概要
山林において木材その他林産物を生産する産業。第一次産業に含まれる。同じく樹木を対象としていても、果樹を育てたり庭を作ったりする園芸とは分けられている。
木材を伐採し搬出する(原木生産)だけでなく、建築や家具に使う製材品に加工する製材や林産加工も林業である。防災林や水源涵養林などの「保安林」の育成、さらには山林で野生動物を捕獲する狩猟、砂防ダムや林道の建設・維持といった「森林土木」も林業の範疇に入ってくる。
間違えられやすいが、キノコは農産物ではなく林産物であり、キノコ生産は林業の範疇に入る。キノコをはじめ漆、タケノコ、薪炭、和紙原料のコウゾやミツマタ、メープルシロップなど山林で生産される木材以外の林産物は「特用林産物」といい、林業の重要な一分野である。
日本の林業
国土面積の3分の2が山林であり、住宅に限らずあらゆる物品に林産品が使われていたことから、かつての日本は林業が大変盛んな国であった。しかし、1970〜90年代にかけ海外からの安い木材の流入によって日本の林業は衰退の一途をたどり、製材業者は次々と廃業。高度経済成長期に大量に造林されたスギ林はほとんど省みられなくなり荒廃していたが、近年の輸入木材価格の高騰(ウッドショック)により林業は儲かる産業となったことから、にわかに注目が集まっている。
ただし、日本は今なお北欧やカナダなどから住宅建築用の製材品を(高値で)輸入している一方、韓国や中国にスギの丸太を(安く)輸出している。韓国で加工されたスギ材はアメリカなどに輸出されているのである。日本で国産材を加工して直接アメリカに輸出すればもっと高い価格で売れるはずで、高品質な製材品の供給が十分にできない製材業の弱さが日本の林業のボトルネックになっている。