呪術戦の頂点
「領域展開」について 教えてあげる
※この記事は単行本未収録のネタバレ情報を含みます。 |
---|
概要
『呪術廻戦』に登場する戦闘技術。生得術式の最終段階であり、呪術戦の極致。
これを習得し自在に使いこなせる者はごく限られている。作中序盤で解説・紹介された技であるにもかかわらず、原作16巻・本誌149話の段階で、高専側で領域展開を会得していたのは五条悟と伏黒恵の2名のみであった(さらに伏黒は習得したばかりで未完成)。
また、渋谷事変の時点では特級呪霊4体(呪霊組)や、呪いの王・両面宿儺といった敵対勢力側が全員この領域展開を使用していたにもかかわらず、高専側は五条悟と伏黒恵を除いて誰も使用できる人間がいなかった事から、連載当初から登場していた敵キャラクター達が総じていかにレベルの高い存在であったかが、逆説的に証明されてしまう事になった。
死滅回游編に突入してからは、過去の術師の復活といった事象によって旧式の必中効果のみの領域展開を使用するキャラが増えてきているものの、それでも希少な技術である事には変わりなく、特に現代の呪術師で領域展開を修得している者の数は依然少ないままである。
領域展開の実態と効果
それぞれの術師の中にある生得領域(いわゆる心象風景。詳細は後述)を「結界」という形で体外に創り出して敵を閉じ込め、その結界に術師本人の術式を付与する事で術式に基づく攻撃を必中とする結界術の一種。
発動する際は基本的に指、もしくは腕で印を組む動作(印相)を必要とする。その為、何らかの手段で印を組む動作を妨害する事で領域展開を阻止する事が可能。しかし一部の呪霊は、口腔内に腕を生成して印を結ぶ、腹に印を描くなど、腕を使わずとも領域展開が可能である為、必ずしも阻止できる訳ではない。また印を組まずに術式で生成した武器を打ち鳴らして発動するという例外も存在する。
能力としては、より「閉じ込める」事に特化している結界であり、例えるならば空間支配能力的な代物で、発動と同時に術者の周囲の空間が術者の領域へと変化する。その為に領域習得の条件としては、単に呪術師としての能力や実力だけでなく結界術(※)の素質も要求され、これが領域を使える呪術師が少ない大きな理由の一つである。
※:呪術廻戦の世界における「結界術」は得手不得手の差が大きく、1級呪術師やそれに匹敵する実力者でも習得しているものは僅かである一方、伏黒のようにまだまだ技術的には発展途上の存在でも条件次第で出来るなど才能による差が顕著である。伏黒曰く「スケールの違う空間を現実に重ねるイメージが掴めない」との事。
結界術は使用者のイメージが重要であり、特に領域は術師が様々な条件を自身に合ったものにすることで初めて成立する(下記の必中のみの領域は例外)。中には領域を小さくすることで強度を上げたりできる者やある効果を消して別の効果を付与・強化したりできる者もいるが、状況に応じて条件を細かく切り替えるといったことは領域を習得した実力者でも極めて困難である。
五条曰く、領域展開を行う絶大なメリットは主に2つ挙げられる。
1つは「環境要因による術者のステータス上昇」。
領域の中はいわば「術者の精神世界」もしくは「術者の術式の中」である。
術者自身が最も行動しやすい言わばホームグラウンドのような環境になっており、より洗練された自身の能力を遺憾なく発揮できるというわけである。
もう1つは「領域内で発動した術者の術式の絶対命中」。
術式が付与された領域の中にいるという事は「既に術式が当たっている」という事になる為、領域内での術式に基づく攻撃は必ず当たる。
例えば、式神を具現化して攻撃する術式であれば「既に式神が攻撃した状態」で具現化する。このため攻撃を受けた側からすれば、突如として現れた式神によって攻撃されたような状態になる。
また、この必中効果によって本来なら相手に直接触れなければいけないタイプの術式であっても、領域内においては遠距離から発動して相手を攻撃する事が可能になってしまう。
また、その他のメリットとして敵の防御に使用されている術式や、敵の領域の中和作用がある事が挙げられる。「領域展開への対処法は自身も領域を展開する事」と言われる所以はこの中和作用に由来する(例を挙げると、ほぼ完璧ともいえる防御力を持つ五条の「無下限呪術」であるが、領域内においてはその「無限」すらも中和されるので、五条本人に攻撃を当てる事が可能になる)。
領域は閉じ込める事に特化させた結界術である為に、逆に外から侵入する事は比較的容易である(ただし自分が圧倒的に不利となる為、基本的に自ら侵入するメリットはない)。
強力な一方でデメリットも存在する。呪力の消費が莫大であり、基本的には一日に何度も使う事はできない(現時点で例外は六眼により呪力効率が極端に高い五条、ボーナスで焼き切れた術式が再び使用可能になるまでに呪力が回復する秤金次、五条を上回る乙骨憂太の更に倍以上の呪力総量に加えて五条に次ぐ高い呪力効率を誇る宿儺のみある。また短期間で多くの術師や呪霊を破っていて秤と同じく領域が生得術式にデフォルトで備わっている日車寛見、自身が膨大な呪力量を有していることに加えリカの完全顕現によりリカからの呪力供給が可能な乙骨もその可能性がある)。
また、その起動は術式そのものにも大きな負担がかかるらしく、領域を解除した、または領域が消滅した直後は術者の術式が焼き切れてしまい、一定時間術式の使用が困難になってしまう。
全く不可能という訳ではなく、例として真人は領域展開後に自らに無為転変を使用して虎杖悠仁と七海建人から逃走している他、烏鷺亨子は一瞬ではあるが術式を発動している描写がある(ファンブックによると連載前の設定では、領域展開直後は術式の使用が完全に不可能という設定だったらしい)。
