※この項目は単行本未収録のネタバレ情報を含みます。閲覧注意!
「キッショ。なんで分かるんだよ」
概要
過去に加茂憲倫を騙り、夏油傑の肉体を操る謎の人物の正体。現在本作品における全ての元凶たる呪詛師。
他人の身体を乗っ取り、永い時を越え自らの野望を叶えるために存在する人物。年齢及び本来の顔、性別も不詳であるが宿儺とも関わりがある事から千年以上前から活動していた術師である模様。
乗っ取った人物の身体能力、特徴だけでなく術式等能力をもそのまま引き継ぐ事ができ、また必ず額に縫い目がある。
死滅回游も詠者やアメリカ上層部相手には「夏油傑」の名前を使って接触・行動している。
人物
計略を巡らせ、非常に慎重深く計算高く狡猾な人物。自身の探究心や欲を満たす為ならどんな手段も厭わず、誰を犠牲にする事も全く気にしない極めて非情な人物でもある。
過去に加茂憲倫として行った所業だけでも、史上最悪の呪術師として呪術界の歴史にその悪名を刻まれる程であり、下記する目的を考えても吐き気を催す邪悪としか言いようがない外道。
脹相からも「全ての不幸の元凶」と憎悪されている。
純粋なカリスマ性で呪詛師達を従えて、彼等と“家族”と称する程の信頼関係を築いていた夏油とは対照的に、羂索は基本的に利害の一致を前提とした協力関係しか築いていない。協力者の呪詛師達も自然呪霊達もあくまで互いに相互利用しているだけで、羂索自身に賛同している訳でもなく全く信用などしていない。
下記する目的からも分かるが、基本的には自身の想定外の混沌を望んでいる為、銃を使う禪院真依のような型に嵌らないスタイルの相手は素直に評価している。ただし、あくまで自身の計画の結果起こる混沌を見たいのであって、想定外なら何でもいいという訳ではないらしく、自身の計画が想定外の事態や相手に妨害される事には露骨に不快感を示す。
また、自分が関心を示さない相手に対しては極端な程に冷淡であり、乙骨憂太の事を「魅力を感じない」と切り捨てたばかりか、ミミナナや加茂憲紀の事は「生きていても何もならない」という理由から始末しようともせずに見逃すなど、その言動からは傲慢さが滲み出ている。
一方で、千年もの間魑魅魍魎がひしめく呪術の世界を生き抜いてきた実力は本物であり、その権謀術数は作中でもトップクラスである。咄嗟の状況でのアドリブ等の対応力も非常に高い。
能力
天元曰く「自身に次ぐ結界術の使い手」との事で、嘱託式の帳や死滅回游の結界など様々な結界の開発・構築をしている。領域の精度に関しても相当なものであるらしく、千年の間に「閉じない領域」を展開する離れ業をやってのける(少なくとも天元は彼がその領域を使える事を知らなかったので、千年前までは使えなかったと思われる)。
術式に関しては羂索自身の術式に加え、乗っ取った肉体に刻まれた術式、さらに過去に身体を乗っ取った術師の術式も保有しており、複数の術式を使う事を可能としている。ただし、領域を使った場合は、領域内に付与した術式以外の手持ちの術式も全て焼き切れてしまう他、脳の容量の問題から、あまり多くの術式を同時に保有する事はできない。
現代では、特級術師・夏油傑の肉体を乗っ取っており、羂索本人の千年に渡る研鑽と経験や知識に加え、夏油の術式の呪霊操術や身体能力を始めとした戦闘技術を引き継いでいることもあって、作中では九十九由基と脹相の2人を相手に優位に立つ実力を見せている。
さらに反転術式も使え、無くなった腕を元通り再生するなどこちらも高度なレベルに達している。さらに下記する術式反転にも利用している。
一方で、彼の戦闘力は乗っ取った身体に左右されるようで、実際に400年前に鹿紫雲一と契約した際は身体が戦闘向きではないという理由から、老いて病気の彼との戦闘も避けていた。
また、呪霊操術で取り込む事が前提とはいえ、漏瑚や真人と戦えば一対一でもかなり苦しいとファンブックで作者から明言されているなど、彼は決して五条や宿儺のような規格外の最強という訳ではない。実際に過去に2度も異なる六眼持ちの術師に敗北している。
五条についても最初から戦闘では勝てないと判断し、下記する六眼の出現条件もあって封印という手段を探っており、五条の身体を狙わない理由もファンブックで「殺せないから無理」と断言されている。
