概要
伝送制御プロトコルとインターネット・プロトコル(両者を合わせてTCP/IPと呼ぶ)を利用した世界規模のネットワークシステム。世界中のコンピュータネットワークが相互接続されている。
“インターネットは人類が初めて作った、人智の及ばぬ代物だ。それは人類最大のアナーキーな実験なのだ”-エリック・シュミット(元Google CEO) |
インターネットはその上で提供されているハイパーテキストシステムであるWorld Wide Web(WWW、Web)としばしば混同されるが、テキストやファイルやり取りを行う電子メールや、音声(動画)通話を行うIP電話等、WWW以外のサービスも広く利用されている。
インターネットの基盤となるTCP/IPは1970年代に作られた非常に古いプロトコルである。IP(後述のIPv6と区別するためIPv4と称される)はインターネットが世界中で使われるようになるに連れIPアドレス枯渇問題が浮上し、後継のIPv6への移行が徐々に進められている。また、TCPの後継としてQUICというプロトコルも策定され、QUICをトランスポート層に組み込んだHTTP/3の普及とともに採用が広がってきている。
インターネットの歴史
インターネットの起源
インターネットの原型となったのは1960年代末に米国国防総省高等研究計画局(DARPA)などの出資の元米国の複数の大学や研究機関が共同で構築したARPANETである。このシステムに関しては「[**[核戦争]]下でも使用出来る軍用ネットワークシステムであった」と紹介されることが多々あるが、それは誤りである。その様なネットワークシステム開発も行われてはいたが、ARPANETとは無関係の研究であった。DARPAは軍事とは無関係の研究へも出資しており、ARPANETもその1つであった。
ルーツとしてはこの他に、1981年(昭和56年)に構築されたCSNETがある。このネットワークはNSF(米国国立科学財団)出資の下、研究論文やソフトウェアといった計算機科学の研究成果を素早く広めるために構築された。
ARPANETは1980年代にプロトコルをIPに移したが、後継のNSFNet拡大に伴って徐々に縮小して行き、1990年(平成2年)までにその役割を終えた。
インターネット誕生
1970年代にインターネット・プロトコル(IP)が発表され、NASAのNSN(NASA_Science_Network)等、IPによるネットワーク構築が試みられる。
ARPANETが担っていたバックボーンとしての役割は、NSFがCSNETを再構築したNSFNetが役割を継承した。これに伴い、インターネットの基礎が完成する。
また、日本では大学や研究機関を回線で繋げたJUNETが作られ、CSNETと接続することにより、日本でのインターネットの母体が作られて行った。
学術目的だったインターネットが一般の商用利用に開放されたのは1989年のこと。この年には世界初のインターネットサービスプロパイダ(ISP)が生まれ、個人ユーザーのインターネット利用が可能になった。しかし当時のインターネットはニュースグループと電子メールによる学術情報の交換が中心であり、IPに対応しているマシンも高価なUNIX機だけだった。そういうわけでインターネットの存在自体がまだ一般にはほとんど知られていなかった。
その頃、多くのユーザーに使われていたパソコン通信は、会員と特定のホストコンピュータの間のみ繋ぐ「閉じたネットワーク」であったのが、「開かれたネットワーク」であるインターネットとの違いである。
WWW(World_Wide_Web)誕生
CERN(欧州原子核研究機構)研究員であったティム・バーナーズ=リーはインターネットを基盤とした世界規模のハイパーテキストシステム「World_Wide_Web(WWW・WEB)」を構想。1989年に提案書としてまとめた。翌1990年にはリーの手によりNeXTマシン上で世界初のWebサーバであるhttpdと世界初のウェブブラウザ・HTMLエディタであるWorldWideWebの実装がなされ、12月20日に世界初のWebサイトが公開された。この功績からリーは「Webの父」と呼ばれる。
一般化と普及
インターネットとWWWの存在が一般に知られ始めたのは、1993年(平成5年)のこと。CERNがWBを誰にでも(商用利用含めて)無料開放することを決定したことがキッカケである。WWWを利用するためのブラウザ「NCSA Mosaic」がOC向けに提供された。もっとも、当時使われていたWindows 3.1はネットワーク機能自体が標準では搭載されておらず、アドオンを使えばインターネット接続はできたものの、一般ユーザーにとっては環境を整えるだけでも一苦労する代物であった。
1995年(平成7年)に発売されたWindows95は遂に標準でIPに対応、一般ユーザーへの障壁が大きく下がった。これにより世界中に急激に広まり、パソコン通信に取って代わった。しかし、専用線を引いている大学や一部企業等はともかくとして、当時の個人ユーザーは(PC通信同様の)不安定で回線速度が低いダイヤルアップ接続にISPとの通信を頼らざるを得ず、今から見ると随分と不便で制約が多い環境であった。
1997年(平成9年)頃よりNetscape_Navigator・IE(Internet_Explorer)との激しいブラウザ戦争が繰広げられ、Webブラウザの機能が飛躍的にリッチとなる。この結果ブラウザとWEBサーバの通信によって多彩な動作をさせることが可能になり(WEBアプリケーション)、ビジネス商取引などもネット経由で行われるようになって、社会に欠かせないインフラとなって行く。この時期「ドットコム会社」と呼ばれる多くのIT関連ベンチャーが設立されたが、2001年(平成13年)には多くの企業が破綻に追い込まれ、生き残ったのはほんの一握りの会社のみであった(インターネット・バブル)。
常時接続時代へ
2001年以降、ADSLや光回線によるブロードバンド接続が普及。また無線LANや携帯電話回線経由での接続も一般化してネットの利用形態は現在に近いものとなる。ゲーム機がインターネット接続機能を持つのも当たり前となり、2010年代以降はスマートフォンやタブレット端末、あるいはスマートスピーカーなど「スマートデバイス」と総称される各種端末を通じて利用することの方が多くなった。
従来のインターネットは主にユーザー(人間)が端末を介して利用する形態であったが、2010年代後半以降、IoT機器や人工知能発達に伴い、M2Mといわれる、機器同士がネットを介して直接(人を介さず)通信する利用形態が急速に広がっている。モバイル回線やIoT普及に伴い、長らく遅々として進まなかったIPv6移行も進展した。
日本のインターネットの歴史
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