規格
映像や大量のデータの保存に用いられる光ディスク。サイズはCDと全く同様(直径12cm、0.6mm厚)であるが記憶容量が圧倒的に大きい(CDの約6倍、片面で約4.7GB)。また、二層構造にすればさらに容量を増やせ、約8.5GBになるので2~3時間の映画も収録できるようになる。
LDのように両面に記録面のあるものもあった(両面1層約4.7GB+約4.7GB、両面2層約8.5GB+約8.5GB)。LDと異なり再生機器側に両面読み取り機能がないので手で入れ替えとなる。ちなみに両面ディスクではあるものの片面は絵を描く為に使用されており、データの保存はされていない、という規格から外れた使い方もされた。
元々はVHSと同程度の画質を光ディスクで実現するDigital Video Discとして企画されたが、用途はデータや音楽などビデオに限定されないことが指摘され、Digital Versatile Disc(Versatile=多用途)に変更された。CDやBlu-ray Discは主にソニーが他の会社と同盟を組んで作られた規格であるが、DVDのみ東芝が最初に開発した。
データの転送速度は等倍速で1.385MB/秒であり、これはCDの9倍速に相当する(標準速ドライブの回転速度がCDの標準速の3倍弱なのと、DVDの記録密度がCDより高いため)。
論理フォーマットはCD時代のISO 9660のほか、UDFが追加された(ほとんどのDVDはUDFであり、手抜きしてCD-ROMのデータを物理的に流用する場合にのみISO 9660が採用される)。
動画の解像度は720×480(480i)、縦横比はソフト側で4:3か16:9に固定される。収録方式はMPEG-2で最大133分の収録が可能。音声は標準でドルビーデジタル経由の2チャンネルステレオ、ドルビーデジタル5.1ch、リニアPCM(LPCM)2chかDTSで、5.1チャンネルのサラウンド音声を収録することもできる。画質は上述のとおりVHSと同程度を目標に開発されたが、デジタルなので劣化がなく、VHSよりも画質が良好とされることが多いようである(また、本来の収録時間より短縮させたXPモードでS-VHS相当の画質での録画も可となっている)。一応VCDと同じくMPEG-1にも対応しているが、実際にMPEG-1を使ったDVDは極めて少ない。
DVDは1996年に登場。最初のCD/DVD再生機については高価だったこともあり当初はあまり普及しなくVCD、LD、VHS再生の方が一般的だったが、1998年に最初のCD/DVD再生機より¥40,000近く安く販売されたCD/DVDポータブル再生機で普及黎明期に入った事や2000年のPlayStation 2の登場とともに一気に普及。2004年にはVHSの出荷台数を上回った。DVDはプレス代が圧倒的に安いので、映像を取り扱う産業では、セルDVDを(副ではなく)主な収益源として活用している企業が増え、業界の状況を一変させた。
一時期、DVD-RとDVD-RW、DVD-RAM、DVD+RやDVD+RWなどの規格が乱立し、ユーザーを混乱させたが、全て対応したスーパーマルチドライブが登場したことで事なきを得た。
2008年より普及したBDとの並行販売が浸透し、ブルースペック(Blu-Spec)CDも登場して2010年代にはレガシーな存在となったが、安価かつ自主撮影した動画の書き込みでは高需要なため今なお各地で見かける。また、レンタルビデオ業界でも引き続き現役である。
用途
データ媒体(DVD-ROM)としてはゲーム機のゲームソフトのほか、WindowsなどのパソコンOSやパッケージ販売されるアプリケーションソフトの媒体としても使われる。
映像記録媒体としては、次世代規格であるHD-DVD(2008年に撤退)、Blu-ray Disc(BD)が登場して久しい今も主力のメディアである。DVDを読み込めるドライブを持っていればパソコン等でも再生可能。
映像作品は放送後DVDやBDで発売されることが多く、DVD版はBDより少しだけ安く発売されることが多い。2010年代以降ネット配信が円盤メディアを駆逐しつつあるため、映像を手元にとっておきたい熱心なマニアが買うものとなっている。
アニメなどではテレビ放送版とDVD(BD)版では少しだけ内容が異なる事がある。例えばテレビ放送版では規制されていた表現が解禁されていたり作画ミスや一部の表現が修正されていたり、テレビ未放送の話や複数の音声チャンネルを用いたオーディオコメンタリーが追加されていたりと様々である。
また初回限定盤と題して様々な特典がついているものも少なくない。深夜アニメの収入の多くは放送による収益ではなく、このようなDVD、BDやキャラクターグッズによるものなので、これくらいは当たり前のファンサービスと言えるかも知れない。
音楽ディスクとしての採用事例
「DVDオーディオ」という音声記録規格がある。CDよりも高いサンプリング周波数(最高192kHz)や量子化ビット数(20及び24ビット)のPCMを収録でき、5.1chサラウンドにも対応する。あまり普及せず、現在は競合規格であるスーパーオーディオCD(SA-CD)に市場を譲っている。これには音楽媒体において、DVDはCDオーディオの付録映像用のディスクとしての需要の方が大きいためとも考えられる。
DVDビデオには静止画や歌詞を映像の代わりに表示する「DVDミュージック」というジャンルの作品が存在する。映像のビットレートを下げてできた余裕を、音声に割り当てている。こちらはDVDビデオプレイヤーで再生できるため、DVDオーディオより手軽である。日本コロムビアが推進していた他、奥田民生氏はかつてレーベルゲートCD(コピーコントロールディスクの一種)対策として、アナログレコードと同時に実験的にDVDミュージック版を発売していた。
エロゲ(映像ソフト含む)での採用事例
パソコンソフトとしてCD版とDVD版の同時発売や、CDで発売されていた作品が追加要素を加えてDVDで発売されるケースがあった。後にゲーム内容の膨大化に伴いDVDに統一された。一方、BD採用でのリリースは主にコンシューマーゲーム機のPlayStation 4やPlayStation 5では使われているが、パソコン版はDVDの容量で充分とのこと。ゲーム機専用のカードタイプを採用しているNintendo Switch版として発売される各移植タイトルでは大人の事情により多少の演出・表現の内容変更はされる。
現在では、インターネットダウンロードが主流になったため影が薄い。
DVDプレーヤーのメニュー機能を応用し、項目を選択する事で簡易的なゲームを行える「DVDプレイヤーズゲーム」(DVD-PG)も、日本国内ではアダルトゲームに使われるケースが多かった。
関連タグ
ビデオCD(VCD) Blu-ray(BD) 姉DVD VHS レーザーディスク
PlayStation2/XBOX/XBOX360:DVDドライブを搭載したゲーム機(それぞれの後継機はBDドライブを搭載)