概要
CV:白石涼子
中吉虎吉(なかよし こよし)の漫画『戦隊レッド 異世界で冒険者になる』の登場人物であり、作中でも最強クラスの女性魔術師。
人類には使用不可能とすらいわれる高難易度の「神格魔法」をこともなげに使いこなすなど、その実力は他の魔術師とは別次元。
人物
おかっぱに切りそろえた前髪と、長い髪を頭の左右で丸く結い上げている。
また、目が「ハイライトの無い黒ベタの虹彩に、瞳孔が白抜きで表現される」という独特なデザイン。
服装は「悪の女魔導士」とでもいった方が良い見た目で、初登場時は仮面をつけていたためなおさらその趣が強い。
女性としてはかなりの長身で、頭飾りで高く見える分を抜きにしても、身長185㎝とされているレッドと同程度あるように見える。
また王都に現れた十年前に既に現在の姿だったようなので、年齢は少なくとも成人女性であると考えられる。
またそのイメージと裏腹に「胸元が見える服でもほぼ起伏がわからない」体型の持ち主であったりもする。
自分の胸にコンプレックスのあるテルティナと比較してすら同等かそれ以下に見えるため、作中主要キャラでいちばん戦闘力が低い可能性もあるが、本作には面と向かって女性の胸のサイズをいじるようなキャラがほぼいないため、今のところ言及されたことはない。
性格はお世辞にも良いとは言えず、普段は中性的な丁寧口調でしゃべるものの、常に他人を見下しバカにしたような態度があからさまであり、また、感情が激するとはすっぱで乱暴な口調になる。
一方で魔法技術者としての高いプライドと責任感をもつ、根は生真面目な性格でもあり、他者への攻撃性の高さもある意味ではその裏返し、いわば「才能の差ゆえに視点が違いすぎるので他人を頼れない孤高」といった一面がある。
そのため感情を乱すのも、魔法技術の扱いに関する現実を見据えない理想論(主にイドラの)を聞いたときが多い。
また、後述の魔法の使用の管理許可制を主張したときはレッドに理解されたように、中世ファンタジー世界の住人としては驚くほど先進的な価値観の持ち主でもある。
以上を総括して一言で言えば「元ヤンの凄腕キャリアウーマン」とでもいうべき性格をしているが、それゆえか「素直な好意」を向けられることに非常に弱いという一面があり、確執の相手であるイドラから「私はシャウハのこと嫌いじゃない」とストレートに言われた時には反応に困り、逃げ出してしまった。
普段は常に人をバカにした態度を崩さないシャウハが、素で絶句するひとコマは必見。
作中での動向
作中最大の国家「アヴァルロスト皇国」に、十年前に忽然と現れた魔術の天才であり、たちまちのうちに筆頭魔術師たる「王家の杖」の称号を手に入れ、皇国の魔術界をその支配下に置く。
これにより、もともと「王家の杖」の称号を代々継承していた本作のヒロインであるイドラ・アーヴォルンの実家であるアーヴォルン家は没落した。
その地位を取り戻すべく奮闘していたイドラが、異世界転移してきたレッドと出会うところが同作の始まりである。その後、彼女がアヴァルロストの第三皇女であるテルティナ・リズ・ワーグレイ・アヴァルロストの求めに応じ同行した魔力の種探しの旅で彼女の従者であるロゥジー・ミスト、そしてレッドと一緒に訪れたアカリナの街で魔王族の兄弟「愛し子」の一人常笑のアブダビを相手に苦戦していたところへ出現した。
アカリナから状況報告とテルティナの治療のため皇都アヴァルロストへ戻る際、転移門を出現させて魔法で四人を一気に転移する大技を駆使した。アヴァルロストにある魔導塔で、イドラと会話した際、イドラ、或いはアーヴォルン家の「誰にでも魔法を使えるようにする」という思想を鼻で笑って一蹴した。
しかし、その理由は、
- 「魔法は危険な力であり、素人がむやみに扱っていいモノではない」
- 「現に、魔法や魔道具を適当に扱うことで毎年何人もの犠牲者が出ている」
- 「故に、魔法の使用は国が厳重に管理し、高い能力をもった者だけが扱うようにすべき」
という、為政者の側に立つ者としては至極真っ当な理由であり、シャウハ自身は「人の善意に依存しなければ安全を保障できない技術は、人の手に余る」と評している。
これを聞いたレッドは「俺たちの世界でも、車を扱うには免許が必要だものな」と一定の理解を示していた。
そしてイドラは、この時点では自分の理想が頭ごなしに否定されたこと、好意を寄せるレッドがそれに賛同した事で強いショックを受けたものの、冷静になってからはシャウハの理屈の正しさも認め、自分の考え方と切磋琢磨すれば二人でより良い未来が築けるはず、と彼女と分かり合う事を目標にするようになってゆく。
関連タグ
戦隊レッド異世界で冒険者になる - 戦隊レッド異世界で冒険者になるの登場キャラクター一覧
以下、このキャラに関する重大なネタバレ注意! |
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惨美のシャウハ
原作第7巻にて明かされた、シャウハの正体。魔王族の兄弟「愛し子」の末子(次女)であり、これでもブイダラより年下。魔王のことを「かかさま」と呼ぶ。