また術式は脳(宿儺曰く「大体右脳の前頭前野」)に刻まれており、そこを自らの呪力で破壊してから反転術式で治癒することで焼き切れた術式をリセットできる。しかし脳(特に術式に関わる部分)は未知であり、難易度も負担も凄まじく、脳の治癒に慣れている者でも繰り返せば後遺症を負う。
必中のみの領域
領域内の対象に自身の術式(=ルール)を必中させる領域。本編内では相手に相撲のルール(術式)に則って土俵(領域内)で戦う事を強制(必中)させる、という例えがなされている。
実際の例では、後述する日車のものが一番分かりやすいだろう。
前項のように、現代では呪術戦における頂点の技として認識されているが、天元いわく昔は今と比べれば比較的スタンダードな技術であったらしい。
その理由は現在の領域に見られる『必中必殺』のうち、『必殺』の部分を省き『必中』のみに効果を縛っていた為であり、後の世で『必殺』にも拘るようになったことで、領域を構築する条件のハードルが上がり使い手が減少したとの事である。
こちらの領域の場合も、領域を展開した者の得意な土俵で戦う事になる上に、必中されるルールは複雑化する場合が多いが、必中必殺の領域のような引き込まれた時点で勝敗が確定するものではない。
死滅回游を境に、新たにこの必中のみの旧式の領域が本格的に登場し始める(ただし、現状作中で登場した必中領域の使い手は、いずれも現代人の呪術師である)。
解説
ここからは作中に登場した領域を、いくつかの分類に分けて整理して紹介する。
必中必殺の領域
このケースの領域は、領域内において必中となる術式効果が相手を引き入れた時点で勝利が確定とすら言わしめるもの。
- 蓋棺鉄囲山(がいかんてっちせん)
焼けた岩や溶岩で四方八方を囲まれた火山の内部のような灼熱の領域を展開する。
見た目通り領域内は火山の内部のようになっており、常時高熱にさらされている事から並の術師なら入った時点で焼死する。この熱はあくまで領域内に付随する効果で攻撃ではないので、簡易領域等でも防ぐ事はできない。
領域内での攻撃としては溶岩の噴射や火山岩の直撃を必中させる。
また領域内に虎杖と五条を引き込んだのにもかかわらず五条だけを殺せる自信があったと言うことは必中対象の選択も可能と見て良いだろう。
- 無量空処(むりょうくうしょ)
術者は特級呪術師・五条悟。印相は片手印の帝釈天印(インド神話および仏教界最強の神様)。
宇宙空間を思わせる領域を展開する。
無下限の内側を展開し、相手が知覚して肉体に伝達する情報量を無限にまで増大させる事で、対象の脳に甚大な負荷をかけて「無限回の作業」を強制させる。それによって対象は中に入ってしまった時点で、認識を思考に反映させてそれを行動に移す事が不可能になり何もできなくなってしまう、要は相手の脳にDDoS攻撃を掛ける術。
常人なら数秒で脳が焼き切れて即死する。呪霊の脳は人間のものとは構造が違うため、人間より効果が薄いが、それでも特級呪霊であってもまず行動できなくなり、宿儺でさえ受けたのが10秒未満であっても脳に大きなダメージを負う。
また、上記した蓋棺鉄囲山を即座に上書きする、内外の強度の反転や大きさの調節ができるように、領域の精度や本人の結界術の練度のレベルも桁違いである。
強いて欠点を挙げれば領域範囲内の対象者を選べない事であり(これは他の領域でも種類によっては共通する欠点ではある。しかし猛者は必中対象の選択が可能であり、そのうちの1人は五条悟との修行で可能にさせたので渋谷事変のような異常な数でなければ五条も必中対象の選択ができた可能性もある。)、一般人や味方が周囲にいる状況で領域を発動すれば全員が術式効果の対象となってしまう。ただし自分が直接触れている相手は術式対象から外れる(五条悟が意図していなくても)
渋谷では民間人への領域によるダメージを抑えつつ、複数の敵を無力化する為に0.2秒間のみ領域を展開するという荒業を見せ(この時間は五条が勘で設定した一般人に後遺症が残らない領域内の滞在時間。実際全員後遺症なく生き残れたが社会復帰に2か月かかった)特級呪霊、1級術師相当の特級呪物の受肉体を5分も気絶させた。
- 自閉円頓裹(じへいえんどんか)
術者は特級呪霊・真人。印相は弥勒菩薩印と孔雀明王印を口の中に生やした手で同時に二つ結ぶ。
縦横無尽に格子状に伸びる大量の人間の腕で囲まれた漆黒の領域を展開する。
無為転変は「手で触れた者の魂に干渉して肉体ごと形を変える」という術式だが、必中効果によって領域内はそれ自体が真人の手になる。よって触れずとも領域内の魂に干渉して、問答無用で相手を変形・即死させる事ができるという、必中必殺の名に恥じない極めて凶悪な領域。
渋谷事変では黒閃後のゾーン状態で上述した五条の0.2秒間の領域展開を真似ることに成功している。
- 蕩蘊平線(たううんへいせん)
術者は特級呪霊・陀艮。印相は結ぶ前に直毘人に潰された為に不明。作中では腹に宝袋(ほうたい)の紋様を描く事で代用した。アニメOPでは九字の下縛印を結んでいる。
砂浜と海岸線に青空と森が広がるビーチのような領域を展開する。
“万物の生命の源”である海より、魚の姿をした式神を際限なく湧出させる事ができる。領域の必中効果によって、式神は敵に触れた瞬間に実体化して喰らいつく。
必中ではあってもあくまで式神による攻撃である為に、落花の情や実体化した瞬間に式神を破壊するなどすれば対応可能なのだが、式神自体は無尽蔵なので大量の式神で無理矢理押し切ったり、呪力切れになるまで一方的にジリ貧に持って行ったりと、消耗戦に持ち込める長期戦に非常に強い領域である。ちなみに召喚する式神の中でも個体によって強弱はある模様。また彼も必中対象の選択が可能なようだ。
- 時胞月宮殿(じほうげっきゅうでん)
術者は特別1級呪術師・禪院直哉が死後転じた呪霊。印相はおそらく伎芸天印。
巨大な眼の付いた膣・子宮・卵巣が浮かぶ黒い領域を展開する。