彼の最大の強みは単純な戦闘力以上に、巧みに暗躍して格上の相手でも戦闘以外の手段を駆使して陥れる権謀術数と、他者に取り入って相互利用の関係を引き出す知略、たとえ敗北しても生き延びて別のアプローチで計画を練る執念などであると言える。
術式
肉体を乗っ取る術式(名称不明)
羂索の本来の術式。他者の死体に自身の脳を入れ替える事でその肉体を乗っ取れる。
肉体を乗っ取る事で乗っ取った肉体に刻まれた生得術式も使用可能になり、記憶もそのまま受け継がれる。乗り替えた後の元の肉体の術式は消えてしまうが、それにも一応対処法がある模様。
また、反転術式の使い手であるが、額の縫い痕は『縛り』である為に残している。
頭への攻撃に対し、縫い目を解いて頭蓋を回転させる事で威力を軽減させる等のとんでもない回避をする場面もある。ちなみに脳は元々の羂索自身の肉体なので非術師にも見る事が可能。
呪霊操術(じゅれいそうじゅつ)
身体を乗っ取った夏油の術式。生前の夏油が取り込んだ呪霊は1年前の百鬼夜行で失っているが、羂索が千年間に渡って契約した呪霊達によって補充されている。
元々は死滅回游に備えて過去の術師達と同様に契約をしており、黒沐死などの一部の呪霊は制御から外して死滅回游に投入している)。「あらゆる障害を取り除く術式」を有する特級呪霊等、海外産の強力な個体も複数揃えている。
また極ノ番の「うずまき」は、『呪霊操術の強みである手数の多さを捨てる』と本人は発言していたが、戦闘中に極小の「うずまき」を作り出す事で、火力攻撃の連発を可能にしている。
当初は「雑魚のリサイクル」でしかないと思っていたらしくあまり魅力を感じなかったらしいが
「うずまき」の真価は術式を持った呪霊をうずまきにした時に発生する「術式の抽出」である事に気付き有効活用する事にしたとか
反重力機構(アンチグラビティシステム)
羂索が過去に乗っ取った虎杖香織の術式。
本来は字の如く重力を打ち消す能力だったようだが、順転では出力が安定しない欠点があり、羂索は術式反転で重力場を発生させ、自身に近づくものを地面に叩き落とすという使い方をしている。
ただし、効果範囲が半径2~3メートルと狭く、しかも発動時間は6秒間のみで一度使うと一定のインターバルが必要など、元の出力が低いせいか使い勝手が難しい術式になっている。
無為転変(むいてんぺん)
特級呪霊の真人の術式。
彼を呪霊操術で取り込み「うずまき」で術式を抽出して使えるようになった。作中では死滅回游を始めるべく、予めマーキングしていた人間達の脳を遠隔で調整して覚醒させる為に使用した。
複数回の使用が可能かは不明。
領域展開
胎蔵遍野(たいぞうへんや)
ムンクの叫びの様な絶望した無数の顔で構成された樹木と、更にその周囲や上部にはアフリカの呪術師風の妊婦や、顔をもぎ取られ磔にされた妊婦の人型が並んでいる見るも悍ましい領域。
宿儺の領域と同様に空間を閉じずに領域を展開する事が可能。ただし、領域の規模は宿儺程ではなく、おそらく彼は空間を閉じない縛りを術式効果の底上げに使っていると推測される。
詳細は説明されていないので不明だが、おそらく上記の重力を必中させて対象を叩き潰す必中必殺領域である。さらに結界術のプロフェッショナルである為、簡易領域程度なら数秒で剥がせる精度を持つ。
活動履歴
- 1006年前後(寛弘3年)、一度目の星漿体同化阻止失敗、六眼に敗れる。※1
- 1506年前後(永正3年)、二度目の星漿体同化阻止失敗。生後数ヶ月の星漿体と六眼を殺害するが、同化の際に現れた六眼に敗れる。※2
- 1600年頃(慶長5年~)、鹿紫雲一、石流龍に対してそれぞれ契約を交わす。※3
- 1868年頃(明治初期)、加茂憲倫の身体を乗っ取り、呪胎九相図を作成する。※4
- 2003年頃(平成15年)、虎杖家に潜伏、虎杖仁(じん)の妻であった香織が亡くなり、後妻となる。2003年3月20日悠仁を産んだと思われる。※5
- 2006年(平成18年)、三度目の挑戦にて星漿体との同化阻止成功、呪霊操術の男の存在も知り、計画を進める。※6
- 2012年頃(平成24年)、 自身の計画において最大の障害である五条悟を封印する為の獄門疆を捜索し続け、入手に成功。※7
- 2017年(平成29年、4~6月ごろ)、伏黒津美紀、他多数の人間を呪い、寝たきりの状態に(マーキング)する。同12月下旬頃、呪霊操術の肉体を手に入れ乗り替える。※8