成人女性のような見た目も千年前の時点からそうであり、恐らくは最初からその姿で発生した存在なのだと思われる。
本来の姿はタコの様な触手と、腰から生える偶蹄目のような足を持つスキュラのような姿で、右腕などについている複数の口(本人の身体パーツではなく、詠唱をサポートする使い魔)から同時に幾つもの魔法を提供する事が出来る。人類が制御不可能な神格魔法を使えるのも、元から人間ではなかったからである。
人間界における活動は「負の魔力を集めるために、人間の魔法技術が発展しすぎて戦争で自滅しないよう、かといって平和になりすぎないよう、適度にコントロールする」というものであり、千年前からそういった形で人類文明に関わってきた存在であった。
「王家の杖」として本名でもある「シャウハ」を名乗って表舞台にでてきたのは、魔王族の計画が最終盤に達したからであり、千年間の暗躍の集大成として各地で兄弟たちの手助けをしてまわっていたのである。
アーヴォルン家の悲願の達成を陰から妨害し、そしてイドラの父を追放して彼が提唱する「魔力の種」の危険性を黙殺したのもその一環であった。
ただその一方で、それは魔王族のなかで唯一「人間社会に深く溶け込み、人間達をすぐそばで見つめ続けてきた」ということでもあった。
そのためか人類とその文明を「破壊するもの」「自分達のオモチャ」程度にしか考えない他の兄弟と異なり、人類が築き上げた文明、その技術的成果に対して一定の思い入れがあるようで、正体を現したのちも高度に発展した亜人国を、無念そうに「(壊すのが)もったいない」と呟き、これを聞いたイドラは「シャウハとはもっと話をしてみたい」と決意する。
そしてイドラとの最終決戦において、シャウハのたどってきた千年間が明らかにされる。
それは「王家の杖」それ自体が千年前にシャウハが作り上げた、人類の魔法技術抑制のための仕組みだったという驚愕の事実であった。
人類社会の魔法の頂点を牛耳ることで、人類が滅びないように、かといって平和になりすぎないように、時には当代の王家の杖を操り、時には自身が姿を変えて王家の杖となり、千年の間、人類社会の魔法技術を陰からコントロールし続けてきたのである。
歴代の「王家の杖」や、優秀な魔法研究者の多くがシャウハによって運命をねじまげられ、あるいは研究成果ごと葬り去られてきたのであった。
しかし、そうした繰り返しの中で
「魔王復活のみを願いとし、”その先“、未来の在り様など考えない自分たち魔王族」
と
「つたなくとも前へ、未来へと歩みつづけ、道半ばで倒れようとも次代に夢を託していく人間たち」
を幾度も比較することになったシャウハは、やがて人間達の生き様を「面白い」と感じ、逆に変わらない、変われない自分たちの在り様に疑問を抱くようになる。
それはついには「どれだけ人間達の生き方に憧れても、魔王復活を悲願とする自分は決して共に歩めない」という自己矛盾となり、「魔王復活のため」と手を汚すたびにシャウハ自身を苛むようになっていく。
そしてそれこそが、シャウハがことさらにイドラを敵視する理由でもあった。
彼女はまさに「拙くとも未来を信じ、決して諦めず前に進む人間」の代表格だったからである。
未熟な理想論を唱えること以上に、その未熟ゆえの輝き自体が、それを直視できないシャウハを苛立たせていたのであった。
つまりは「大嫌いなお気に入り」とでもいうべきイドラへの感情は複雑にこじれており、戦闘中であるにもかかわらず、彼女からふたたびストレートな好意を向けられた際には赤面し、食い下がる彼女を葬るべくトドメの大技を放った際には、同時に、彼女と共に歩めたかもしれない未来を思い浮かべて嘆息していた。
が、シャウハと和解する未来を決してあきらめなかったイドラによって、シャウハが作りだした魔具「王家の杖」をも利用する形で逆転され、憑き物がおちたような笑顔を浮かべながら、はじめて素直な賞賛を送りつつ敗北する。
その後は全力を使い果たしたために行動不能となり、魔王とも和解の道を探って見せる、と豪語するイドラを、期待と諦観が相半ばする独白とともに見送った。
余談
- アーヴォルン一族との"縁"
イドラとの最終決戦が描かれた原作8巻のオマケ漫画においては、イドラの祖父や母とも縁があったことが描かれた。
このオマケにて、シャウハの「王家の杖としての従者を、女装した少年魔導士だけでかためている」という倒錯した性癖は、若い頃のイドラの祖父(童顔で女顔の美少年)の女装を見て「目覚めてしまった」だめだったことが明かされた。
- 神格魔法の秘密
シャウハをして天才魔導士たらしめている、人間には使用できないとされる「神格魔法」だが、実は「魔王族だから使える」というほど単純なものではなく、自身の持つ能力を創意工夫した結果であることがコミックスにて明かされた。
本来は神々の魔法である神格魔法はシャウハでも手にあまり、前記した「詠唱をサポートする、無数の口型の使い魔」に詠唱を分散させることで辛うじて成立させているのである。このため威力は神が使う場合の1/100にも満たない劣化版であるらしい。