概要
熱可塑性プラスチックの一種で、略称はPC。日本ではポリカなどとも呼ばれる。
カーボネート基 (-O-(C=O)-O-) が重合した分子構造を持つ。
透明で強度が高く、とても割れにくい。眼鏡やカメラなどのレンズ、車両や航空機の窓、水槽などガラスの代用として用いられることから、アクリル樹脂などとともに「有機ガラス」とも呼ばれる。
力のかかるネジやナット、歯車などの機械要素にも用いられる。1965年に発売されたアーム筆入(サンスター文具)は当時まだなじみがなかったポリカーボネート製であったが、「象が踏んでも壊れない」のフレーズでその頑丈さを印象付けた。
可用温度も幅広く、耐熱温度は130℃までなので電子レンジにかけられる。低温域も-100℃までであれば脆化しないので、冷凍庫で使用しても問題ない。さすがに直火にかけるのはNGだが、燃えてもアクリルなどと異なり、火源が離れれば自然に火が消える。
エンジニアリングプラスチックの中でもずば抜けて大量に生産される素材であり、CDやDVDなどの光ディスク、スーツケース、ゴーグル、ヘッドライトのカバー、カーポートの屋根、除雪用スコップ...などの素材はたいていポリカーボネートである。
弱点としては、耐アルカリ性の低さがある。また多くのプラスチックに共通するが、表面硬度が高くなく長期間の使用で細かい傷がつく。プラスチックの中では耐候性は高い方だが、高温多湿の環境に長い時間置くと加水分解して劣化する。自動車のヘッドライトは年数が経つと黄ばんで濁ってくるが、これは紫外線による「黄変劣化」と呼ばれる現象である。