素材としての木材
家屋や家具や芸術作品などを作るための素材として有史以前から使用されてきた。現代でも木肌の風合いを好む人は多い。
「軽くて水に浮く」「吸湿性や防音性に優れている」「加工が容易である」「リサイクル性に優れる」など利点がたくさんある一方、「木材でなければならない」という用途があまりないため、金属、コンクリート、プラスチックなど他の素材の発達によりその利用範囲は徐々に狭まっている。
近年の主な用途としては木造住宅の構造材、内装、家具、フローリング。構造材以外で丸太から切り出したままの「無垢材」が使われることは少なくなっており、薄く削った木板を接着剤で張り合わせた合板、木材の繊維を接着剤で固めたパーティクルボードやファイバーボード(表面に化粧用の木材を薄く貼り付けて仕上げる)などの「木質材料」が用いられることが多い。木質材料は強度に優れ木材特有の「狂い」がなく軽量であるが、吸湿性には乏しい。構造材としても集成材を用いることがあり、CLT(直交集成材)を構造材とすることで、木造高層ビルの建設が可能となった。
「木材の三大欠点」は狂うこと、腐ること、燃えること。無垢材は乾燥するにつれ狂いが出てしまうので、使用する状況に応じて加工前に十分に乾燥させておかなくてはならない。もっとも、分厚い無垢材は表面は燃えても、芯まで燃えるのには時間がかかるので鉄骨のように急に燃え落ちることは少ない。また、無垢材、木質材料とも加工時に防腐剤や難燃剤を注入しておけばかなりの耐久性や難燃性が得られる。
木材そのものは、プラスチックと異なり燃えてもそれほど有害ガスは出さないが、化学合成した塗料を使っているものや、大量の接着剤を使っている木質材料の場合はその限りではない。