投射呪法の「触れた相手に1/24秒の動きの強制」と「失敗した者を一秒間強制フリーズ」を、必中効果によって遠隔で領域内の相手に行う。術式効果が領域による強化を受けて通常時よりも解釈を拡大し、1秒間のフリーズを細胞レベルかつランダムにラグをつけて作用させ、対象に微かな動作ですら細胞間に致命的なズレが生じて体内から自壊するリスクを強いる。
呪術的には一つの領域とされる相手の体内に直接作用させるべく、投射呪法をフィルムという形で具現化させて相手の体内に打ち込むという仕様なのが特徴であり、その為に呪力によって防げる可能性はあるものの、それでも一度発動すればほぼ勝敗が決する凶悪な領域の一つである。
- 三重疾苦(しっくしっくしっく)
術者は死滅回游泳者(プレイヤー)・万。掌印は檀陀印。
自身の構築術式で生み出した物体に必中効果を付与する。想い人との戦闘では真球を利用した。真球は平面に対する接地面積が限りなくゼロに近いため無限の圧力を生み、触れると跡形もなく消し飛ぶ。回避しか対策のない真球を必中化させるため、必中を中和しなければ誰であろうと消滅する。文字通りの必中必殺と言える領域だろう。
- 真贋相愛(しんがんそうあい)
術者は特級呪術師・乙骨憂太。印相は荼吉尼天印。
仙台結界攻略中、泳者であり仙台結界四強の烏鷺亨子と石流龍との三つ巴の最中に使用。しかし、複雑な三者間での領域の押し合いに加えて二代目黒沐死の乱入という妨害に遭って不発に終わったのでその全容は不明だったが、新宿の両面宿儺戦にて使用した際に明らかになった。
乱立する壊れた鉄筋コンクリートの柱や剥き出しの地面等のあらゆる場所に無数の刀が刺さり、空にはご祝儀袋などに使われる装飾である水引の一種「あわじ結び」が囲んでいるように伸びた景観の領域を展開する。
彼の生得術式は“術式の模倣”であり、なんと模倣した術式の一つを必中術式として選択できる。よって、例えば直哉などの投射呪法をコピーしておけば、前述した時胞月宮殿を再現できるので、ほぼ必殺の領域である。
加えて、領域内に刺さっている無数の刀に乙骨自身がこれまでにコピーしたすべての術式が宿っており、持っている刀の術式が使用可能になるので、まさに彼の術式の真骨頂と言える奥義である。
余談ではあるが、荼枳尼天の司るご利益は商売繁盛や本願成就や開運以外に「憑き物落とし」「性愛」「呪詛」といった乙骨に縁のあるものが含まれており、それも狙ったものだと思われる。また、乙骨の「模倣」の術式が「真贋」、彼と相思相愛のリカが「相愛」の名の元であると考えられる。
必中対象の選択が可能である。
- 疱瘡婆(ほうそうばあ)の領域展開(名称不明)
術者は特級特定疾病呪霊・疱瘡神。印相は不明。
墓石が立ち並ぶ暗闇の領域を展開する。
術は3段階に分かれており、左手を右手に打ち付ける事で術が進む。
- 相手を棺桶の中に閉じ込め拘束する。
- 墓石が棺桶の頭上から落下し、棺桶を地中に埋葬する。
- 3カウントが開始され、3秒以内に棺桶から脱出できなければ対象は病にかかって死に至る。
必中効果は③の3カウント開始までで、カウント終了前に棺桶から脱出すれば無効化される。
一応必中効果そのものはほぼ無害だが、最終工程まで持ち込めれば必殺になるという珍しいタイプの領域である。加えて②の墓石を棺桶に落下させて埋葬するという工程で、相手に物理的にダメージを与える事が可能なので長期戦に持ち込めれば有利になれる。ただし、縛りなのか必中効果は一度に1人ずつに対してしか発動せず、領域内のより呪力の強い者を優先的に攻撃する。
また、囚われたものが簡易領域を張った場合、墓石の設置、及びカウント終了後の必殺効果が無期限に延期されてしまう(というより捕獲判定のフラグや必殺効果の垂れ流しが対象に届かないので効果が終わらない)ので一度に一人ずつの縛りが災いして新しい対象へ攻撃できなくなってしまう。
必中のみの領域
過去において主流だったとされる必中効果のみの領域。必中必殺の領域に比べれば単純な殺傷力こそ低いものの、必殺を省く事で押し合いや必中術式の発動速度が増したり、相手に複雑なルールを強制するものが多く、戦いをより複雑化して優位に展開する事が可能。
- 誅伏賜死(ちゅうぶくしし)
術者は死滅回游泳者・日車寛見。印相は無く、自身の術式で作った木槌型武器のガベル(裁判で使われるアレ)を打ち鳴らす事で発動する。作中で初めて登場した印を組まないタイプの領域である。
自分と相手を取り囲む様にギロチン台が並ぶ裁判所の領域を展開する。
簡単に説明すると、術式によって刑事裁判を簡易的に再現し、その判決によって相手にペナルティを科す事が出来る能力であり、必中効果は下記のルールと暴力行為を禁じるルールの強制。
- 式神「ジャッジマン」は、領域内の者の全てを知っており(それらの情報は日車に渡された証拠を除き、最初から共有される事は無い、渡された証拠は封筒の形で日車の手に渡った瞬間、日車に内容が共有されるので開封や把握の必要がない)、相手の今まで犯して来た罪状を読み上げて、その証拠を提出する。
- 罪状について相手が一度だけ陳述し、その後に提出された証拠を踏まえて日車が一度だけ反論する。
- 最終的に「ジャッジマン」が六法に基づいて判決を下し、その内容に応じて相手にペナルティが科せられる(例、未成年でありながらパチンコ店に客として入店した虎杖は、建造物侵入罪の判決を下された結果、「没収」の刑を受けて呪力を没収されてしまった)。
「没収」を受けた場合、通常は術式が使えなくなるだけだが、虎杖のように術式がないと呪力が使えなくなる(本来他のペナルティとセットで課せられる物なので「没収」は単体では課せられないらしい)
そして刑罰によってはペナルティが重くなり、最も重いものは「死刑(デス・ペナルティ)」日車のガベルが光剣に変化し、これに被弾した場合その部位を問わず対象を即死させる。
この領域には直接的な攻撃能力は無い為に、ペナルティによって弱体化した相手に対して、領域を解除した日車が直接的に攻撃を加えるのが基本戦術。加えてこれだけのルール強制を成立させる為の縛りとして、日車自身も領域内では暴力行為ができない上に、ある程度領域のルールを相手に説明しなければならない。
