※この項目は単行本未収録のネタバレ情報を含む場合があります。 |
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概要
『呪術廻戦』に登場する高等技術。
「負のエネルギー」である呪力を掛け合わせることで産まれる「正のエネルギー」を利用し、様々な効果を発揮する。
主に自身の回復術として使用される場面が多いが、習得が非常に困難であり扱える人物は一握りしかいない。他者への治療も理論的に可能ではあるものの、現状では宿儺・乙骨・家入の3名しかいない。
反転術式を習得する事で、治癒だけではなく「術式反転」「呪力の中和」「術式の回復」なども使用可能になる。
また黄櫨のように反転術式ありきの術式を使用している者は、何らかの縛りによって成り立たせていると思われる。
なお「術式」とついている為に勘違いされやすいが、生まれつき体に刻まれている生得術式とは違い、反転術式はあくまで“呪力操作”になる。つまり能力でなく技術である。
また、呪力を掛け合わせて扱う運用上、通常の呪力操作や術式の発動よりも呪力の消費が激しい。
物語が進むにつれ、裏梅・宿儺・羂索・五条・乙骨・九十九など特級クラスの術師は殆どが使用できることが判明した。
運用方法
- 損傷した肉体の再生
概要にある通り、反転術式は主に怪我を治すために使用される。しかし、いくら優れた術師であっても、失った腕の再生などは相当困難であるとされており、再生させる損傷が大きい程に消費しなければならない呪力量も増えてしまう。さらに丹田(臍下の下腹部)から湧き出る呪力とは違い、反転術式は頭部を起点とするため頭を一撃で破壊されたら再生できない。また、首を完全に切られたり貫かれたりした場合でも、反転術式を首から下に送れなくなり、再生ができなくなる。
- アウトプット
反転術式の使い手の中でも他人に施せる術者は更に少数。その理由を2つ挙げられており、1つは理由は自分と他人とでは勝手が違う為。それによって自身を治療する場合よりも、他者を治療する方が大きく精度や効率が下がる。
そしてもう1つが治療する側の呪力が拒絶したり、治療される側の呪力が変換に応じなかったりとするらしい。そのため、アウトプットができる術者であっても、その効き目には個人差があるようだ。
- 血液の補填
肉体を再生する時、失った血液は呪力を血液に変換させ補填している。この設定が開示された場面では血液にのみ焦点を当てられていたが、血液は半分近くが細胞成分なので、おそらく他の細胞の再生も呪力の変換によって行われていると思われる。
能力の応用
- 術式反転
術師が使う術式や呪力を帯びた攻撃(黒閃など)は「負のエネルギー」を使用する。
一方「術式反転」は、その名の通り「負のエネルギー」とは真逆の「正のエネルギー」を流し込んで発動し、「術式の効果を反転させる」というもの。
つまり
術式順転→負のエネルギーを流し術式効果を発動。
反転術式→正のエネルギーを生成。
術式反転→正のエネルギーを流し術式効果を反転。
五条悟の場合は「集束←→発散」。
羂索の場合は「反重力←→重力」。
となる。
ただし、作中で使用している人物はこの二人のみである。
- 呪力の中和
相手の呪力によって構成・操作しているものに対して、呪力を中和し打ち消すことができる。
何気に強力な性質であるはずだが、何故か呪力の中和を行う描写が少なく、作中では宿儺によって万が操作していた液体金属に流れていた呪力を中和し、制御を消失させた時のみ。とはいえ前述に記載されている通り、反転術式は呪力消費が激しい技術のため、通常の呪力や術式で防御した方が継戦能力の効率が良いという見方もできる。
- 術式の回復
対宿儺戦にて五条が使用。領域展開解除後の副作用で、一時的に使用困難になった術式を回復させる。