- 2018年(平成30年10月31日)、渋谷事変を起こし五条を封印。真人を呪霊操術でとりこみ、呪霊1000万体を放つ。『死滅回游』及び計画開始。※9
- 千年以上も生き永らえている動機の一つとして、まず天元の同化阻止が挙げられる。そして、それを阻む五条家の『六眼』は羂索の天敵とも言える存在である。この時からすでに後述の計画、死滅回游の着想があったのかは不明ではあるが烏鷺亨子との契約を交わしている。
- 『天元』『星漿体』『六眼』は因果で繋がっている。恐らく同化の際は必ず星漿体と六眼が出現する巡りになっている。しかし慶長年間(1596~1615)に五条家当主と禪院家当主が御前試合を行い両者死亡。六眼(と無下限呪術)が存在している為、この人物がよほど長寿でなければ、六眼は同化の際にのみ出現する訳ではない。
- この時は男性体(年齢、姓名不明)に寄生、羂索曰く「戦闘向きの肉体ではない」との事で、この当時の鹿紫雲との戦闘は避けていた。また最強の存在は宿儺だとも述べている。
- 当時の加茂家当主であった加茂憲倫に寄生する。確認される限り羂索が御三家の人間を乗っ取って表立って活動したのは初めてであり、おそらく御三家当主の立場を利用して行った様々な所業の結果、加茂憲倫の名は「史上最悪の呪術師」「御三家の汚点」として呪術界の歴史に刻まれる事になる。
- この当時は既に亡くなっていた香織の遺体に憑依していた。呪胎九相図の父、加茂憲倫(=羂索)は虎杖悠仁からみると母であり、事実上彼らは兄弟という事になる。だが羂索は自らが産み出した生命に対して家族や親が持つ情は一切持っておらず、悠仁と九相図の兄弟が殺し合いをしても無関心であるなど、親というよりもモルモットに向けるような感情しかない。ただし、期待をかけている悠仁に対しては、悠仁の以前の学校の先輩に悠仁と仲良くしていた事に礼を言うなど親のような言動を見せており、この辺りの自身が気に入っている子供に対しては親のように振る舞う面は典型的な毒親の気質だと言える。言うまでもないが、その悠仁に対しても宿儺の器としている件も含めて害しか成しておらず、あくまでも自分の為に利用してるのみで親としての真っ当な情などない。
- 羂索が星漿体殺害にどこまで関与しているかは不明。そもそも下記する星漿体と六眼と天元の因果が壊れたのはただの偶然であり、この当時の彼がどこまで本気で星漿体殺害を実行するつもりだったのかも不明。獄門疆は未入手であった為に同化直前に殺害する方法をとった可能性も考えられる。
- 二度も六眼に同化妨害を阻まれた上に殺害しても同化時に現れる事と、六眼の所有者が二人同時期に存在できないという理由から封印という方法に切り替える。伏黒甚爾による因果破壊後はこの六眼の因果も消えた可能性があるが、どのみち現代の六眼である五条は強すぎて正攻法では勝てないので、封印という方針に変化はなかった。
- これ以後漏瑚を初めとした呪霊一派と表向きは両面宿儺の復活を目的とし行動を共にする。その裏の目的は五条の封印達成と真人の無為転変の入手だった(可能なら漏瑚も取り込もうと目論んでいた)。悠仁に指を喰わせる、五条と一戦、吉野順平の家に両面宿儺の指を故意に持ち込む、更に内通者から情報を得て呪術高専を急襲、呪胎九相図の内三体を持ち帰る等という計画をたて呪霊に実行させる。夏油の残穢で五条に気づかれないよう表だって自分は行動せず封印の為に裏で暗躍する。
- 天元によれば天与呪縛によるフィジカルギフテッドの中でも完全に呪力から脱却した伏黒甚爾の介入により天元の同化が阻止され、また呪霊操術の使い手の遺体、獄門疆を入手した事で全ての条件、手札が揃う。これにより羂索は六眼の封印達成、加えて後述の計画を実行に移していく。
目的・計画
彼が目指すのは『呪力の最適化』である。
呪霊のいない世界でも牧歌的な平和でもなく自らの生み出すもの以上の可能性を見つける事、つまりは呪術の力で新たな世界を創造しようとしていると考えられる。
呪術師・呪霊・非術師、これらは彼曰く「人間という“呪力の形”の可能性の一つ」に過ぎないらしく、さらなる呪力の可能性の探求の為に、千年もの間様々な術師の身体を渡り歩いて暗躍を続けていた。
そして最終目標は日本全土を対象に人類への強制進化を成す為、人類と天元を同化させる事である。