ちなみにこの領域は、予め日車の生得術式にデフォルトで備わっていたという、極めて珍しいタイプのものであり、日車はそこから逆算する形で結界術の基礎と呪力操作とそれによる呪力強化を独学で体得した。
- 坐殺博徒(ざさつばくと)
術者は秤金次。印相は弁財天印(金運の神様)。
列車の改札口が上下に折り重なって大量に並んだ白い領域を展開する。
一言で説明すればパチンコの演出が戦闘のルールに組み込まれる領域であり、「CR私鉄純愛列車1/239ver.」のパチンコの演出を再現し、パチンコの役が成立したら術者である秤にボーナスがかかる。
必中効果によって相手の脳内に強制的にルールが開示されるが、開示された側である敵にとっては秤のボーナスに関わる重要な部分は「大当たりの確率は約1/239」「確変突入率は約75%」のみで、後は演出の情報やその詳細が大半を占めるので、あまり情報としては意味をなさない(シャルル・ベルナール曰く「ゴミのような情報」)。さらに言えば肝心のボーナスについては「当たってからのお楽しみだ!!」とボカされているため、秤がボーナスを当てるまで対策すら立てられないという理不尽っぷり。
大当たりを引くとボーナスとしてラウンド中、4分11秒間は「呪力が無尽蔵に溢れ続け、溢れた呪力によって体が壊れないよう反転術式常時発動」の不死身状態となり、さらにラウンド中に呪力と焼き切れた術式が回復する為に、大当たりを引き続ける限りは何度でも連続して領域展開が可能という仕様になっている。さらにこの領域自体は必中効果が縛りのルール開示のみで無害である為、領域同士の押し合いに強い上に領域の展開速度も異様に速い。その速度は黒閃を経てゾーンに入った真人すらも上回る。
その為に、簡易領域などでの対策もほぼ意味を成さず、相手が簡易領域等を展開しようという発想を持つよりも速く、必中効果によって脳内にルールが開示されて領域が成立してしまう。
弱点としては、秤がパチンコを回して当たりを引くまでの間、相手を拘束するルールが何もないので、リーチや当たりまでの間に相手の攻撃で押し切られれば負けである。しかし、そこは「甘でもMAXでも30回以上ハマった事がない」と豪語する秤自身の豪運によってカバーされている。(「甘でもMAXでも」というのはパチンコの大当たり確率の違いによる種類のこと。ちなみに甘とは一般的に大当たり確率約1/99。MAXとは大当たり確率約1/399の機種を指す。「ハマる」は大当りしない事を意味し、本来は上記の甘なら200回、MAXでいうと800回近くジャックポット(777等)しないことを指す。そのため、「30回以上ハマったことがない」ということは「30回三つのドラムを止めるまでに必ずジャックポットする」ことになる。豪運どころかイカサマを疑われるレベルである)
日車の誅伏賜死と同様、領域がデフォルトで備わった術式である。
未完成の領域
文字通り領域としてはまだ未完成な領域。主に術者のポテンシャルを引き出す為に使用される。
- 嵌合暗翳庭(かんごうあんえいてい)
術者は2級呪術師・伏黒恵。印相は薬師寺如来印(または九字の内縛印)。起首雷同編で習得。
巨大な脊髄骨が浮かぶ液状化した影で埋め尽くされた領域を展開する。
影絵を作らずに影を無尽蔵に式神に変化させて攻撃したり、影で自分自身の分身や囮を作って自在に撹乱できる。また、領域内にいる相手は呪力で足場を強化しなければ足元の液状化した影にそのまま引きずり込まれてしまう。影の中は酸素も浮力も抗力もなく、引きずり込まれれば自力で浮かび上がるのは不可能であり、一度影の中に落ちてしまえばその時点でほぼ敗北確定である。逆に術者である伏黒自身は、影の中に潜って身体が動かない状態でも移動する事ができる。
結界としては成り立っておらず、体育館などの予め物理的に閉じられた施設を転用する事でしか相手を閉じ込める様に展開する事ができない不完全な領域であるが、他の領域を中和する事は可能。
術式の必中効果もなく、現状は伏黒の術式のポテンシャルを120%引き出して戦闘の自由度を広げる為だけものだが、その不完全性故に簡易領域では攻撃を防ぐ事ができず、必中領域との戦いに慣れたレジィとの戦いにおいて逆に彼の不意を突く事になる。
ちなみに、建造物を外殻として利用して空間を閉じた領域は(この領域に限らず)、実は本来領域に閉じ込める事が不可能なフィジカルギフテッドを建造物で物理的に閉じ込める事ができる。
ただし、影の中にモノを入れる際はその重みを伏黒本人が背負わなければならない縛りから、相手によって何らかの物体を大量に影の中に投入され続けると伏黒本人が自重で圧死しかねないリスクがある。
閉じない領域
ここまで紹介してきたのは全て「閉じる領域」に分類されるものであり、ここからは閉じない領域について解説する。
通常、領域展開は各々がイメージした座標や範囲、体積諸々の条件で構築した球状の結界に対象を閉じ込める性質を持っているが、超特級レベルの卓抜した結界術の使い手は結界を閉じずに展開する事が可能。
結界を閉じず生得領域を具現化する事は、キャンバスを用いず空に絵を描くに等しき神業とされており、他の領域とはその完成度と練度が根本的に一線を画している。
現時点で閉じない領域を使えるのは二名のみであり、前者は作中最高峰の呪術への知見・技量・学習能力を持つ呪いの王、後者は天元に次ぐ結界術の使い手だった上に1000年以上生き続け様々な形で呪力の可能性を追求してきた呪詛師である事から、習得難易度は数ある呪術の中でも異次元と考えられる。
さらにこの段階の領域にはあの現代最強の呪術師ですら到達できておらず(知識と時間があれば不可能とは言い切れないか…)、永く生きる羂索さえ正確な年数は不明だが恐らく数百年単位の研鑽の末に会得していることから、単なる努力の天才や才能型の天才でも体得は至難と考えられる。