「術式の回復」はあくまで便宜上の呼称に過ぎず、実際は術式の刻まれている脳の一部分を自らの呪力で破壊し、反転術式で治癒すことで術式をリセットするという荒業の範疇さえ超えたハイリスクハイリターン技術。言ってしまえば強制再起動である。
弱点
「反転術式使いの殺し方…。
頭を一撃で潰すか……毒物!!」
一見万能に見える反転術式にも当然ながら幾つかの弱点が存在する。
- 途轍もない呪力消費
前述で触れた通り、通常の倍の呪力を消費する。作中2位の呪力量を誇る乙骨ですら、戦闘と並行して使用した際は呪力切れを起こしかけていた。例外は五条と宿儺であり、五条は六眼による呪力の精密操作の結果、反転術式で消費する呪力の量を自己補完できる範疇に抑えているため、24時間365日常時反転を回し続けても呪力切れを起こさない。
宿儺も五条悟ほどではないが呪力効率と呪力総量故に領域ですら何度でも展開できるため、反転術式でも呪力切れをすることがない。
- 毒物
単純な欠損に比べ、有害物質の特定と除去により高度な呪力操作と時間が必要になるため、相当困難とされる。例を挙げると 渋谷事変で裏梅は穿血による欠損は回復させたものの脹相の血による毒性までは即座に治癒できなかった。
また毒物の特定→除去というプロセス上、糖分など過剰になれば毒となるが除去しては困る物質などは更に対処が困難な模様。実際に毒物のスペシャリストである家入すら糖分を相手に注入する術式使いに援護を頼む際には精密な運用を厳命していた。
その為、反転術式で他者を治癒でき、かつ毒物に関する知識も豊富であろう医者である家入が呪術界で重宝されている理由がよく分かる。
ただしこれらの弱点は、欠損部位を瞬時に再生させる宿儺や五条、大当たり中の秤を見ると、結局は呪力量次第な部分は否めない(例外として、乙骨は呪力量が五条より多いものの燃費が悪いため呪力切れを起こしかけている)。
- 脳の後遺症
これは「術式の回復」を行う者に限られるが、前述で示唆されたように使用者はとてつもないリスクを背負う。焼き切れた術式の回復のために脳を損傷させているため、何度も実践すると脳に莫大なダメージが蓄積し、後遺症が出る。当然の話だが、脳は人体にとって最も重要な臓器であり、術式が刻まれている部位だけとはいえ、それを破壊するという事は自ら死にに行くも同然の行為である。
五条は5回もこれを行った後遺症で領域展開が使用不可となった。むしろ六眼を持ち、かつ反転術式による脳の治癒に慣れていた五条だからこそ、この程度の後遺症で済んだという意見もある。
主な使用者
自身の治癒が可能。
無下限呪術を出しっぱなしにする為に、反転術式を半永続的に使用している。
術式の使用には、原子レベルの緻密な呪力操作が必要であり、常時発動は脳が負荷に耐え切れず焼き切れてしまうが、術式と同時に発動し続ける事で脳を絶えず修復し、無下限術式の常時発動を可能とした。また反転術式を自身の無下限呪術に流し込むことによって術式反転『赫』を使用可能。
自他共に治癒が可能。
作中最初に使用した人物。欠損した指や手を特に意識せずとも一瞬で再生し、さらには無くなった心臓をゼロから再生して蘇生するなど、規格外の回復力を誇っている。渋谷事変では、伏黒甚爾と重面春太の攻撃により腹部と背中に致命傷を負い、さらには魔虚羅の攻撃により仮死状態となった伏黒恵を一瞬で治療した。
しかも乙骨の倍以上の呪力を持ち、五条の次に呪力効率も高いために、これらの回復による呪力の消耗を起こしているような描写もない。作中で反転術式の詳細が掘り下げられる程に、彼が当然のように行なっていた回復がいかに凄まじいものであるかが露呈された。
自他共に治癒が可能。
呪術高専に学生として在籍していた時から体得していた。百鬼夜行時や渋谷事変編ではいずれも元担任の呪骸に護衛されながら負傷者を回復させており、呪術師サイドにおいては有事の際には学長クラスが常時護衛に付くなど最重要人物の一人として見なされている。しかし、実は作中で使用したシーンが一度も描写されていない。また、家入の反転術式は五条や宿儺ほどの回復力は無いらしく欠損した肉体の一部を再生させる力は無いとのこと。小説によると縫合などの医学と併用し千切れた腕の回復等も行えるそうだ。
