯綜した両国関係にあるが、1904年4月に英仏協商が締結されてからは友好関係にある。WW1では共闘し、WW2では敗北寸前となった時に英国から連合国家形成が提案されたこともある。戦後はスエズ危機の様に両国が協調することもあるが、イラク戦争の様に対応が分かれることもある。
中国
1964年1月に外交関係を樹立して友好関係にあったが、1991年9月に6隻の護衛艦を台湾に売却することを決定、両国関係に大幅な損害をもたらした。1994年2月にモノリ元老院議長が中国を訪問して両国関係は正常化。2019年4月に台湾海峡を通過した際、中国は反発して国際観艦式にフランスを招待しなかった。
軍事
「フランス軍」を参照。
地理
東側のスイス・イタリアとの国境沿いがアルプス山脈であり、ロシアを除いたヨーロッパ地域最高峰でもある4,810mの標高を有するモンブランを有する。しかし、本土全体としては低地や平地割合の方が多い。
政治・経済両面で首都・パリに一極集中している。パリ以外の主要都市としては、マルセイユ・リヨン・トゥールーズ・ニース・ナント・ストラスブール・モンペリエ・ボルドーなどが挙げられる。その他のフランスに於ける地名・地域名詳細については、「フランスの地域一覧」を参照して欲しい。
経済
寒冷で痩せた土地が多いヨーロッパの中では、全体として比較的温暖で豊かな土壌を持ち、古くから食糧生産が盛んな土地柄で知られる。そのためEUの中でも農業関連が発達しており、小麦・牛肉・豚肉・鶏肉・肉類・乳製品全般・ワイン・果物・野菜などの産地としても知られ、地域によって小麦栽培が盛んな北部からワインなどの栽培を中心とする南部まで多様性が大きい。また世界史においても工業化が早くから進んでおり、現在も自動車・航空機・兵器などの開発や輸出が盛んである。
特に航空機に関しては世界一の航空機メーカーであるエアバス社の製造拠点が南西部のトゥールーズに置かれており、フランス経済に大きな恩恵をもたらしている。
国民
フランスは大陸国として古くから様々な民族による移動・侵攻などがあった地でもあり、中世から現代に至るまで様々な地域や人種の移民を受け入れ続けている。より正確にはフランスには移民とは区別されるフランス民族は存在せず、一言でいえばフランスとは無数の移民居住地の集合体に近い。詳細は「フランス人」を参照。
人口
2024年1月の推計では6,837万3,433人であった。
社会
近年の情勢
WW2以降も多くの移民・難民が集まっているが、文化・宗教的摩擦などもあって2015年1月からはテロ事件が度々発生している。同年11月には大戦後の同国最悪といわれたパリ同時多発テロが発生、これらの事件の影響から一部で反移民・イスラム的な活動・政策が増え、さらにこれに反対する勢力との対立が社会問題となった(「フランス人」も参照)。
学歴
イギリスと並んでヨーロッパでトップクラスの学歴社会で、基本的に大学の専攻と就職先の業界が一致するのが原則であり、日本の様な文系大学出身者が理工系仕事をするという事例は極めて稀である。大学より格上のグランゼコールという高等教育機関が存在し、官僚を目指す人・優良企業に就職したい人は「グランゼコールに行かないと話にならない」といわれる程である。
文化
フランス文化は近世近代ではまず美術が特筆出来、新古典主義・ロマン主義・写実主義・印象派に至るまでの潮流はフランスを中心に展開し、ゴッホ・ゴーギャン・クールベ・モネ・セザンヌ・ドラクロワといった芸術家が活躍している。現代では映画が盛んであり、フランス映画は世界的な注目を集める。
ヨーロッパ最古の大学の1校であるソルボンヌことパリ大学を擁して中世以来の神学・哲学の伝統も著名であり、大陸合理論や啓蒙思想中心地の1つであった。デカルト、モンテスキュー、ルソー、サルトルといった哲学者、パスツール、マリー・キュリーといった科学者の故国あるいは活躍舞台である。モネ・ゴッホ・ロートレックなどフランス美術が「ジャポニスム」として日本美術を熱愛していたことは知られているが、現代でも日本文化の人気は高い。特に日本の漫画は高い人気を誇り、『ドラゴンボール』・『NARUTO』・『鬼滅の刃』などが定番である。
フランス料理は高級料理の代名詞であり、各国の外交官が接待に用いたほか、諸国の高級料理にも影響を及ぼしている。
スポーツでは2023年競技選手人口集計では、サッカー・テニス・乗馬などが好まれている。最も人気があるサッカーは日本の倍の選手人口で、FIFAワールドカップでは2度優勝実績がある。テニスではグランドスラムの1つ「全仏オープン」が開かれ、スザンヌ・ランランらの名プレイヤーが輩出した。乗馬も富裕層に限らず盛んで、競馬の凱旋門賞は、世界最高峰レースの1つとして日本から挑戦する騎手も多い。
関連の架空キャラ
フランスが舞台の作品
『ベルサイユのばら』 | 『怪盗紳士ルパン』 | 『オペラ座の怪人』 |
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『シャルルマーニュ伝説』 | 『三銃士』 | 『シンデレラ』 |
『巌窟王』 | 『邪竜百年戦争オルレアン』 | 『ファントマ』 |
『新剣銃士フランスファイブ』 | 『レ・ミゼラブル』 | 『ミラキュラスレディバグ&シャノワール』 |
『レミーのおいしいレストラン』 | ||
曖昧さ回避
漫画『ヘタリア』のキャラについては「フランシス・ボヌフォワ」を参照。
関連イラスト
関連動画
【金平糖みたいに甘くて綺麗なフランス】
関連項目
フランス映画 フランス代表 フランス料理 おフランス シャンパン シャンパニュー
- ubisoft:フランスの企業。