この領域の利点は「他の領域よりも効果範囲が広い」「領域同士のせめぎ合いに強い」と言った事が挙げられている。
作中の描写でもその効果範囲とせめぎ合いの強さは他の領域と比べて優れており、結界を閉じる通常の領域では打ち勝てていないのが現状である。また簡易領域程度の出力では僅かな時間稼ぎにしかならず、現代屈指の実力者達でさえすぐに剝がされてしまう。
デメリットとしては領域を閉じていないので脱出が容易であるのだが、その「逃げ場を残す」ことが縛りとして機能して範囲が拡がっていたり、効力(威力)の増大に繋がっているため、至近距離で使われればワープでもできない限り逃げるのは現実的では無い上、これを発動する術師は何れも術師として圧倒的な実力者なので、それを相手に領域の脅威から敵前逃亡するのは困難。
なのでデメリットが実質機能しない場合があるが、特定の術式を持っていれば話は別の可能性がある。
- 伏魔御廚子(ふくまみづし)
術者は両面宿儺。印相は閻魔天印。
牛のような頭骨に象られた巨大な廚子が鎮座する領域を展開する。
建造物などの呪力が無い無機物には『解』(通常の斬撃)を、人間や呪具といった呪力のある物には『捌』(対象の呪力量や強度に応じて自動で相手を卸す斬撃)を、必中で常時浴びせ続けて領域内の全てを塵にするというもの。
廚とは文字通り厨房を、廚子とは両開きの扉をそれぞれ意味し、『解』と『捌』はそれぞれ二つの包丁を意識しているとされ、文字通りまな板の上の相手を食材のように切り刻むイメージを具現化している。
この閉じない領域の性質として、相手を閉じ込められないデメリットを『縛り』とした領域の規模の底上げがあり、最大射程は半径約200mという規格外さとなっている。さらに効果範囲内の地上だけでなく地下や上空も領域の射程範囲に含まれており、領域対決においても必中効果範囲が相手の領域を越えて外側に達するので結界の外殻を攻撃することが可能(上記の通り通常の領域は閉じ込めることに特化しており、外側からの攻撃に弱い)。必中効果の押し合い自体も作中最強格である五条悟の『無量空処』と互角、領域の範囲や結界を閉じるか否かなどの調節も自由自在。
また、他の領域のほとんどが自覚無自覚問わず仕様として呪力の無いものは領域内及び攻撃対象から除外されるのに対し(この世界では呪術を扱えない非術師の一般人や動物であっても、程度の差こそあれ呪力自体は保持している)、この領域は呪力のない建造物や無生物すら明確に攻撃対象に含まれ、前述した通り「同意無しでは領域内に捕らえられない上に、必中効果対象に認識されない無生物扱い」となるフィジカルギフテッドが相手でも、空間を閉じずに物理的に広範囲をカバーする事で捕捉し、飽和攻撃を加える事ができる点も他の領域との大きな違いとなっている。
また、宿儺が普段から自身に強いている『竈』の『縛り』によって、粉塵になるまで切り刻んだ物体が爆発性の呪力を帯びる。発動時は生物以外の出入を禁ずるよう領域の要件を変更する事で、密閉された空間に充満した粉塵へ『竈』の炎が引火し、領域内を隈なく驚異的な爆破に晒すので斬撃を耐え凌いでも生存が困難。
この点においても宿儺が、こと呪術を使った戦闘に関しては様々な相手・場面を想定している事が窺える。
- 胎蔵遍野(たいぞうへんや)
術者は羂索。印相は反叉合掌。
妊婦の様に膨らんだ腹の化け物と、怨霊の様な無数の顔でできた樹木の領域を展開する。
天元の空性結界内という特殊な環境な上に明確な説明がないので推測となるが、この羂索の閉じない領域は宿儺が必中効果範囲を広げていたのとは異なり、術式効果の底上げをしていると考えられる。
この際に領域に付与された術式は反重力機構で、使用者の技量により領域内の磁場構造を操作して反重力空間を展開したり対象に並の術師なら一瞬で圧殺できてしまう程の超重力をかけることができる必中必殺の領域であると推察される。
加えて、羂索が過去の肉体の術式を必中術式として設定しているので、乙骨のように他にも所有しているかもしれない複数の術式の中から一つを選択可能なのかもしれない。
また天元は羂索がこの領域を習得している事を知らなかったため、永い時をかけて会得した可能性が高い。
因みに、この具現化された心象は元の肉体の持ち主である夏油傑で元々は羂索の物ではないかもしれないという声もある。
詳細不明の領域
作中で領域展開可能な事を示唆されたものの、実際に披露はされず詳細が不明な領域。
- 石流龍の領域展開(名称不明)
術者は死滅回游泳者・石流龍。印相は孔雀明王印。
仙台結界四強の一人で、乙骨と烏鷺との三つ巴の中で使用した。しかし黒沐死の子による妨害のせいで不発に終わったのでその全容は不明。
彼の生得術式は“呪力の放出”なので、その延長線上の能力だと思われる。
ちなみに彼はその術式の内容上、領域展開直後の術式が焼き切れた状態でもパフォーマンスが殆ど変わらない為に、実は領域展開のリスクが殆ど存在しない唯一の術師である。
- 烏鷺亨子の領域展開(名称不明)
術者は死滅回游泳者・烏鷺亨子。印相はおそらく軍荼利明王印(ただし人差し指、中指、薬指を立てていない)。
仙台結界四強の一人で、乙骨と石流との三つ巴の中で使用した。しかし黒沐死の子による妨害のせいで不発に終わったのでその全容は不明。
彼女の生得術式は“空を面で捉えて操る”というものなので、その延長線上の能力だと思われる。
- ドルゥヴ・ラクダワラの領域展開(名称不明)
術者は死滅回游泳者・ドルゥヴ・ラクダワラ。
仙台結界四強の一人。
2種の式神の軌跡がそのまま領域となり、領域内のものに斬撃を与える。
正確には領域展開の一種かどうかは不明だが、領域とされているので一応こちらに記載する。
- 九十九由基の領域展開(名称不明)
術者は特級呪術師・九十九由基。印相は不明。
