概要
スロベニアからオーストリア、イタリア、ドイツ、リヒテンシュタイン、スイス、フランスにかけて広がる、3,000から4,000m級の山々が連なる大規模な山脈。
ドイツ語ではアルペンとなり、日本でもなじみ深いワードである。
著名な山として、フランスとイタリア及びヨーロッパ地域の最高峰でもあるモンブラン(標高4,810m)、マッターホルン、ユングフラウ、アイガー、ツークシュピッツェなどがある。
18世紀後半以降にモンブランの初登頂が達成されたのを機に、探検やスポーツ目的で登頂やルート開拓に邁進する近代登山(アルピニズム)という概念が誕生した。
麓では古くから酪農や林業が盛んであり、水と空気が綺麗である事から現在は時計などの精密機械の工場が集まる。
また大部分を高所得国に囲まれているため、各国の一大避暑地やスキーリゾート地としても知られている。
有史以降も交通の大難路であり続けたが、18世紀に入ると馬車用の街道が整備されるようになり、19世紀後半以降は観光用路線も含めた鉄道が、20世紀後半以降は自動車の道路網が急速に普及した。
ここを舞台とした児童文学とそれを原作にしたアニメ『アルプスの少女ハイジ』が有名で、pixivでもハイジの絵に「アルプス」タグが単独で付いているものもある。
遠く離れてはいるが、実はヒマラヤ山脈と同じ造山帯に属する(アルプス・ヒマラヤ造山帯)。
スペインのピレネー山脈から、トルコ、ヒマラヤを経由しさらに海底を通ってインドネシアまでつながっている。
その他
アルプスの山容を思わせるなどの理由で、世界各地にアルプスと名づけられた山脈が存在する。
日本アルプスはその一つで、飛騨山脈(北アルプス)、木曽山脈(中央アルプス)、赤石山脈(南アルプス)の総称である。
そこからさらに派生して、日本各地の小さな山々の愛称や童謡『アルプス一万尺』などが生まれるに至った。
また日本で「アルプス」や「アルペン」は、有名企業や商品ブランド、列車名などの由来となっている。
- 急行「アルプス」
大元は1948年に新宿駅~松本駅間で運行を開始した中央本線初の優等列車「夜行準急2403・2404列車」。
1949年に定期列車に格上げされ列車番号が403・402列車に改番。1952年に列車愛称「アルプス」が命名された。
1960年に急行に格上げされ、客車列車からキハ55系気動車に置き換えられ昼行列車化された。夜行便は他の客車準急列車と合わせて「穂高」へと改称。
1961年に使用車両をキハ58系に置き換え。
1962年には「穂高」の昼行便を気動車化して編入し3往復に。
1963年に辰野駅まで飯田線直通準急「赤石(後に「こまがね」に改称)」を併結開始。
1975年に使用車両を165系電車に置き換え。
1983年に塩嶺トンネル開通に伴い「こまがね」併結便を除いてみどり湖駅経由に変更。1985年には分割駅を岡谷駅に変更し「こまがね」併結便もみどり湖駅経由に変更された。
1986年に昼行便すべてが「あずさ」に昇格される形で廃止となり、ルーツとなる夜行便1往復のみが残される。この際に使用車両も183系に置き換えられている。
2001年に上りのみ臨時列車化し、2002年に廃止。「ムーンライト信州」はこの後継にあたる。
プラレールの165系をモデルにした「東海形急行電車」は長らく「アルプス」のヘッドマークを掲げていた。
2024年には新宿駅発白馬駅行の臨時特急として22年ぶりに「アルプス」の名が使われ話題となった。使用車両はE257系。
名古屋鉄道と国鉄高山本線を直通して運行されていた列車。項目参照。
関連項目
交響詩「モンタニャールの詩」 - ヤン・ヴァンデルロースト作曲の吹奏楽曲。アルプス山脈とイタリア北西部の街アオスタがモチーフとなっている。