自他共に治癒が可能。
0巻の頃は複数人に対して反転術式を使用しながら同時に戦闘を行っていたが、現在は一応連続使用は可能なものの、リカ未接続状態では最終的には呪力切れを起こしかけていた。
特級呪霊に口移しで正のエネルギーを直接流し込んだり、虎杖を一度殺してから反転を流し込んで一気に治癒するといった高度な使い方をしている。
自身の治癒が可能。
作中では、脹相との戦いで負傷した手を一瞬で治す程の回復力を見せたが、体内に入った脹相の血の毒には対応できていなかった。また、五条に二度ぶっ飛ばされた時の傷も反転術式で治療していたが、痛みまでは治せなかったのと、殴られた箇所に包帯を巻いていた可能性があるため、傷の完全回復は出来ないのが窺える。
自身の治癒が可能。
眼球や歯を爆弾に変える術式である為、使用する度に治癒している。
欠損部位を瞬時に回復する程の反転を連続使用している事から、何らかの縛り(自身の術式による欠損のみ回復できるなど)で成り立っている可能性がある。
正確には習得はしてはいないが、術式の効果によって限定的に発動する。
ボーナス状態で不死身化している4分11秒間は、たとえ腕が千切れようが腹部が半分消し飛ぼうが毒だろうが全自動で超速再生でき、秤本人が意識を失っている状態でも再生・毒の除去を無意識で行える。
自身の治癒が可能。
元々ファンブックで使用できることが示唆されていたが、九十九との戦闘で実際に使用した。千切れた腕を元通り再生する程の高度な回復力を持ち、さらに術式反転にも使用している。
自身の治癒が可能。
羂索との戦闘で初使用。本来なら即死レベルの全身の重傷を短時間である程度回復する程の回復力を持つ。
ただし、渋谷事変の際に重傷を負った真希らの治療を家入に任せていた事から、他人にアウトプットする事はできないと思われる。
禪院家宗伝・十種影法術。十種の式神の1つ。4つ目を持つ大型の鹿。術者の回復のみならず、呪力を中和するという能力を見せた。
自身の治癒が可能。
宿儺との戦闘で初使用。呪術に目覚めたばかりにもかかわらず、土壇場で宿儺に切断された腕を再生させ、成長スピードの速さを見せつけた。その成長速度と彼の呪術師としての才能は宿儺を魅了させた。
自身の治癒が可能。
脹相と共に決戦前の一ヶ月間で習得した。分かりにくいが、日車の回想で使える事をほめのかす台詞がある。
元々規格外にタフだったが、反転術式を修得した事で、肉体が抉られても即座に立て直せる様になった。しかし、まだまだ覚えたてであるため、短時間で何度も致命傷を負うと修復が追いつかなくなってしまう。
自身の治癒が可能。
呪力を血液に変換できる自らの体質と反転術式の仕組みが近い事に着想を得て習得した。
上述の体質により反転術式の高度な技術を必要とする部分を補える為、他の術師より習得難易度が格段に下がることに加え、ネックとなる呪力消費を抑えて自らの肉体を回復できる(九相図の亡骸を取り込んで同じ体質に変化した虎杖も同様)。
余談
- 概要でも触れたように、反転術式は「正のエネルギー」である為に「負のエネルギー」そのものである呪霊に対し圧倒的なアドバンテージを持っている為、宿儺や乙骨はほぼ強制的に呪霊を祓う事が出来る。ただし、呪霊を確実に祓う際には、呪霊共通の弱点である頭部に正のエネルギー直接を流し込む必要があり、特に特級呪霊やそれに類する存在が相手の場合は、決してこれ一つで決定的な優位性がある訳ではなく、それなりにリスクもあれば相性や状況にも左右される。
- 例外があるとすれば、八握剣異戒神将魔虚羅の使う「退魔の剣」であり、こちらは膨大な正のエネルギーを刀身に纏う事で、宿儺の指15本分に相当する呪霊でも一撃で消滅させてしまうというとてつもない力を持っている(必然的に自然呪霊達ですら一撃で倒せるという事になる)。