そもそも本人は領域展開を使用可能とは述べていないのだが、天元を狙う羂索を迎撃する際の作戦を立てる段階で、領域展開を扱える前提で話を進めながらも本人が否定することはなかったため、使用可能なことはほぼ間違いない。
しかし作戦実行に際して、相手の領域展開が結界を閉じないタイプだったこともあり迎撃は失敗し、彼女自身が領域展開をする前に決着がついてしまったために詳細は不明のままである。
彼女の生得術式は自身に仮想の質量を付与する“星の怒り(ボンバイエ)”というものなので、その延長線上の効果を必中させる領域だと思われる。
緊急事態でも作戦の内容を無視して領域展開を行わなかったことから、効果そのものの押し付けや領域の押し合いに関しては弱いのではないかと羂索は推察していた。
- 虎杖悠仁の領域展開(現段階で必中効果や正式名称が不明の為こちらで記載する)
術者は死滅回游泳者・虎杖悠仁。印相は地蔵菩薩印。
なお地蔵菩薩と閻魔大王は地獄から救うものと地獄へ落とすものの表裏一体の存在であるとされており、彼の印相が両面宿儺と繋がりのあるものであることが察せられる物になっている。
日下部との入れ替え修行により結界術の基礎を習得しており、両面宿儺との激闘の最中でかつて五条から結界や領域展開についての説明を回想し発現する。
現段階では詳細が不明ながら、悠仁は両面宿儺の器になっていたことで肉体に刻まれた『解』の術式を独自に発展させた「魂と肉体の間を斬撃対象にした『解』」の術式を会得しており、その特性上、強力な自身の呪力を込めた指を適正のある人間に取り込ませることで受肉している現代に復活した両面宿儺にとって、この術式が必中になった場合は致命となる可能性がある。
虎杖悠仁自身は呪術廻戦の連載第1話(2018年6月)の時点で呪術と無関係の非術師であったが、この戦いの12月25日までのおよそ半年の間に呪力操作とそれを伴わせた肉体の強化→呪力を使い呪霊や術師相手に実戦→ある程度意図して黒閃を連続発動→結界術の基礎を学んだことで、簡易領域で術式の必中効果を回避&術式の体得、および反転術式による自己回復の体得→結界術と術式を併せて発動する領域の展開までを驚異的短期間で順次習得したことになる。(より短期間で領域展開を可能にした日車寛見もいるが、彼の場合は羂索によって脳の構造を術者用に改造され、領域展開を覚えてから術式を理解し、呪力の存在を感知したので、順序が逆のイレギュラーなものではある)
特異な出自による常人離れした身体能力や、腕のいい教師や、ちょっと反則気味な修行を可能にする協力者などの多数の味方陣に恵まれたり、見方によっては自身の中にいた両面宿儺の存在などの通常にはない要素があったことを考慮しても、彼の才能と努力、そして両面宿儺をして百折不撓と評したどれだけの絶望的な中から何度でも立ち上がる強靭な精神は、あの五条悟と並ぶ乙骨憂太にも勝るとも劣らないものがあることが分かる。
「ファンパレ」にて披露された領域
スマホゲーム「呪術廻戦ファントムパレード」にて初披露された領域展開である。
- 朶頤光海(だいこうかい)
術者は特級呪霊・花御。印相は不明。(右手で左腕を掴み、その左腕を地面に押し付けてひざまずくような体制で発動している)
京都姉妹校交流会襲撃の際、虎杖・東堂相手に発動しかけるが五条悟の乱入により中断、やむなく逃亡。
そのまま作中で一度も領域を使用しないまま渋谷事変で花御が物語から退場してしまった為、作中の描写だけでは領域の情報が不明であったが、後にファンパレで映像化された。(名称はファンブックで初めて判明)
青空の下に一面の花畑が広がり、所々に螺旋状の木が生えている。
領域を展開すると同時に、「供花」から高濃度の呪力による光線を放つ。そして領域内では相手に「与ダメージダウン」が必中で付与される、これは「相手の戦意を削ぐ」効果を意識したものだと思われる。
- 渇候賽掻(かっこうさいそう)
ファンパレに登場するゲームオリジナルキャラの特級呪霊・朧絶(ろうぜつ)の領域展開。印相は不明。
他者の術式を再現する術式、奸骨奪胎(かんこつだったい)を必中化する領域展開。
領域に入った者は強力な斬撃を浴びせられ、その上蓄積していた呪力を奪われる。さらに領域内では呪力出力も低下する。(通常は毎ターン呪力が10回復するものの、領域内では5しか回復しない)
ちなみに領域展開時の斬撃の威力は調整できるものと思われる。(伏黒恵が領域に入った時、受けたと気づかないほど小さな切り傷を負ったことから)
領域への対処法及び天敵
上記のように絶大な力を持つ、まさに奥義と言える領域展開であるが、いくつか対処法も存在する。
領域への対処法
- ①呪力で攻撃を受ける
術式は必中ではあるものの、その術式によって放たれた攻撃自体は呪力で防御する事が可能。
これを発展させたものが御三家秘伝の「落花の情」と呼ばれる領域対策であり、これは自身の周囲に呪力を纏い、敵の攻撃が触れた瞬間に呪力を解放して迎撃して身を守るカウンター技である。「触れたものを自動で呪力で弾く呪力プログラム」とも形容される。
初登場時の陀艮の式神による攻撃や、宿儺の斬撃など単純な攻撃に対しては有効な反面、ルールを強制する必中効果のみの領域や、五条の無量空処のように、複雑な必中効果が付与された領域とは相性が悪い。
また、必中効果自体が消える訳ではないので、本人の呪力出力以上の呪力や物量にものを言わせた攻撃で畳みかけられた場合はそのまま押し切られる可能性もある。
- ②領域外へ脱出する
領域外へ脱出すれば勿論領域の効果は全く意味を成さなくなる。
ただし、領域は閉じ込める事に特化した結界術としての側面を持つ為に、通常攻撃で内側から壁を壊す事は不可能に近い。さらに領域内と領域外では空間の体積が全く異なり領域の縁を発見する事が難しいといった理由から、領域への対策としてはあまり現実的ではない。
- ③自身も領域を展開する
