概要
樹脂に類似した合成物。主に石油から製造されるが、植物などの生物資源から製造したもの(バイオマスプラスチック)もある。さまざまな種類があり、用途も幅広い。
合成樹脂から紡糸された繊維は合成繊維(化学繊維)と呼ばれ、廃プラスチックは繊維としてリサイクルされる場合もある(ペットボトル→ポリエステル繊維など)。
性質
プラスチックは総称であるため、各種の種類があり、化学的にみてもそれぞれ性質が異なるが、おおむね次のような性質がある。
このような性質(一部の物質では該当しないものがある)のうち、性質が目的にあったものを加工して使う。
たとえば熱で変質して硬くなるもの(熱硬化樹脂)は熱のかかる場所に使ったり、塗料や接着剤として用いたりしているし、熱で変質してやわらかくなるもの(熱可塑性樹脂、この言葉の本来の意味)は、金型を使った形成などで用いられ、各種容器などに利用される。
また、ガラスやカーボン、ケブラーなどの繊維を樹脂の中に入れた複合材料とすることで強度などを向上させたものもある。(Fiber Reinforced Plastics、FRP)
種類
汎用プラスチック
(熱可塑性樹脂のうち、耐熱温度が100℃未満で価格が比較的安いもの)
4大汎用プラスチック...ポリプロピレン(PP) ポリエチレン(PE) ポリスチレン(PS) ポリ塩化ビニル(塩ビ、PVC)
熱可塑性ポリウレタン(TPU) アクリロニトリル(AS、スチレン樹脂) アクリル樹脂(PMMA、ポリメタクリル酸メチル樹脂)など
エンジニアリングプラスチック
(熱可塑性樹脂のうち、汎用プラスチックよりも耐熱性に優れ、一定の強度を持つもの)
ポリカーボネート(PC) ポリアミド(ナイロン、ケブラーなど) ABS樹脂 ポリアセタール(POM) ポリエステル(ポリエチレンテレタフタレート=PET、ポリブチレンテレフタレート=PBT)、変性ポリフェニレンエーテル(m-PPE)など
熱硬化性樹脂
(いったん加熱すると硬化して元に戻らなくなるプラスチック。シリコーン樹脂などは空気中の水分と反応して硬化する)
フェノール樹脂(ベークライト) 熱硬化性ポリウレタン(PU) 尿素樹脂(ユリア樹脂、UF) 不飽和ポリエステル樹脂(UP)メラミン樹脂(MF) シリコーン樹脂 エポキシ樹脂など
半合成プラスチック
表記ゆれ
関連タグ
物質 材質 素材 材料 原料 化学 ゴム ビニール フィルム
セロファン....プラスチックに似た材料。セルロースからレーヨンと共通の中間素材(ビスコース)を経て製造するが、産業上は紙に分類される。
性質としての「プラスチック」
以上のように「可塑性樹脂」としてのプラスチックについて説明したが、そもそも「プラスチック(plastic)」という語自体は「(可)塑性」、すなわち「力を加えると形を自由に変える事ができる」という性質を意味している。そのため樹脂としてのプラスチック以外にも例えばC-4などの粘土状の爆薬を「プラスチック爆薬」と呼ぶなどの用例がある。また、俗にマーガリンを「食べるプラスチック」と称する事もあるが、これもあくまで「可塑性の食用固形油脂」程度の意味でplasticという語を用いていたのが誤解されただけに過ぎない。
なお、plasticの対義語として、「弾性」すなわち「力を加えて変形させても元の形に戻る」という性質を表す「エラスチック(erastic)」という語がある(日本では「エラスチック」単体で医療用テープなどの伸縮性を持つ布地を意味する事がある)。また、樹脂としてのプラスチックに対してゴムなどの「弾性樹脂(高分子素材)」を指す語としては「エラスチックポリマー(erastic polymer)」を略した「エラストマー(erastomer)」と呼ばれている。