概要
呪術師としてこの世に生まれた者の中で、生まれながら強大な力を得る代わりに何かを強制的に犠牲にする“縛り”を持って生まれてくる者達やそういった者達に架せられた“縛り”の総称。
本作の世界では一定数この天与呪縛を背負って生まれてくる者がいる。
術師が自分で自分に架す通常の縛りとは異なり、あくまで持って生まれたものなので当然本人に選択権などなく、後天的に解除する事なども出来ない。ただし、究極メカ丸の例を見る限り何らかの方法で後天的に失ったものを取り戻したとしても、それに連動して得たものが全て無くなると言う事もないらしい。
天与呪縛は一般的には強大な呪力を得る代わりに何かを持たずに生まれるというパターンが多いのだが、中には逆に呪力を持たない代わりに超常的な身体能力を持って生まれてくる「フィジカルギフテッド」と呼ばれる天与呪縛も存在し、得るものと失うものは天与呪縛によって様々である。
なお、フィジカルギフテッドについては九十九由基と夏油傑の会話によると禪院真希のように一般人程度の呪力しか持たないというケースは極稀ながら何件かあるものの、「天与の暴君」とまで呼ばれた伏黒甚爾のように完全に呪力を持たない存在は確認される限りでは初めてとのこと。
全人類の呪力からの完全脱却を人類のネクストステージとする九十九にとっては、呪力ゼロのフィジカルギフテッドは新人類を先取りした存在であると言え、研究対象として強い興味を持っている。実際甚爾を研究しようと考えていたが彼女曰く「フラれた」らしい。
加えて天与呪縛は呪術的なものであるため、生得術式と同様に己の能力の開示という縛りによる能力向上が可能である。この開示する内容については甚爾の例を見る限り、自らの天与呪縛による能力だけでなく天与呪縛とは直接関係ない自らの手札や自身の目論見や行動の開示でも効果がある模様。
ちなみにあくまで呪術的な縛りなので元々殆ど呪力を持たずに呪術師でもない者として生まれてきた非術師の人々が天与呪縛を背負う事は当然ない(差し出したとみなされるものもそれで得るものもないため)。
また、魂の繋がりがある存在も同一人物としてカウントされるため、双子のうち片方が健常者、片方が天与呪縛による障害を背負って居る場合は得られる特典が半減するという性質を持つ(片方が呪力を犠牲にしたフィジカルギフテッドでももう片方が普通の呪術師であるなら呪力を持っているとみなされ、「並よりは強靭な身体能力」しか得ることが出来ない)。
主な該当者
生まれながらにして右腕と膝からの下の肉体と腰から下の感覚がなく、常に全身の毛穴から針を刺されたように痛む上に肌も月光で焼ける程に脆い。その代わりに日本全土に渡る広大な術式範囲と実力以上の呪力出力が与えられた。
当然ながら本人はこの呪縛を心底疎ましく思っており、「呪術を差し出し、肉体が戻るのであれば喜んでそうする」と述べている。
フィジカルギフテッド
呪力を全く持たない代わりに異常な身体能力と感覚器官を持つ。呪縛の強化によって視覚や嗅覚などの五感が呪霊を認識出来るまで鋭くなっており、呪霊を腹に入れるなど呪いへの耐性も獲得している。
九十九曰く、天与呪縛によって呪力が完全にゼロなのは確認される限り彼が初めてであり、特級術師の彼女をして「超人」とまで評されている。通称「天与の暴君」。
一般人並みの呪力しか持たない代わりに人間離れした身体能力を持つ。呪力が完全にゼロではないが故に呪霊が見えず、身体強化や感覚器官の強化も甚爾に比べると低いが、九十九によるとこれが前例としてこれまで存在してきた通常のフィジカルギフテッドであるらしい。
ただし、真希の場合はある理由により天与呪縛も不完全な状態であった。
物語が中盤を超え、死滅回遊が本格的に動き出し始めた頃、呪術界の御三家である禪院家で決定的な事件が起き…ついに彼女は覚醒の時を迎える──