領域展開を習得した術師であれば、自身も領域を展開する事で必中効果を中和する事ができる。
さらに力量に大きく差がある場合にはその領域を自身の領域で塗り潰す事もできる(より洗練された術がその場を制する、とされる)。ただし、こちらについては陀艮の領域と伏黒の未完成領域でも掌印を結び続ければかろうじて領域の綱引きが成立していた事から、よほど隔絶した練度の差や呪力量の差があるか、相性の良さがない限りは領域を塗り潰すまでの事はできない模様。また領域の押し合いは最終的に外殻の押し合いとなる。
九十九と天元の会話で、先に九十九が領域を展開した場合初めの領域の外殻が九十九になり、先に九十九の領域を解体することになる、という説明があるので、通常は最初に領域を展開したものの外殻の内側にまた領域を展開することになると思われるが、ここは断定が出来ない。
宿儺は必中範囲を定義する外殻が無い為、相手の領域の外側まで必中の範囲を拡大して、外殻を外側から攻撃することが可能。必中範囲の自在な変更が、羂索にも可能なのかは不明。
- ④簡易領域の展開
シン・陰流 簡易領域やその原型たる彌虚葛籠(いやこつづら)を自身の周囲に展開し、自身の領域で敵の領域を中和することで領域に付与された必中効果を防ぐ。
特にシン・陰のものを初めとした特殊な効果を持たない簡易領域は、術式が必要な領域展開と違い術式を持たない術師でも使用できる為、領域による対処よりも実行はしやすいと思われる。
ただし、中和できるのはあくまで必中効果のみであり、術式や領域自体を無効化できる訳ではないので、必中効果の付与されていない攻撃を防ぐ事はできない。
漏瑚の領域の熱のような領域自体に存在する攻撃判定も打ち消せず、当然ながら必中かつ術式効果により必殺となる領域の場合は発動が遅れれば手遅れである。黒閃を経てゾーンに入った真人のように領域の工程を短縮して領域展開ができる者や、秤の坐殺博徒のようにそれ以上に早く術式を発動できる領域もあり、そういった領域では簡易領域での対処が間に合わない事態も当然起こりうる。
さらに、あくまでも「領域」なので領域の押し合いというものが存在する。相手が結界術に秀でた者にであれば簡易領域を剥がされる事もある。
また、一部の簡易領域は展開中に動きを制限されるので、そういったものの場合だと単独ではいずれにせよ不利になると思われる。
簡易領域の詳細は、後述の関連用語の項目を参照。
- ⑤領域発動前に術者を攻撃して妨害する
領域が発動あるいは完成する前に、術者本人を最速で叩いて領域完成を阻止する。
前述した通り、領域展開には基本的に手あるいは腕で印を結ぶ必要があるので、相手の腕を使えない状態にしてしまう事ができれば、相手は物理的に領域を発動できなくなってしまう。作中では禪院直毘人や鹿紫雲一などの速度に優れたキャラが実践している他、虎杖も領域が展開された事を認識し次第、直ちに相手に攻撃して最速で相手を倒そうという戦法を見せている。
ただし呪霊には前述通り腕を封じられても人間には不可能な手段で領域展開ができる者がいる他、日車のように領域展開の手段が非常に簡易な者、秤のように領域の展開速度自体が非常に速い者もおり、そういった者達との相性は悪い。
- ⑥空性結界による領域の解析及び解体
「空性結界」の詳細は不明なのだが、作中行われた使用法の中に領域への対抗策として使われているのでここに記述。項目にもある通り、この結界術によって領域を解析し解体する。後述する閉じない領域に対しては、領域の必中効果範囲の縁を外殻と仮定した上で空性結界ごと打ち消すという方法が取られた。
ここまでの記述を見ても分かる通り、一応領域への対策はあるにはあるのだが、いずれも決定的な対策にはなり得ておらず、結局領域展開をした側が有利な事は変わらない場合が多い。
領域の天敵
そんな中、領域に対して絶対的な優位性を持つ天敵と呼べる者達が存在する。
完全なる呪力ゼロの天与呪縛・フィジカルギフテッドである。
領域展開時、呪力を含まない建造物等の無機物は、領域側に引き込む対象として認識されないが、これは呪力が完全に無いフィジカルギフテッドにも適用される。
その為に、彼等自身が領域に入る事を同意するか領域に自ら踏み込まない限りは、基本的にそもそも領域内に天与の暴君達を閉じ込める事自体が不可能である。
故にその気になれば、最初から領域内に入らずに、相手が呪力と術式を消耗した状態で出てくるのを領域外で待ち受けるという、領域という切り札を切った術者からすれば悪夢のような戦法を取る事も可能である。
また、領域の必中効果は呪力が無い“物”を認識できないので、仮に領域内に入ったとしても領域の必中効果が機能しない。領域や簡易領域による必中効果の中和と異なり、そもそも必中効果自体が反応しないので、力押しで解除させれば必中効果が戻ってくるという事もない。
一応簡易領域と同様に、術式や領域自体が無効化される訳ではないので攻撃自体は可能で、漏瑚の領域の熱のような領域自体に存在する攻撃判定も有効だが、いずれにせよ彼等が自主的に領域内に入ってこない事には捕らえられないので、領域を使っている側が不利な事に変わりはない。
ただし例外として、宿儺や羂索の領域はフィジカルギフテッドに対しても有効である可能性が高い。特に宿儺の領域は空間を閉じず、物理的に広域をカバーできる上に、無機物に対しても飽和攻撃が行えるので、フィジカルギフテッドの特異性すらも無視できる仕様になっている。
また、伏黒がレジィ・スター戦の時に行った実際の建造物を外殻として利用した未完成な領域は、領域自体が実際の建造物で成り立っているので、フィジカルギフテッドを物理的に閉じ込める事が可能ではあるが、そのまま結界を素通りされてしまう脱出の危険も否めない。