天元と同化した人間は術師という壁すら超えて新たな存在の形となるが、個としての境界がないので仮に複数の人間の内1人でも暴走すれば、悪意の伝播が一瞬で広がり、1億人分の穢れが世界中にばら撒かれ、人類は滅亡する。
本来天元との同化は星漿体にしかできないが、11年前から進化した状態の今なら誰でも同化できなくもないという。同化の拒絶による阻止はできるものの、現在の天元は組成としては呪霊に近く、呪霊操術の術式対象になってしまっている。
さらに同化の成功を確実なものにする為、前段階の下準備である死滅回游という泳者の呪力を結界と結界で結んだ境界を使い、北海道を除く日本国民全てに呪いをかける儀式を実行。管理者を自らできない等の縛りをつけてはいるが、プログラムそのものが管理者になっていると考えられるため、現状虎杖達にとって不利に働いている(実行犯を倒すことがゲーム終了に繋がらないため)。
結界術に長けている彼が天元の居場所を突き止めるのも難しい話ではなく、目的達成に王手をかけている状態である。
目的の為海外でも活動をしており、幾つかの国に呪力というエネルギーの可能性を餌に、死滅回游を活性化させる爆弾として軍隊の派遣を確約させる。
なお、新たな可能性の探求として行動を起こしているものの、その本質は決して人類の進化だとか高尚な目的がある訳ではなく、その行動原理は単純に『面白そうだから』というだけである。
自分が面白そうだと考えた事が本当に面白いかを検証するという、愉快犯的な動機で行動しているだけであり、天元との同化も『1億人が同化する事でどんな化物が誕生するのか』『「うずまき」の様に何か抽出が起きるのか』という自らの知的好奇心を満たしたいだけである。特に『誕生した呪霊がひょっとこみたいな珍妙な見た目なら笑えそう』と無邪気な満面の笑みで語っていたのが、彼の悪辣な本性を端的に表していると言える(当然ながらその言動に相対していた脹相は激昂した)。
なお、呪胎九相図は呪力の次なる可能性は呪霊にあるのではないかと考えていた時期に生み出したらしいが、彼等の事は改めて「普通すぎる」「失敗作」として露骨に侮蔑して足蹴にしており、現在では呪力の進化を上記の通り天元との同化を介して人間で行おうと目論んでいる。
また、虎杖に関しては本人曰く取り立てて役割がある訳ではなく、宿儺の器である事自体が役割であり、「宿儺と共に生き続けるだけで周囲に混沌を齎す新時代の台風の目」と評している。
その他
呪霊達を内心見下していたものの、彼らとはビジネスライクな関係で特に問題は生じなかった。だが偽夏油が肉体を乗っ取られた存在である事を呪霊達は終始分からなかった様である。
また漏瑚・真人は、一対一でも呪霊操術で取り込むのはかなり厳しいと判断していたらしく、その為にこの2人は当初から他者に削らせてから取り込もうと目論んでいた。
五条悟は単純に実力で勝てない事と上述の六眼の出現条件もあって、最初から殺害や肉体の乗っ取りは諦めており、当初から封印という手段を探っていた。伏黒甚爾の事は天与呪縛との調整がとれずにバグが生じる可能性がある為に乗っ取り自体を考えておらず、天元との同化という自らの目的を考慮しても呪霊操術が最適解だと判断して、夏油の身体を狙っていたのだと思われる。
天元は羂索のことを『あの子』と呼んでおり、その事から古い知己である事が窺えるが、具体的にはどのような関係であるかは不明。その後作中で羂索は天元の事を「友」と呼んでいる。
宿儺との関係は詳細は不明だが裏梅を交えて気安く会話をする仲。
弱い者は不幸を噛みしめて生きろという思想の宿儺とある程度の関係を気付いている以上、宿儺からはそれなりの実力があると認められている模様。
ちなみに現在世間一般で夏油傑として販売されているグッズの大半は、頭に縫い目がある=羂索のグッズである(呪術廻戦0公開後は縫い目が無い純粋な夏油グッズも増えてきている)。その為、夏油ファンの間では購入したグッズの縫い目を消すのが恒例作業となっている。
特定のグッズに関しては、ネットで検索すれば縫い目の消し方を紹介している動画やブログ等もあるので、縫い目が無い純粋な夏油のグッズが欲しい人は是非試してみよう。
関連タグ
呪術廻戦
宿儺(呪術廻戦) 裏梅
五条悟 夏油傑 加茂憲倫
呪胎九相図 脹相(呪術廻戦)
虎杖悠仁 獄門疆
ラスボス
大蛇丸…ファンブックにて術式の共通点が指摘された。
名前の元ネタ:不空羂索観音