これは断定できないが五条悟の領域である無量空処が、宿儺の領域である伏魔御廚子と必中命令の押し合いをしていた際に呪力のない無生物への必中も相殺していた可能性が高い。更に公式FBでは呪力のない建造物などの流れも呪力の流れから視ることができると言ったことが語られているため、強制的に引き込むことはできずとも、覚醒フィジカルギフテッドが自らの意思(呪具の回収やトドメと言った事で)入ってくれば脳死するのでは?とも考えられる。
関連用語
生得領域
簡単に言うと「術者の精神世界」。
この生得領域を呪力で現実世界に具現化・展開し、そこに術師の生得術式を付与したものが領域展開である(なお五条の領域は本人が「無下限の内側」と言っており、生得領域なのか術式の内側の世界なのか明言されていない)。
作中では成長途上の呪霊が術式を付与せずに、この生得領域をそのまま展開している事もある。
簡易領域
シン・陰流の開祖である蘆屋貞綱が考案した結界術。
自身の生得領域を具現化して展開し術式を付与する領域展開と異なり、自身の周囲数メートルの範囲に「簡易的な領域」を展開する術である。居合による戦闘が基本となるためか、展開時は抜刀の構えをとる点が特徴。術式ではなくあくまで結界術の一種であるため、領域展開と異なり術式を持たない術師であっても習得は可能。
作中では専ら領域から身を守る術として使われることが多く、領域展開とは違い、相手の術式を中和するのではなく結界を中和することで領域の必中効果を無効化する術となっている。しかし術式中和効果によるデバフが全くないわけではなく、多少相手の術式を薄めることは可能であり、相手の体内などで展開すれば領域展開に近い中和効果を得ることもできる。また領域展開同様に自身へのバフにもなりうる。領域展開を持たざる者にとっては数少ない領域展開への対抗手段であり、「弱者の領域」とも称される。ただし、詳細は対処法の項目で説明したが、『簡易領域』も決して領域に対する決定的な対抗策にはなり得ない。門外不出(シン・陰流の門弟以外には教えない)の縛りによって出力を底上げしてもなお領域展開に抗うには足りないらしく、あっさり剥がされてしまうことも珍しくない。
上記の縛りによって門弟以外には伝授されないが、見て盗むことは可能である模様。
また、簡易領域の原型であるという『彌虚葛籠(いやこつづら)』も同様の効果を持つと説明されている。レジィ・スターが使用した際は不発に終わったが、宿儺が乙骨の領域に対して使用した時には、『簡易領域』と違って剥がされる様子がなかったため、こちらの方が遥かに堅牢な術であるようだ(単に使い手の差かもしれないが)。レジィ・スターが「奥義」と呼称していたことから、恐らく修得難易度はかなり高く、それ故にそのダウングレード版である『簡易領域』が考案されたのではないだろうか。
さらに、仮想怨霊「口裂け女(仮称)」が使用する「質問に答えるまで互いに不可侵を強制する」という効果の結界や、三代六十四が使う「同意した相手を土俵の空間に引き込んで相撲を行う」という結界も、伏黒甚爾や禪院真希から「簡易領域か」と言及されているが、明確な差異や定義ははっきりと明言されておらず、断定はできない。領域に満たないものを全て簡易領域と一括りにしており、そこからシン・陰流 簡易領域のように必中対策のものと術式の簡易領域などのように枝分かれしている可能性もある。
領域展延
領域展開のさらなる派生技。相手を閉じ込める結界術(例えるなら「箱」や「檻」)である領域展開とは異なり、自身の体表を包む「水」のように領域を展開する。領域が未完成な伏黒が使用できるのかは不明。
領域の持つ「術式の中和効果」のみを利用するもので、五条のように自身を術式で防御している者に対し自身の攻撃を届かせたり術式に基いた攻撃を防いだりといった事が可能。また領域の必中効果を中和する事もできるが僅かであるためあまり領域対策とは言えないだろう。
必中必殺を付与出来る程の大きな容量を持つ領域にあえて術式を付与しない事で空きを作り、そこに触れた相手の術式を流し込ませて中和する。(この仕様から日車はおそらく術式に組み込まれた領域でなく、自身の生得領域に術式を流し込む本来の領域であれば必中必殺になり得るほどに成長していたと考えられる。)この「空きを作る為にあえて術式を付与しない」という仕様故に展延中は術式を使用できないというデメリットがある(厳密には使えないのは肉体に刻まれた生得術式であり、領域に付与した術式は別である。そのため領域展開と展延の併用は可能だが、五条が驚いていたことから相当難易度が高いと考えられる)。また展延の際にそれまで使っていた術式を中断し展延使用後に再開することも可能だが、こちらも相当難易度が高く、宿儺でさえ細心の注意を払っていた。
前述の簡易領域と違って、こちらは領域展開をさらに推し進めた高等技術と言える。
空性結界
詳細は不明だが現段階で分かっている事は、「結界術に秀でた者であれば内部の構造をある程度自由に設定することが可能な結界」というものである。術者は当然として、結界術に秀でた者であれば術者ではない第三者であっても結界の構造に干渉できる模様。
その「結界内の構造への干渉」とはどこまでを指すのか不明だが、
- 領域の解析及び解体
- 領域展開と同じく結界内部の環境の可変
の2つが分かっている。
忌庫と薨星宮の間に無数に展開されており、移動したのか設定を変えたのか不明だがいくつか部屋が確認されている。
種類は多岐にわたり便利なもので、戦闘に使われた広場、炬燵とドラム缶テレビ付きの日本家屋の居間、チェア付きのプール、天元がバーテンをしてシュールな笑いが生まれたバーカウンター等が存在する。
余談
- 小説版「夜明けのいばら道」では呪言師の鶴瓶が樹齢ウン百年の呪樹から作った呪符を自らの舌の呪印とリンクさせ部屋中に貼り付けることで限りなく領域に近い結界術を作り出していた。呪力の強い呪具を上手く使えば領域展開に近いことは行えるようである。
- 英語に翻訳した際の表記名では「Domain Expansion」と表記されている。